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最新の記事 2006/08/22
 
 
今回は南極の広大な土地を移動するために
必要不可欠な交通手段、雪上車のお話です。
どうやら斎藤さん、
自分の手で整備した雪上車にのって
1ヶ月以上にわたる旅に出たようです。
写真から伝わってくる
真剣さに気が引き締まります。


南極のクルマ。

南極の交通手段はなんと言っても雪上車。
日本ではなかなか目にしませんが、
昭和基地には30台を超える雪上車があり、
隊員たちは車のように自由に操ります。

四角い車体に
足はイモムシのような履帯(りたい)をつけ、
丸いハンドルのかわりに
片方ずつブレーキがかかる
テンパーという棒を操作して方向を決めます。
時速はだいたい10km、ちょっとした駆け足くらいです。


昭和基地の近くでよく使う雪上車です。

雪上車にはいろいろ大きさがあって、
用途によって使い分けます。
夏、太陽の光で氷の表面が融けているときや
新しい氷が張り始めたころは、
万が一、万が一です、
氷が割れたときにも浮かんでいられる
小型の浮上型を使います。
島の上にある昭和基地ならではの雪上車です。
本当にこれは備えあれば憂いなしです。

春から冬にかけて氷が厚くなってくると、
もう少し大きく力の強い雪上車を使います。
浮上型を軽自動車とするとこちらは乗用車ですね。
そして大陸の上ではさらに大きな車を使います。
南極大陸の調査や移動は数週間から数ヶ月と長くなり、
気温もときには−60℃を下回ります。


大陸の上を走る大型雪上車です。
7台のソリに荷物を積んで走ります。


このような少々体験できない環境で使う雪上車は
住むことと、走ることを同時に備えたキャンピングカー。
長さがおよそ7m、幅は3m、
中は立って歩けるほど広いスペースにベッドがあり、
炊事もできるように工夫されています。

運転していると南極であることを忘れそうになりますが、
雪上車が故障してしまうと、
大陸の上で置き去りです。
そんな状況にならないように、
隊員たちは日々の点検を欠かさず、
出発前には自分たちの手で整備します。

昭和基地から離れたところに置いてある
大きな雪上車はとても重いので、
昭和基地ではなく大陸の上で整備します。
なんとも大変そうですが、
自分で整備した雪上車はより愛着が湧くもので、
走っていてちょっと調子がよくないときにも、
あのあたりが不調かな? と見当がついてきます。
人も機械も愛情が大切なことですね。
47次隊も昭和基地から離れたところで
大きな雪上車を整備しました。
そして数日のうちに
自分の手で整備した雪上車に乗って大陸の上に出かけます。


7月の雪上車整備の様子です。
気温は−20℃ほどでした。



雪上車にもぐって、ネジひとつひとつを締めます。


履帯についている
滑り止めを止めるネジを締めています。
手が冷たくなるとすぐに車の中に入って、
ゆっくり休み休み、確実に作業が進みます。



こちらも雪上車の下から、ネジを締めます。

きっとこれを読んでいただくころは、
真っ白い雪と氷の世界を雪上車で走っています。
昭和基地には紅葉の頃に戻る予定。
それまで続きはおあずけですが、
どうぞまた、しばらくお待ち願います。

運転席です。
下のほうにみえる横棒2本で方向を決めます。
スピードメーターは50kmまでありますが、
使うところは十数キロまでです。



運転席からの眺めです。
天気がよいと気持ちよく走ることができます。


ここでちょっとお知らせです。
次回、メールをお送りするまでの
つなぎではありませんが
ぜひ上野の国立科学博物館をのぞいてみてください。
今、「ふしぎ大陸南極展2006」が催されており、
実際に使っている雪上車や、
1月に大陸の氷をサンプリングした様子を
見ることができます。
猛暑の中、南極涼みをぜひどうぞ。

ではちょっと大陸の様子を見に行って参ります。

2006年8月12日、
気温−19.9℃ 風2.6m毎秒。
明日からまた冬の世界。
−60℃を体験してきます。
第47次日本南極地域観測隊
斎藤 健

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斎藤さんは旅に出てしまいましたが
「ふしぎ大陸南極展2006」
9月3日まで、開催されており、
昭和基地とのライブ中継もあるそうです。
ぜひ足を運んでみてください。

冬まっただなかの南極も
立春が過ぎ
(日本の立秋の日は
 南極では立春の日になるそうです)、
9月末に斎藤さんがPCの前に戻ってくるころは
すっかり春らしくなっているかもしれません。

旅から戻り、ちょっとほっとしたときに
みなさんからの感想やエール、
のんびりとしたお便りや質問は
とてもうれしいそうなので、
読んでいただいたお気持ちを
「南極観測隊斎藤さんへ」として
postman@1101.comまで
メールでお寄せくださいね。

南極観測について、
さらに知りたいという方は
こちらの「極地研究所」のホームページ
ぜひご覧ください。
 
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