ピーコを、チェック。
杉浦克昭自伝的対談。

第15回 愛の吸血鬼なのよ。




ピーコ 今やってることが正しいのか、
間違った方向に行くのかについても、
自分でどんどん判断していきたい。
・・・っていうことは、
誰かに口を出してもらいたくないわけ。

人のことには口出したい時があるけど、
自分の時は、もう全然カマってもらいたくない。
だから、今みたいな状況は、
ほんとは落ち着かないの。

バラエティに出てるのも、
あまり、居心地よくないの。
ただ、困ったことに
人間関係でもっているというか・・・。
いつも「浮いてるなあ」って
思いながらやってますよ。
糸井 今ってさあ、メディアに出る人がぜんぶ、
建前の正直ぶったところまでは
全部「本音だ本音だ」って言うけど、
ほんとに正直なことって、
ほとんど言わないじゃないですか。
言っちゃいけないっていうところは
ほとんどの人が守り続けているじゃない?

でも、そこがピーコさんだと、
言わないことは言わないって決めてるけど、
でもいちおう正直に全部言いますから、
みたいなところで、
みんなに当てにされてるんだろうね。
ピーコ それがすごく困るときも。
ファッションチェックも、
もう15年くらいやってるけど・・・。
糸井 え? そんなやってるの? 
ピーコ だってわたし、26年間テレビに出てるけど、
レギュラーがなかった時、一度もないんだもん。
糸井 へ〜っ。
ピーコ こんなにレギュラーがあるのは
めずらしいわよ。今、週8本もあるんだから。
糸井 アイドルだね、まるで。
ピーコ そこが、すごく自信がないの。嫌なの。
「何でこんなことしてんだろう?」って。
糸井 わかるわかる。
要するに、ショーケースばっかり
増えていっちゃうみたいなことになるよね?
ピーコ きっとね。
昔はファッションチェック、嫌がられたの。
でも今は、もうどこに行っても、
「やってください、やってください」で。
糸井 そこにいる編集者の某くんの同僚の女の子たちは、
ピーコさんのファッションチェック、
「怖いけど、されてみたい」んだって。
ピーコ それで、講演やディナーショーとか
そういうところで、
ファッションチェックをやってくれっていう
依頼も、あるの・・・。
糸井 それは、おかしいよね?
ピーコ そういうのはぜんぶ断ってる。
あれはビデオで編集ができるし、
どんなことを言われてもいい、
と思っている人が出てくるわけだから。
糸井 あれは、芸の一つだからね。
ピーコ お金を払った素人さんを、舞台の上で
みんなの前で笑いものにするのって・・・。
私は、一対一で会っていれば、
「ここを直した方がきれいになる」
っていう話を普通にするから。
そういう時には、こき下ろすことは出来ない。

ただ、だけど今は、取材に行くのが
すごく楽になったってスタッフが言ってます。
「ピーコさんの」って言ったら
出てくれる人がいっぱいいるんだって。
昔は、もうわたし本人が行っても、逃げられたもん。
糸井 何か、昔、ピーコさんが
青山で走っていたの見かけたことあるもんな。
あれ、ファッションチェックしてたんだよね?
俺たち、道端でよく会うんだよ。
なんか知らないけど・・・。
昔そういえば、俺がパチンコの帰りでさ。
ピーコ そう。
めし屋に入るとこだったわよ。
糸井 定食屋に入ろうとしたら、
「あんたそんなもの食べるの?
 もっとちょっといいもの食べて」って。
あれねえ、ちょっと、うれしかったの。
ピーコ 「めし」と書いてある店に、
さっさと入っていったからねえ。
あ、今あそこなくなったの?
糸井 なくなったね。
ピーコ あの時、重里がパチンコやるってことに
びっくりした。わたし、パチンコとか
ギャンブルは、1度もやったことがないの。
糸井 おもしろいよ?
ピーコ そりゃ、そういうのが好きだからでしょ。
わたしは、自分が動かないで、
お金が倍になったりすることって、
すごくいやなの。
糸井 それはばくちの性質と
ゲームの性質と2種類あって、
ぼくは要するに、ゲーム好きなんですよ。
釣りだって、そういうことでやってる。
ピーコ そうみたいね。
わたし、ゲームもできないの、
ルールを覚えられない。
糸井 スコアはつけたのにねえ。
ピーコ でも、好きな人がやってないと
興味ないから、今も野球なんか見ないの。
好きな人がやってるのがいいの。
・・・野球が好きなんじゃなくて、
好きな人がやってるからいいの。
糸井 (笑)愛に生きてるんだね。
ピーコ 愛に生きてるのに、
愛されないという、
愛の吸血鬼なのよ(笑)。
糸井 (笑)いいわぁ。
なるほどね。
だって、最初から成就しない愛じゃない?
成就がなんだか分かんない愛なんだ?
・・・それは、美しいね。
ピーコ そんなことないよ。
ちゃんとハグしてもらえるんだもん。
どういうつもりでハグしてるか分かんないけど。
糸井 ものすごく複雑だね、それは・・・。
あの、男だと「やっちゃう」みたいなところが
あったりとか、籍入れちゃうとか・・・。
ピーコ だからオカマなんか、すごいわよ。
「あんたキスできるんでしょ?
 キスまでいったら、こっちのペース。
 キスしながらあそこ握っちゃって
 気持ちいいって言えば、やれるわよ」
ってオカマが言うんだけど、そんなの不純じゃん。
「キスだって、不純じゃない!」
と言われますけど、私にとっては、
キスはぜんぜん不純じゃないの。
だって無理にキスするわけじゃないもの。

男が女の人にキスする時なら、
向こうが嫌がっても
キスして何とかしちゃおう、って思う人が
いっぱいいるだろうけど、わたしは違うから。
糸井 それは、俺はダメなんだ。
無理矢理だけは、いけないって思う。
ピーコ 私もそういうのはぜんぜんダメなんだけど。
「いいよ」って言う人はいいの。
糸井 俺は「いいよ」な気持ちが好きだな。
ぜんぶ「いいよ」で行けたら、
ラクだよなって思う(笑)。
ピーコ あなたはずっと
そうやって生きてきたでしょ!(笑)
私はいいよって言われないところで
ずーっと生きてきたから。
糸井 でもいいよって言わせて見せないと、
目的がないんじゃない?
ピーコ 目的はないけど。
糸井 そうしたら、目的がないまま、
ゲーム性がないゲームみたいで、
ものすごく複雑だよ、それ。
ピーコ うーん・・・。


(つづく)

2001-05-28-MON

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