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『ポーキーのポーキー』『ポーキーさまのテーマ』『戦いの記憶』)


『ポーキーのポーキー』‥‥
この曲はファミコンの音を模しています。
「通称:ピコピコ音」ですが、
この音が琴線に触れる、という方が
予想以上にいらっしゃったことに驚いています。
皆さん、ほんとにこの音が好きなんですね。
この音をゲームボーイアドバンス上で
再現するのは簡単です。
「ピコピコ音そのもの」を出す音源が、
アドバンスのゲーム機本体に内蔵されていますから。
ところが、自分が現在使用している
コンピュータやシンセサイザーの機材で、
この音を模すのは、なかなか骨が折れる作業です。
デスク・トップ・ミュージック専門雑誌などでも
「ファミコンの音を再現してみよう」といった企画が
時々取り上げられていますが、
実際、そのレシピに従ってやってみても、
なかなか本物のファミコン音にはなりません。
なので、自分としては、この『ポーキーのポーキー』は
『i』へは収録しないつもりでいました。
しかし、どうしてもこの曲を『i』へ入れるべきだ、
と強く推す方がいらっしゃたので、
その方へ捧げるつもりで、方針変更しました。
ちなみに、その方とは、任天堂の呉服さんです。
『MOTHER3』のゲーム本体のプロジェクトを
強力に牽引して下さいました。本当にお世話になりました。
いやはや、それにしても、
最新の機材でファミコンを真似るのは難しい‥‥。
『ポーキーさまのテーマ』‥‥
長い曲です。大きく分けるとテンポの速い前半部と、
テンポの遅い(実際はテンポ150で同一ですが、
印象として遅い)後半部に分けられます。
前半部にポーキーの主題がメロディを取るのは、
当然と言えば当然なのですが、
後半に出てくるメロディは『サルの宅配便』や
『妖精(クマヒゲいちおし曲)』のメロディと共通です。
これはいったいどういう意味が? という、
とても深く突っ込んだ質問をしてくれた人がいました。
この方は、相当、『MOTHER3』を
やりこんでいらっしゃるのでしょう。
こういう「やり込み派」の方へウソはつけませんので、
正直にお答えしました。
「実はNINTENDO64の頃の名残が‥‥。
 64の『MOTHER3』開発中止を発表した際に、
 ほぼ日さんのページで、
 タツマイリ村のテーマ音楽を聴けるようにしましたが、
 そのメロディなのです。
 当初、タツマイリ村は
 あのメロディがテーマだったんです」
すると、その方は、
「あぁ、あの曲、好きだったんです。
 なぜ使わなかったのですか?」と。
‥‥正直に答えました。
「自分としても使いたかったし、経済的な事情
 (アドバンス版で新規に曲をおこすよりも、
 使いまわせるものがあれば使いまわして
 開発効率を高めたいという事情)
 もあって使うべきだったのです。
 実際、この曲はアドバンス用に
 何パターンもデータが作られて、実機にリンクしました。
 しかし、いざ、画面にはめてみると、
 のんびりし過ぎて、ゲームに合わないのです。
 テンポを上げてもダメだったのです。
 やはり広々とした64の画面からの印象と、
 アドバンスの画面のサイズからの印象とでは、
 合う曲が変わってくるんです。
 つまり、自然と、ゲーム画面のほうから、
 曲を選んでくるんですよ」と答えました。
その曲がなぜポーキーのとの戦闘に紛れ込んだか。
それは、自分でもよく説明できません。
長い『MOTHER3』の歴史のなかでは
理由なく紛れ込むものもあります、
としか、言いようがありません。
『戦いの記憶』‥‥
『戦いの記憶』は、走馬灯です。
今までの記憶が走馬灯のように
駆け巡るような曲にしてみました。
固定したドラムマシーンのビートの上を、
『やんちゃなブルース』『ずうずうしいマーチ』
『オバケのためのエチュード』
『メカドラゴとのたたかい』『哀しき改造』
『ブタ的なやつら』『手ごわいやつ』
が次々と走り抜け、最後は力尽きて‥‥倒れます。