OL
ご近所のOLさんは、
先端に腰掛けていた。

vol.95
- Let's say "Whisky!" -


ウィスキーとコミュニケーション

えっと、こんにちは、飲んでますか?

ウィスキーポスター

もうすぐ『ウィスキー』というウルグアイ映画が
公開される(もうされてるかも)ので、
こんなごあいさつで…。

この映画のコミュニケーションは、
素朴ながらとても素敵なので、
今日は関連してコミュニケーションの話を。

このあいだから、とあるエネルギー関係の会社で
ウェブコミュニケーション実験をサポート
していました。

このごろは多くの企業が、
「コミュニケーションがうまくいかない」
という問題を抱えているようですね。
たとえば、顧客との対話不足とか、
縦割りで横断的な意思の疎通が少ないとか、
隣の席なのに、何を考えているかわからないとか、
遠くの席の人とは仕事が違うから話したことがないとか、
支社の人と情報共有するような手段が少ないとか。
どれもなかなかビジネスの根幹に関わる問題かも
と思いました。

そんなコミュニケーション不足を少しでも解消し、
他人の関心事にも関心を傾けることが出来る、
デジタルな方法はないものだろうか。
しかも廉価で簡単で楽しくて。
みたいな条件で使えるツールを考えてみました。
ありました。

ブログとか…

いま流行りのブログ(ウェブログ)とか、
ソーシャル・ネットワーク・サービスとか、
ウェブが単なる情報発信ツールではなくて、
何か付加価値を産み出すような
コミュニケーションツールが活発になってきましたね。
(ようやくIT山3合目くらいかな)
「ほぼ日」読者のみなさんも、
読者をたくさん抱えている人気ブログのオーナーだったり
するのではないでしょうか?

実際、どのツールを使うかを決めるときは、
「コミュニケーションを活用して何をしたいのか」
その目的に合ったツールを選ぶことが大切ですよね。

たとえば自分の活動記録として残しておきたいし、
それに対する他人の反応も知りたい。
同じような活動をしている人の様子も知りたい。
そういう目的なら、日記の形態が生みの親だった
「ブログ」が便利です。
まず自分の記録をアーカイブとして蓄積することができるし、
公開することによって、関心をひきつけられます。
トラックバックやコメント機能は
「つなぐ」ためのシステムなので、
読者の反応を知り、他の人とのつながりができます。

従来のホームページは、いま考えると、
様々な形態をとり、それぞれが独立しているので、
その造りが、りっぱな建物だとか、
藁葺きか(笑)など違いはあっても、
とにかく「一軒家」を構える感じでした。

それに対して、ブログというのは、大小の差はあれ、
マンションの一室を賃貸した感じでしょうか。
ブログ経営会社に登録(契約)することによってカギをもらい、
コンテンツの編集・削除や、新規登録をして室内を飾り、
またビジネスを始めることもできるわけです。
そこを基点に多くの人とつながり、一緒に活動をしたりも
できます。

一方、コミュニケーションの目的が、
会社のような閉じた環境で、つながりを大事にし、
情報交換を頻繁に行いたいということであれば、
私のお勧めは、なんといっても「関心空間」です。

トキメキの関心空間

「関心空間」のこと、覚えていますか?
2003年に『関心空間遊泳する』で紹介した
コミュニケーションエンジンです。
「キーワード」で「つながり」を作ることと
「自分の空間」を持つというのがユニークで、
コミュニティ作りが簡単になるな〜と感動しました。

Kanshin.comサイトは、
最近は溢れそうなくらいユーザーが増えて、
人気ビッグサイトに成長しました。
なんとコンテンツを作るライター(登録ユーザー)の数は
2万5千人を越え、キーワード数は17万に届く勢い。
つまりコンテンツ数が17万近くあるということです。
この量の情報がすべて自動でアーカイブされて、
いつでも取り出せる機能があるということ。
しかも情報と情報がどのような関係があるかという
「つながり」を目で見ることができるということ。

それから、2万5千人ユーザー分の個人の空間(ページ)が
自動生成されるということも「関心空間」の大きな特徴で、
これは従来の掲示板とは大きく異なるポイントです。
自分の居場所があり、それを他のユーザーも
閲覧できるということは自分のアピールができるし、
それだけに自分の発言に責任を持つことが
自然に必要となるということです。

関心空間のユニークな「つながり」機能は、
ブログでいうとトラックバックに似ているでしょう。
違いは、「つながり」の全体図が空間の中で確認できる
ところです。
トラックバックだと自分につながる誰かがいるという
ところまでは見ることができます。
でもその先のつながりについては、
つながり先のサイトへ行かないと見えない、という点で
つながりが遠くになった感じがします(ん?わかりにくいかも)。
関心空間だとつながりの一覧ができて、
つながりの先のつながりも、そのまた先のつながりも
一挙に見えます。

まあ、とにかく、
こんなに便利で、ビジュアルがきれいで、
いつも動きがあるというインテリジェントなツールって
やっぱりトキメキを感じずにはいられません。

「温度」を感じるクウカン実験

そのビジネスユースの関心空間SPを使って、
現在、部内メンバー約60人で、
ある「クウカン」を作っています。
遠くの席で話したことのない人とグルメ情報を交換したり、
重要なニュースを教え合ったり、
おもしろいイベントの提案をしてくれたり。
それらを60人みんなでシェアします。
もちろん仕事濃度の高いクウカンめざしてますけど、
まあときには雑談クウカンになってしまうかも。
でもコミュニケーションって、
呑みやの方がうまくいくこともありますよね。
そういうリラックスが大事なときもあるし。
うまくナビゲートしていく小技はときどき必要です。

