ONとOFF
出井伸之
新潮文庫 ¥500(税込)

出井さんほど、かっこよさの頂点から
かっこ悪さのどん底までを
まるでジェットコースターのように、しかも、
かけぬけた人っていないの。
普通ね、カリスマ経営者とかスター経営者って
呼ばれた人って、やっぱりどこかで没落をして
忘れ去られる存在になるのよ。
だけど、忘れ去られてから没落するんだよね。
舞台を降りてから転がっていく。
だけど、出井さんだけは衆人観衆の中で、
頂点から滑り落ちて行ったんだよね。
でね、にも関わらず、
彼は未だに現役で頑張ってるのね。
ソニーの経営はしていないけれど、
経営塾をやったりして、一生懸命ね。
だからそういう意味で、ボクは出井さんが大好き。
で、その出井さんがいろいろ本を書いたり、
あるいは出井さんに関する本が
たくさん出てるんだけれど、
この本は出井さんの得意の絶頂になる
直前に書かれた本で、
とても謙虚でとても自然体で、で、何より、
人間にオンとオフが必要なように、
会社や仕事や社会にもオンとオフが必要であって、
そのオン、オフ、両方の接点をつなぐ仕事を
自分はしたいって言ってるの。
これ、結構ボクは好きな考え方。
それまで、カリスマ経営者というのは
極端を売り物にしていたんだけれど、
この人は何かね、この段階では、
バランス感覚があると思う。
とっても好きです。

とじる