アジオ、アジコ、アジノモト博士
天久聖一の味写入門

第14回
味写を集めよう!(その10




アジオ&アジコ
博士、こんにちは!

博士
やあ、ふたりともこんにちは。あ〜熱い。

アジコ
たしかに近頃は、温かいけど‥‥

アジオ
まだ、暑いってほどじゃないんじゃない?

博士
サロンパスの貼り過ぎで、
背中がたまらなく熱い‥‥

アジオ
じゃあ、剥がせば?

博士
しかしそれが‥‥心地よい!!

アジコ
なんだ、そりゃ。

アジオ
博士、肩こりヒドいの?

博士
実はそうでもないんだけど、たまにやるのじゃよ。
背中をサロンパスで埋め尽くして、
その過激な効能に身をゆだねる。
しばらく我慢するとやがてトランス状態に‥‥
こりゃ麻薬じゃな。

アジコ
‥‥バカじゃないの?

アジオ
平気なの?
サロンパスそんな使い方して‥‥

博士
ワシほどの鍛えられた背中があって
はじめて可能な荒技じゃ。
よい子はくれぐれもマネせんようにな。

アジコ
しないわよ! そんな変態行為!

博士
まあしかし、
みんな自分だけの楽しみはあるはずじゃ。
人には言いにくい密かな楽しみがな。

アジコ
まあね、無いこともないけど‥‥
わたし柿の種の種とピーナツをよりわけて、
種だけ口いっぱいにほおばるのが好きよ。

アジオ
ボク、電気のヒモの先に付いてる
小さなプラスチックを、
鼻の穴に押し込むのが好き!

博士
うん。
たまには仲間たちと、そんな密かな楽しみについて
話し合うのも味わい深いものじゃぞい。

アジオ
ボクたちからの味な提案だね!

博士
ふむ。そういうことじゃ。
では今週もワシらの密かな楽しみ、
味写の世界にみなさんをご招待しようかの!

アジオ
は〜い!
まずはハンドル・ネームむーみんさんからの
作品で〜す!

味写No.027「ハン」
写真をクリックすると、さらに大きな写真をご覧いただけます。


アジオ
なんて濃厚な味わいなんだ!

アジコ
‥‥久々の真打ち登場ね。

博士
おじさんの厳しい表情がたまらんな。
とにかく歌に関しては一切の妥協を認めん!
そんな気迫がビンビンと伝わってくるぞい‥‥

アジコ
彼女もさぞや歌いづらいでしょうね‥‥
こんな重苦しい雰囲気の中
マイクを握らされて‥‥

アジオ
選曲の時点で怒鳴られそうだもんね。
「ヤイコ? 知らんっ!!」って。

アジコ
軍歌と昭和歌謡以外は歌えない空気よね。

博士
現場の空気は想像を絶するものだったはずじゃ。
ほら、その証拠に‥‥

アジコ
ふたりに挟まれたおばあさんね。
完全に限界を超えてるわ。

アジオ
固唾を飲み過ぎかな?
アゴの筋肉が疲れ果ててるね。

博士
心優しいおばあさんに、
この状況は耐えきれなかったのじゃろう‥‥

アジコ
ひと足お先に次のステージへ向かったのね。

アジオ
なんだか、もう‥‥味わいの範疇外だよ!

博士
しかし後ろの習字がまた味わい深いな!

アジコ
朝顔、うみ、天の川‥‥
習字ではお馴染みのことばの中で、
ある単語だけがひときわ異彩を放っているわね!

アジオ
「ハン」だね!

アジコ
ハンコのハン?
チャーハンのハン?
チンギス・ハンのハン?

博士
なんでまた、
これほど捉えどころのないことばを‥‥

アジオ
深い理由があってのことか、
ただの思いつきなのか?

アジコ
書ける文字が、たまたま
この2文字だけだったのかも知れないわね。

博士
そして、優秀作だからなのか?
単なる標語なのか?
がいまひとつ判然としない離れた位置の
「火の用心」。
隅から隅まで味わいどころ満点の作品じゃな!

アジコ
ええ!
とてもいち日では味わいきれない、
巨大テーマパークのような作品だわ!

アジオ
貴重な休日が丸つぶれだよ!

博士
いやはや、久しぶりに味写の底力を
見せつけられた思いじゃな。
よし、ではこの勢いでアジコさん、
次の作品じゃ!!

アジコ
はい!
続いてはハンドル・ネーム織部さんからの
作品で〜す!

味写No.028「カニピラフ」
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アジコ
まあ! なんて屈託のない笑顔なの?

アジオ
見ているこっちまで、幸せになるね!

博士
カニピラフが果たして、
彼の中でどんな存在だったのか?
考えずにはおられんな。

アジオ
ボクにはわかるな! 彼の気持ちが。

アジコ
どんな気持ちよ。

アジオ
全ピラフ制覇が、彼の念願だったのさ!

アジコ
全ピラフ制覇? ユニークな野望ね‥‥

アジオ
あらゆるピラフを食べ尽くした彼にとっての
最後のピラフ、それがこのカニピラフだったのさ。

アジコ
カニピラフなんてどこにでもあるじゃない。

アジオ
ただのピラフじゃ意味がないんだ。
彼の美意識にかなう究極のカニピラフ、
それがやっとこの北の大地で見つかったのさ。

博士
これはその夢が完結した瞬間の、
会心の笑顔というわけか。

アジコ
私は違うと思うな。
このカニピラフはどうしても彼女に見せたかった
カニピラフなのよ。

アジオ
どういう意味さ!

アジコ
彼女はいま病床に伏せているの。
お医者様も手の施しようがない難病でね。
それで彼は彼女を元気づけるために、
ある決意をしたの。

博士
どんな決意じゃ?

アジコ
ピラフにカニをあしらった料理を発明して、
彼女の生まれ育ったこの町の名物にしようってね。

アジオ
彼がカニピラフの発明者だったのか!

アジコ
数々の困難を乗り越えて、
彼はついに想いを実現したわ!
だからこの笑顔はただの笑顔じゃないの。
病床の彼女に向けられた、愛のエールなのよ!

博士
泣ける話じゃな。でもなぜカニピラフなんじゃ?

アジコ
彼女、蟹江敬三さんの大ファンだったの‥‥

博士
‥‥‥‥そうじゃったか。
これからカニピラフを食べるときには
彼と、蟹江氏の顔が
イヤでも浮かんできそうじゃな。

アジオ
まさにあと引く、味わいだね!

博士
まったくじゃ!
さあおふたりさん、
今週のお味はいかがだったかな?


アジオ&アジコ
は〜い! とっても刺激的なお味でした!
むーみんさん、織部さん!
ごちそうさまでした〜!!

博士
ふむ。元気な返事じゃ!
それではみなさん!
これからもこの血行不良の中年に、
味写という名のサロンパスを
どんどん送りつけて下さいな!


アジオ&アジコ
よろしくお願いしま〜す!!

2005-03-27-SUN

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