KANA
カナ式ラテン生活。
スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。

 
【2001年、日本の旅。(3)】


東京での、約1週間。
私は友人の忠告どおり、
ちゃんとメークもしてブラもつけて街に出た。

「うわー、ひと、多いなー」
「ビル、高ーっ!」
「あっすいません、ぶつかっちゃった」
「ほんとに3分おきに来るよ、山手線」
「ホホウ、これが流行りの日傘ね、フンフン」
「あっ、ティッシュもらっちゃった」
「よよよ、新宿、摩天楼やなぁ」

よく考えると、
10年前に上京してきたときと
ほぼ同じ感想ではないか。
やっぱりスペイン生活で、
すっかりイナカモンになっていたようだ。


東京初日、
乗り込んだ地下鉄でまず驚いたこと。
みんな、細ーい!
っていうか、私、デブ?

身長164cm、体重59kgで日本に行った私は
まぁぎりぎり標準的な体型だと思ってたんだけど、
見渡すかぎりのなかで
いちばん立派なからだつきのことが多かったぞ。
(しかも帰国時には62kgになってたし)

ねぇ、ほんとうに、みんな、細いの?
太めのひとは外出禁止令とか出てるの??
っていうか、細いんだよね、ほんとうに。


そして、さらに驚いたこと。
みんな、似てるー!
髪もメークも、あと服も。

あぁもう私は外国かぶれじゃけん怒らんで聞いて。

スペイン人の知人が日本に行ったとき、
「日本の女の子って
よくふたり連れとかで歩いてるじゃん。
そしたらそのふたりって、だいたい似てるんだよね。
ヘアスタイルも服装も」
と思ったという話を聞いたことがある。

ひさしぶりに日本を見たら、そのきもちがわかった。
同じカテゴリ、同じ"系"なことが多いよね、たぶん。

そりゃまぁ、行くところ行ったらいるんだと思う。
でも私が歩いた昼の新宿と夜の渋谷などでは
「ガッハッハ、笑いたければ笑うがいいさ。
でもどう思われようと関係ないよ、
だってこれが私、
私はただの"私系"なんだもんねーっ!」
という雰囲気(体型にしろ服装にしろ)の若い女性って
あまり見かけなかったような気がする。


でも半面
みんなが、おしゃれだったのは感動した。
ちゃんと流行をとりいれて、
ちゃんと流行遅れをとりのぞいて、
とにかくとても気を遣ってたもん。
眉のひと描きにいたるまで。

1シーズンでモードが変わって、
街行くひとを見ればそれがすぐにわかる、っていうのは
これはすごいことだわよ、あーた。
やっぱりねぇ、
まだまだお金あるんだと思った、日本ってば。
だってなんやかや買えるもんね、"今年の"服。


さてさてそんな東京で、
さいしょは「私は私でいくぞ!」と鼻息荒かった私も
やがて周囲を見わたして
「やっぱもうちょっと頑張るか」と
気合い充分のメークをして出かけるようになり、
おぉひさしぶりに都会的になってきたじゃんと
地下鉄の窓に映る顔をほれぼれ眺めていたんだけど、

ある日、そんな自分の顔が思った方向ではなくて
どうも大槻ケンヂに似てしまっていることに気づき
(友人もすぐにうなずいたもんね)、
「やっぱり無理なんばい」と
いさぎよく"東京風"を諦めたのでありました。


ついでに告白すると、4日めくらいから
禁断のノーブラもやってしまっていたのでありました。
だって
あんな蒸し暑いところでチチ締めつけるなんて、
ほとんど拷問でっせ!
あんたも外しなはれ。楽でっせー。


# ついでのついでに告白すると、
ほぼ日の事務所にお邪魔したときには
うっかり前のファスナーを全開にしてました。
楽でっせー!
じゃなくて、これはただのうっかり。
……うっかりするにも、ほどがあるよな。

2001-09-06-THU

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