『MOTHER3i』という素敵なアルバムタイトルは、
先にCDとして発売された『MOTHER3+』と同様に
糸井重里さんがつけてくださいました。

糸井さんのお話によれば、『MOTHER3+』は、
『MOTHER3』というゲームが、
ゲーム以外のものや人を
巻き込んだアルバムだということでした。
大貫妙子さんに歌をうたっていただき、
クレイジーケンバンドのメンバーに演奏してもらい、
それらのレコーディングには
ミキサーやエンジニアの方々を含め
たくさんの外部のスタッフにご協力いただきました。
また、収録された曲も、
鈴木慶一さんや田中宏和さんの手による作品があり、
その意味でも『MOTHER3』に
『+』されたものだと思います。

一方、『MOTHER3i』の『i』には
どんな意味が込められているのでしょうか。
iPodやiTunesの『i』でもあるけれども、
なにより、一人称の『i』なんだ、
と糸井さんはおっしゃいました。

「その一人称というのは誰ですか?」と、
とぼけた疑問を糸井さんにぶつけたところ、
要するに、「おまえのことだよ、酒井」
というふうなお答えをいただきました。

そんなわけで、この『MOTHER3i』には、
私、酒井が『MOTHER3』のために
長い開発期間中に(足かけ10年!)
作った曲ばかりが詰め込まれています。
自分で作った曲を、自分でアレンジし、
自分でミキシングまで手がけました。
外に向けて開いた『+』に対して、
『i』は内部熟成型だといえるかもしれません。

制作は、2006年の夏の約1ヶ月、
ずっとひとりで行っていたのですが、
不思議と煮詰まることはありませんでした。
それは、糸井さんにいただいた『i』という
コンセプトのおかげだと思っています。

『MOTHER3i』というアルバム名に決まる前は、
「お客さんはどういう曲を聴きたいんだろう?」
ということばかりが気になってしまって、
一向に選曲が決まらない苦しみを味わいました。
しかし、糸井さんがこのアルバムに『i』と名づけ、
「おまえだよ、酒井」と背中を押してくださったあとは、
「そっか! 一人称のアルバムを作っていいのだから、
 自分が納得する、自分の好きな曲を集めよう!」
と、ハラが座りました。

ですので、『MOTHER3i』の選曲は、
完全に私、酒井の趣味が反映されたものとなっています。
もしも、あなたのお気に入りの曲が入ってなかったら
ゴメンナサイ!