アートとマーケの幸福な結婚。
ポストペットの八谷さんと、
彼の船出。

第11回 真鍋さんというひとについて



ポストペットにおける
グラフィックデザイン担当の
真鍋奈見江さんは、「モモ」の作りの親。
真鍋さんって、どうポスペに関わっていたの?
そのへんのお話を今回はうかがっています。

糸井 幸喜さんの会社にみんなが出かけていって
打ちあわせとかを!
・・・テーブルがあるわけだね、そこには。
真鍋 私、ほんとはそこの会社と関係ないんですけど、
自分用の机と機材があって。
糸井 真鍋さん、そのときにはセガは辞めてたの?
真鍋 はい。ソネットでつくるときに、辞めてました。
糸井 そのときの気持ちをちょっと。
真鍋 私はもう簡単で、結婚してたんで、
旦那の給料で食べていけるので、辞めました。
食べてはいけるから、
興味のある好きな仕事をしようというか。
糸井 このエネルギーみたいなものが、
世の中に、横溢してるね。
つまり、真鍋さんのような立場のひとって、
ぼくが思うにはものすごくいるんです。
つとめるかたちをとっているんだけど、
食うためではないひと。
つまり、可処分所得を稼いでいる妻たち。
バービー人形とかに投資しているわけでしょ?
真鍋 (笑)投資?
投資はしてませんけど。買ってますけど。
糸井 それは、これを稼ぐのをやめたら、
バービー人形を買えなくなるだけで、
おかずは買えるひとたち。
このエネルギーが、俺、
日本を建て直すと思ってるんですよ。
八谷 やっぱりチームに女のひとがいるとすごい。
糸井 でも、生意気でしょ?きっと。真鍋さんって。
八谷 逆にそれくらいじゃないと。
気をつかわれちゃうと、3人しかいないから。
3人でやるのはすごいよくって。
討論になるんですよ、喧嘩にはならなくて。
3本足があるとすごく安定するところがあって。
糸井 (笑)何かちょっと理科系な感じだけど。
ただのたとえ話。
八谷 遠慮されるとよくないんですよね。
糸井 ぼくは「生意気でしょ」というのが
重要だと思うんですよ。
女の子が女の子の役をしている限りでは、
女の子を入れた意味って・・・。
八谷 ない。
糸井 ないんですよね。
八谷 むちゃくちゃ負けず嫌いですよ。
真鍋 1番何か例えば文句を言われたら、
1言われたら10で相手をつぶしてやると(笑)。
糸井 悪くすると連合赤軍永田洋子になるタイプ。
真鍋 (笑)
糸井 たぶん、団体の最小単位ですよね。3人って。
そのときって、宗教性で言うと、
過剰な宗教性を持つのが、女の巫女だと思うんですよ。
たぶん真鍋さんじゃないひとだと
だめだったんじゃないかなと思うんです。
ときどき遊びに来てくれるから、
「ここんちのチームは典型的に見えるなあ」
って、いつも見てるんですけど。
たぶんキーになると思うんですよ。
おふたりとも(八谷さん、幸喜さん)、
何となく性格的に言うと、
「うん、負けも勝ちだな」
っていう考え方できるでしょう。
今すぐは負けに見えるけど、
この先でこう勝つんだよっていうことなんですけど、
全部それになっちゃう可能性って
男ってあるんですよね。女の子がいると
「その子がそんなに言うなら押しとこうかな」
とか、負けてもいいのに、八谷さんや幸喜さんが
「いや、それは譲れません」
って言わざるを得ない立場になるでしょ?
このシステムは興味あるんですよ、組織論的に。
八谷 グラフィックとプログラムだと、
要求してることが対立するときがあって、
見かけで言うとこうしたいけど、
プログラムだとこうやったほうが
ソースとして洗練されている、とか、楽だとか。
糸井 でこぼこしないプログラムを
つくりたいんだよね。プログラマーは。
八谷 そういうときに主張してもらわないと
結果的にユーザーが損をしてしまう。

あるときには真鍋さんの勝ちで、
無理言ってやってもらったりとか、
ある局面では幸喜くんの言っているほうが
たぶんユーザーとしてわかりやすいとか。

(つづく)

2000-04-18-TUE

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