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最新の記事 2007/03/20
 
 
2005年の11月から
約1年半に渡る南極での観測活動に旅立った斎藤さん。
観測活動を終えて、
南極から帰国途中の「しらせ」船上より、
メールが届きました!

南極に届くもの

昭和基地へのアプローチは
海上自衛隊が運用する砕氷艦「しらせ」です。
最近は昭和基地のすぐ近くにも
世界各国から研究者が航空機で飛んできて、
大気サンプリングなどの観測をしています。
でもこれは夏の間だけの話。

オングルという大陸から少し離れた島にある昭和基地へ
確実に来られるのは一年に一往復の「しらせ」だけ。
そしてこのときに南極で使う観測機材や食糧、燃料も
すべて一緒に運んできます。

そうすると南極に来て時間が経つほど、
周りにあるものは見慣れたものとなり、
いつでも同じ光景。

たまたまタンスの奥をみて、
こんな服を持ってきていたんだ、と着ていると、
これ新しいねえ、と珍しがられます。
特別に新しいものでもないのですが、
普段見慣れないものには敏感になるのですね。

雑誌なども同じです。
情報はインターネットでどんどん入って来るので、
日本の状況はよくわかりますが、
雑誌にはページをめくりながら眺める楽しみがあります。
例えば週刊誌、前の隊員たちが置いていった古いものでも、
手にした人にとっては最新情報。
読んでいるとすっかりその時代に入り込み
「へ〜、オリンピックはアテネか」
となんとも夢とも現実ともつかないことを
言い出すことも‥‥。

こうした生活を続けるうち、
新しい隊が日本を離れる日が近づいてきます。
冬が明け日に日に陽気になる時期、
待ち遠しいのは運ばれてくる新しい「物」です。
それは雑誌であったり、
食べ物であったりいろいろありますが、
中でも家族から届く物は何より早く手にしたいものです。
それは南極観測に関わる多くの人が思うこと。
観測船「しらせ」にもよく理解され、
船からヘリが飛べるようになったとき、
真っ先に届けてくれます。
これが「第一便」。
とにかく何よりも先に家族からの贈り物を運んでくれます。


ここはドームふじ基地。南極点まであと1200kmの地点。
新しい観測隊がいろんな物資満載で到着しました。
久しぶりに新しい顔も見られます。



ドームふじ基地に届いた荷物。
この中に第一便が。楽しみです。


さて私の手元に届いた第一便。
内陸のドームふじ基地にいたので
ヘリコプターでは届きませんでしたが、
新しい隊の人たちが雪上車で運んできてくれました。
その中身は?
家族の便り、お守り、そしてCDなどなど写真の通り。


届いた第一便。
大きいものは届けられないのですが、
ちょっとした物に思わず笑みがこぼれます。


中でも一番目立っています、ほぼ日手帳。

今年の色は家内が選んでくれました。
どんな色か、
それは聞かずに届くまでワクワクした気持ちで待ち、
蓋を開けると、晴れた海に浮かぶ氷山の色、
なんとも南極らしいです。


ほぼ日手帳2006と2007。
どちらも遥か南極までやってきました。
ちなみに一番下の赤い手帳は、観測用の野帳。
こちらもまた大切なものです。


それにしてもこの手帳、まさか南極点まで
あと1200kmの地に来るとは思わなかったでしょう。
そしてまた日本に戻るのですから大旅行です。

家族からの便りを受け取って数ヵ月後には南極を離れます。
懐かしい元気な一文字一文字を眺めながら、
あともう一息と励みになる贈り物です。


2007年3月16日
第47次日本南極地域観測隊
斎藤 健

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この連載がはじまったきっかけ
「ほぼ日手帳」だったんですよ。
旅立ちの時にお渡しした
ほぼ日スタッフお手製の「ほぼ日フラッグ」も
写真に写っていましたね。

まもなく帰国する斎藤さん、
ほぼ日のオフィスにも立ち寄ってくださるそうなので
メールに書ききれなかった日々のことも含めて
いろいろとお伺いしようと思っています。
質問や応援、激励、感想は
「南極観測隊斎藤さんへ」として
postman@1101.comまでお寄せくださいね。

南極観測について、
さらに知りたいという方は
こちらの「極地研究所」のホームページ
ぜひご覧ください。
 
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