ピーコを、チェック。
杉浦克昭自伝的対談。

第14回 他人のように見てるね、自分を。




糸井 ピーコさんって、
マッチョな人にいじめられたってことはない?
ピーコ マッチョの人って、
頭もマッチョだと思う。
・・・頭がマッチョって
どういうことかというと、デリカシーがない。
糸井 力で支配できるっていう発想ですよね。
ピーコ そこが嫌いなの。
テクニックがないとか
そういうので嫌いではなくて。
走って美しければ競馬の方がいいし。
何でも速けりゃいいとは、思わないもん。

限界に達しても、いろんなものを注射して
わけわかんないものを飲んで、
そういうのが、嫌い。
わたしが嫌だと思う人は
だいたい考え方がマッチョで、
そういうのは、図々しいと思うのよ。
もっと、隅のほうで生きているなら
何も言わないけど。
糸井 そういう人は、隅のほうで
威張ってても、しょうがないからね。
ピーコ でも、わたしは、もし自分がだめだったら
隅のほうで生きようかな?って思うもん。
今も、真ん中で生きてるわけじゃないけど。
糸井 でも、この頃はすごく、
ピーコさんの位置、変わってきているよね?
ピーコ わたしは普通に生きてて、まったく同じだけど。
糸井 だよね?
ピーコ それが、何かおもしろがられてる、
っていうのが、すごく嫌なの。
糸井 いや、いい方向に、だと思いますよ。
ピーコさんの言いたいことが、
きちんと通り易くなって
きてる時代だと思うのよ。

今までと同じこと言っても、
よりよく聞こえるようになってる。
お客さんっていうか、視聴者にとって。
・・・例えばあの、本の書評番組なんてさあ、
もう自由、のびのびじゃない?
ピーコ だってあれは、わたしたちが
本のことを評論するわけじゃなくて、
ただの好き嫌いだもん。
好き嫌いっていうのは、ラクよ。
糸井 深夜だってせいもあるけど。
ピーコ だって、ピッてなっちゃうでしょ。
糸井 あれが一番面白いじゃない。
ピーコ あれもう終わるのよ。3月で。
糸井 ええ、惜しいなあ。
あれはすごくおもしろいじゃない?
ピーコ 本の番組をやっていていいのは、
無理してでも本を読むところよ。

でも、わたし翻訳もの、なかなか読めない。
あんまり名前が覚えられないというか・・・。
名前を覚えられないと、
もとに戻って何て名前だったっけって。
糸井 (笑)
ピーコ もしかしたら、
あんまり外国人に興味がないのかもしれない。
だから名前が入ってこない。
糸井 意識してないんですかね。
ピーコ ブラッド・ピットは、
見れば、かわいいと思うかもしれないけど、
肌を見ちゃうと、毛穴が一つずつ
見えたりするでしょう?
糸井 要するに、
違う生き物に見えちゃうわけだ。
ピーコ パリも好きだし、ニューヨークも好きよ。
でも、外国人が好きっていうと、そうでもない。
アメリカの文化は嫌いじゃないけど、
アメリカ人と友だちになる気もないの。
友だちにならなくっても、生きてる。
糸井 まにあってるの?
ピーコ 外国のおともだちいるけど、
その人たちは一生懸命こっちが言いたいことを
聞いてくれるし、当たり前のことだけど、
相手の言ってることをわかろうと
努力してる人とは、お友だちになれるわよ。

だけどフランス人でもアメリカ人でも、一般的には、
まずフランス人はフランス語ができなければだめ、
アメリカは英語のだめな人は相手にしないでしょ。
だからそんなに・・・。
糸井 コミュニケーションしようと思う人だったら、
もうすでに成立できる人なんだ?
ピーコ まあそこまですごくはないし、
そりゃ日本人だって
コミュニケーションのできない人は
山のようにいるわけだから。
なんだろう?
そりゃ重里が言ったように
ただ単に、開き直ってんのよ。
だから、英語の能力がないの。
糸井 でも、開き直るのってなかなか難しくてさ。
やっぱりぼくらは揺れ動くのよ、
男らしくないから。
ピーコさん、マッチョじゃない割には、
いちいち男らしいね、
ピーコ だって手術をする時に、
目を取るってことを決める時でも
さっさと決めちゃうもん。
糸井 そこもすごいよ。
他人のように見てるね、自分を。
ピーコ それはね、そうしないと・・・。
もともと、自分っていうものに対して
そんなに自信があるわけじゃないでしょ?
だから、どこまで何をできるか、とか
どういうふうになるのか、っていうことは、
自分が自分から50メートルくらい
離れて見てないと、それは大変なことになる。

2001-05-17-THU

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