KANA
カナ式ラテン生活。
スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。

 
【2001年、日本の旅。(5)】


東京で1週間ほど過ごしたあと、
ちょっとだけ故郷に帰ることができた。

ちゃんぽん食べて皿うどん食べて
うなぎ食べてカワハギやイカの刺身を食べて
タコブツやフグの唐揚げを食べた。
食べながら、
ひさしぶりに会った両親と兄の家族とみんなして
たくさんしゃべった。
よかった!


長崎空港から羽田(1時間40分)、
羽田から成田(約2時間?、でも要1泊)、
成田からアムステルダム(11時間45分)、
アムステルダムからマドリー(2時間25分)、
乗り換えも入れると
なにがなんだかわからんほど時間をかけて、
日本との間に直行便のないスペインへ戻って来た。

成田を出る飛行機では
「ただいま16名のお客様のご搭乗をお待ちしています。
 お急ぎのところ誠に申し訳ありませんが
 15分ほどお待ちいただけますようお願いいたします」
なんてアナウンスが入ったのに、

乗り継いだアムステルダムからの飛行機では
30分も遅れたのになんの説明もなかった。
(この路線、1時間やそこらの遅れは当たり前。
行きの便ではなんと"自由席、早いもの勝ち"に
なったりもしたのだ)


マドリーの空港に着いたら、
迎えに来てくれたダンナさんが
「昨日な、ここの駐車場でまた
 ETA(バスクの独立を求めるグループ)の
 コチェ・ボンバ(自動車爆弾テロ)があってん」
と教えてくれた。

あらら、と立ちすくむ私に向かって
「で、食べたん? ヨシギュウ。
 え、4回も食べたんか。
 ええなぁ、ええなぁ、
 なにがって、それがいちばんうらやましいわ」
と笑顔で恨み節を聞かせてくれた。

スペインに、戻って来たんだ。



振り返ってみると、2年ぶりの日本は、
……疲れた。

それは、私が日本人だからかもしれない。
だってこっちに住んでいるぶんには
意識的に見たり聞いたりしないと
目や耳に入ってくる言葉の意味はわからないけど、
日本ではぜんぶわかっちゃうから。

ひょっとしたら、
私がおデブちんになったからかもしれない。
なんか居心地悪かったよー。
(でも開きなおってノーブラ後は、
きっとまわりのひとが居心地悪かったよね、ゴメン)


でもって、
私の"上京組イナカモン"性質が大きいと思うんだけど、
日本ではいつのまにか
"まわりの目"を気にするようになっていた。
だいじょうぶ? 浮いちゃってない? って。
そういうクセを、ひさしぶりに思い出した。

湿気が多いのもひとがたくさんいるのも疲れるけど、
どうも日本にいると
自分を絶えず周囲のなにかと比較してみたりとか
いらんことを考えるのにたくさんエネルギーを使って
変に疲れることが多かったな。


あるいは、移動の間ずっと
重い荷物をひきずっていたからかもしれない。
去年ギックリ腰をやった体で、20kgのかばん。
浜松町駅近くの交番で
「すみません、エレベータかエスカレータのある
 駅の出入口ってどこにありますか?」
と訊いて
「あぁ、ないんだよ、そういうのね。
 ぜんぶ階段」
と言われたときは、気が遠ーくなった。

汗ボタボタたらしてかばんと階段をのぼりながら、
「あぁもう私の腰がもっと悪かったらどうすんの。
 もし私が足を怪我したらどうすんの。
 赤ちゃんとベビーカーがあったらどうすんの。
 フガフガ」
と、きっつい顔になってなにかを呪っていたら、
荷物がきゅうに軽くなった。
顔をあげると、スーツ姿のおっちゃんが
「どう、すこしは楽でしょう?」
と、かばんを持ってくれていたのだ。

ありがとう。
そんでもって
「もしスペインだったらすぐに誰か手伝ってくれるのに
 日本って冷たいよ。もう」
ってかんたんに結論づけかけてたことを、反省。


ありがとう。
やっぱり、4年に1度くらいは日本に行きたいなぁ。
なんやかんやいうても、大好きなんだ。

2001-09-10-MON

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