けっこう同じ部といっても、仕事が違うからと、
ほとんど話さないで毎日終る人がいっぱいいます。
その積み重ねがコミュニケーション不足を生み、
悪くすると大きな事故につながったり、
はたまた業績ダウンにも影響するかもしれません。

仕事中にウェブやインターネットを使うというと、
メールで仕事のやりとりをしたり、
事務手続きをオンラインでやろうとか、
今まで紙の配布だったのをウェブ閲覧にしようとか、
とかく「紙の代り」と考えがちでした。
悪いことには、一部の悪用者のために、
情報流出とか、遊びにしか使わないとか、
悪い印象しか持たない人もたくさんいます。
それはものすごく残念でもったいないことですね。

もっと知的レベルの高い、生産的な、そして楽しい
使い方があるのです。
関心空間やブログのような
コミュニケーションツールの登場は、
いままでのウェブ概念をガラリと変えることになると
思います。実際、変えていますよね。
それは「人間が使うから」という単純な理由です。
つまり「人間の温度が感じられるから」です。

とくに、関心空間は多次元な作り方で、
人間が多面的な生き物であることを 表現しているようで、
ツールとしてのアーティスティックレベルが
高いな〜と感じます。

コンピュータの性能が上がると、
やれ動画だ、ストリーミングだとか、
ハードなところを強化するのが、
時代に乗り遅れないことだと間違うのですが、
そうではなくて、それを使っていかに
人間の創造力を高めるかが問題だと思います。

さて、ここらで、
「やっぱりコミュニケーションには、
飲みニケーションでしょう」なんてオトナ語で、
トットト飲みに行くほうが早い! っていうご意見には
大賛成です。

だから連休はみんなで、
『ウィスキー』を観に行きましょう。

とは言え、この映画は「飲み中心」の話では
ありません(ふふふ)。

ウルグアイのこと、『ウィスキー』のこと

2004年東京国際映画祭グランプリ、主演女優賞、さらに
2004年カンヌ国際映画祭オリジナル視点賞・
国際批評家連盟賞に輝いたウルグアイ映画の
『ウィスキー』です。



東京国際映画祭での記者会見がとても心に残っています。
フアン・パブロ・レベージャ監督(右)と
主演のアンドレス・パソスさん(左)が並んで、
満面の笑顔で、背の高い身体を揺らして喜びを表現して、
「あ〜本当にうれしいんだなあ」と、
目頭がじんわりきたのを覚えています。

さてウルグアイという国のことをご存知ですか。
私は恥ずかしながら「うーんと南米のどこかだ」
くらいの認識でした。トホホ。

映画のサイトに書いてあるんだけど、抜粋しますね。
国名はウルグアイ東方共和国。
南米大陸南東部に位置し、
ブラジルとアルゼンチンにはさまれた、
日本の約半分の面積の国土に人口339万人が暮らす国。
首都はモンテビデオ。
公用語はスペイン語。
国土の90%が牧場。
日本と時差12時間。

映画製作の事情はとても厳しくて、
これまでに国内で製作された長編映画は約60本。
2002年まで映画産業が存在しないような状態でしたが、
この『ウィスキー』を作った
フアン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール監督の
デビュー作『25ワッツ』がきっかけとなって、以来、
年間1〜2本の映画を製作されるようになったそうです。

去年の東京国際映画祭のグランプリ受賞の翌日に、
大統領選挙が行われるのだということを、
レベージャ監督が記者会見の席で
興奮して語ってくれたのですが、

(お助けWikipediaを見ると)
「2004年10月31日の大統領総選挙で、
社会党、共産党を含む20以上の
左翼・中道勢力を結集した
『進歩会議・拡大戦線・新多数派』(通称:拡大戦線)の
タバレ・バスケス候補が、
与党である国民党のホルヘ・ララニャガ候補を抑え当選した。
それにより1852年の独立以来、コロラド党、国民党という
親米保守の二大政党による独占支配に終止符を打った。」

そんなウルグアイの状況が一変した重大な日の受賞、
ということで、なおさら監督の興奮もひとしおだったのだろうと、
私もあとでさらに感激していたのでした。

さてこの映画の舞台は、
ウルグアイのさびれた街にある小さな靴下工場です。
工場長ハコボの弟が、ブラジルからやって来て
ひさびさの再会をするというので、
ハコボがちょっと見栄を張りたくてあるお芝居を
事務員のマルタと演じることになりました。
マルタは「生真面目さだけが取り柄の中年女」で、
本当にそうとしか見えないミレージャ・パスクアルは、
主演女優賞を取りました。最高です。
注目すべきは彼女の「逆さ言葉」遊び。
このコミュニケーション術が「天才的!」と思います。
ぜひ映画の中で堪能してください。

見終ったあと「アキ・カウリスマキみたいだ」と
思っていたのですが、アメリカの批評でも
「南米のアキ・カウリスマキ」となってました。
ほんとに空気がそんな感じです。
南米のイメージがくつがえされるかもしれません。
観てポォーとあったかくなってください。
合言葉は「ウィスキー!」です。

来場者にプレゼントがいっぱいあるみたいなので
ぜひこちらをチェックしてお出かけを。
Special thanks to Emi Saito (Moviola).

ご近所のOL・まーしゃさんへの激励や感想などは、
メールの表題に「まーしゃさんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2005-04-28-THU

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