KANA
カナ式ラテン生活。
スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。

 
『脳に良さそうな国、スペイン』


オラ!
『海馬』を読んで感動中の、カナです。
スペインは、なんて脳に良い国なんだろう!


睡眠が大切。うんうん。
スペインにはシエスタ(昼寝)の習慣まであるぜ。
しかも昼食はたっぷりフルコース。
もちろんワインも飲んで、楽しむ楽しむ。
まるで1日の終わりの優雅な晩餐会。
こうやって
1日が真ん中で短い2日に分かれるから、
午前も午後もまのびせずに集中して楽しめるのかも。
これを心理学用語で初頭効果と終末効果という?


サフランって、記憶力を保つのに効果あり。
うんうん。
パエージャのあの黄金色は、なにを隠そうサフラン。
サフランの生産量世界一は、なにを隠そうスペイン!
ついでに
ポリフェノールたっぷりなワインの生産は世界3位で、
オレイン酸ぎっしりなオリーブの生産は世界一。
あぁなんて身体に良いの!


ちょっとした「生命の危機」状況が脳を活性化させる。
うんうん。
夏の、エアコンなしの気温40度強って状況は、
明らかに生命の危機だもんな。
街を歩けば強盗に襲われやしないかと
常に周囲への注意が欠かせない日常。
これまた明らかに生命にの危機だぜ。

というのは冗談としても、
スペインに来てはじめて気づいた事実。
便利や快適じゃないというのが、こんなに愉快だとは。

商店は2時から5時と土曜の午後と日祝日とは休むから
まっとうな時間に買い物しないと食いっぱぐれる。
鶏肉や豚肉は骨や毛がついたまま売られているから
ちゃんと処理しないと食べるときに怪我しちまう。
ガソリンの給油、タイヤの空気圧チェック、
ワイパーやライトの交換、
ぜんぶ自分でちゃんとやらなきゃ大怪我のもと。

どれもいちいち面倒くさいけど、
やんなきゃなんないからしぶしぶやってるうちに
愉快爽快な気分になってくる。

良いよ、不便。
手を動かして、自分に必要なことをすること。
きっと脳にも良いのだろう。


なるほどね、スペイン。
そりゃみんな、良い顔してるわけだ。



ところで私は、
日本で毎日吐くようなストレス感じて
キリキリキリキリ生活してたのに、
こんな太陽たっぷりの外国に来てみたら
笑っちゃうほど毎日楽しくなってしまった、
幸運な例のひとつ、です。

たまたま選んだスペインが、良かったみたい。

いま同じスペイン在住日本人女性への
インタビューをしているのだけど、
「ストレスって、ないよね」だの
「いま楽しいよ。
先のこと考えなきゃいけないんだろうけど、
なんかどうでもよくなった。
エヘヘヘ」だの、
日本だったら頭をコツコツ叩かれてしまいそうに
幸せーな顔をしているひとが多くて、
こちらまでシヤワセーになってしまう。

そういう顔にさせてくれる国らしいのだ、どうも。


たとえば生死を賭した闘牛、
たとえば喜怒哀楽を全身で表現するフラメンコ、
絵を見てもピカソにミロにダリ、
建物を見ればガウディ、
過剰ななにかで日常のあれこれから
ぽいーんと解き放ってくれる「お楽しみ」が多い。
これも、理由のひとつではないかと思っている。

だって、「ガラスのビンを捨てる」という
くそおもしろくもなさそうな行為だって、
私にはとても待ち遠しいお楽しみのひとつなのだ。


(これがガラスビン用回収箱)

回収箱の上部、頭の位置ぐらいにある
台所の流しの排水口みたいな丸い部分に、
ビンをぐいっと押し込む。
すると、ビンは、当然、ガチャコン!と割れる。
モノによっては、パリシャン!とかの音を立てる。
とにかく、割れる。
痺れるほど、気持ち良い。
誰にも怒られずに、ものを壊していいんだもんねー。
たまに心の中で
「なによ、あなたなんてっ!」と
夫婦喧嘩の真似をしてみながら割ったりして。
もう、楽しくて仕方ない。


あぁ、スペインに来て、
私の脳ってば本当に良かったね。
ストレスなんて感覚、すっかり忘れたもんねー。

幸せには、なれるもんですばい。


カナ http://www.kanasol.jp






『カナ式ラテン生活』
湯川カナ著
朝日出版社刊
定価 \700
ISBN:4-255-00126-X



ほぼ日ブックスでも
お楽しみいただけます。

もれなく絵はがきが届きますよ。

2002-07-18-THU

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