ポケットに『MOTHER』。
〜『MOTHER1+2』プレイ日記〜

9月3日 無口な街


このゲームはいつの間にか無口になるのだ。
あの手この手でもてなしてくれていたのに、
気がつくと長い廊下に取り残されているのだ。
仄暗い灯りが遠くにぽつんと点っていて、
僕はもう、そこへ向かって進むしかないのだ。

このゲームはいろんな企てをして
プレイヤーをあちらこちらに振り回すけれど、
本質的には驚くほどオーソドックスなのだ。
いろんな変化球を投げて、
のけぞらせたり、タイミングをずらしたりするけれど、
ここぞというところでは
綺麗なフォームから伸びのある速球を
キャッチャーのかまえたミットに向かって
ぴゅっと投げ込んでくるのだ。

このゲームはお約束を疑い、
盲目的に継承される様式やルールを
いちいち問いつめていくけれど、
「これでいいのさ」と決めたところに関しては
てらいなく王道を踏みしめていくのだ。
「どっちでも好きなほうでいいんだぜ」と、
余裕たっぷりで自由な行動をほのめかしたりするけれど、
ほんとうの自由は
快適なことばかりじゃないと知っているから、
状況によっては突然「こっち!」と叫ぶのだ。

その証拠に、どこかへ向かって急ぐ僕は、
「どうか無事でいてほしい」なんて願っているのだ。
なんて、オーソドックス。

あらためてことわるまでもないことだけれど、
この日記はどんどん不鮮明になっていく。

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2003-09-04-THU


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