APPLE
新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

嫉妬。その1
焼きもちと嫉妬って。
(話が錯綜しつつ)

ノリスケ 焼きもち焼かなくなっちゃった自分を、
いいのか? みたいに思うの、この頃。
つねさん え、そうなの? 焼きもちって、焼くよね?
ジョージ 焼きもち? うーん。
ノリスケ 嫉妬。
ジョージ でも、焼きもちと嫉妬って、
厳密に言うと、違うんじゃないの?
ノリスケ 違うかも。
つねさん 焼きもちって愛情あるけど、
嫉妬って、往々にしてなかったりするもの。
ノリスケ どす黒いものがあるよね。
そうか、嫉妬と焼きもちは、違うね。
つねさん うん。だって、それは、ほら、
その人の才能に対してとか、もあるわけだし。
才能に対して焼きもちって言わないじゃん。
ジョージ 嫉妬って、あれだよね、あのー、
誰かがいて、認めたくないんだけど、
認めなきゃいけないときに、嫉妬が出るんだよ。
だから、人とつきあうときに、
自分より何らかのかたちで、
いい目にあってる子を、
「あ、イヤだけどすごいんだわ」
って認めると嫉妬にならないんだけど、
認めないのに、で、認めないまんまで、
無視しても嫉妬になんないんだよ。
つねさん うん。かばちたれるのね。
ノリスケ かばちたれ(笑)???
ジョージ 認めたくないのに認めなきゃいけない
状況におかれるのが、嫉妬。
だから、『エースをねらえ!』で……
ノリスケ ハハハッ。いきなり?
つねさん そっちきたか(笑)。
ジョージ 岡ひろみが来たときに、
んーと、お蝶夫人も、認めたくなかったわけじゃん。
つねさん っていうか、最初、
認める認めないじゃなくって、
もともと力なかったんだもん。
ジョージ そうだねー。音羽さんっていうのは、
なんか、ほんっとに認めたくなかったのに、
認められてゆくあの子を見て、
わたしは絶対許さない。
ノリスケ 音羽京子。ククッ。
つねさん だんだん自分が抜かれてったからでしょう?
ジョージ そうそうそう。でも、抜かれていくの。
ノリスケ 早川みどりもそうだったよ、
『アタックNo.1』の最初。
つねさん いや、鮎原こづえも最低よ、あれ(笑)。
ノリスケ 鮎原は、あれ、天然だから。
つねさん 天然、あいつは、策士だよね。
ノリスケ そう、おそろしい女だった。
つねさん おそろしいよね。
ジョージ ちょっと!
話がどんどん少女漫画になっています。
つねさん ハッハッハッハッ。
ノリスケ 全巻持ってるし(笑)。
ジョージ でも、でもあれだよね、
おどろおどろしい系の少女漫画的世界のなかには、
嫉妬がたくさんあるんだよね。
つねさん 少女マンガのスポ根には、嫉妬がある。
少年マンガのスポ根にはね、けっこうないの。
ノリスケ あ、認めあっちゃってるのね。
つねさん そうそう。で、友情になるんだよ、もう。
ノリスケ 高めあっちゃったりするのね。涙流してね。
つねさん 敵でも、みたいな。
ジョージ ああ、僕、伴宙太と星飛雄馬が抱きあって涙する
オープニングのシーンで、何回×××……
つねさん ほんまかい?(笑)あんた、でも、
あんた的には、伴宙太と左門豊作でしょうが。
ジョージ 違うのっ、星飛雄馬に
自分を照らし合わせるわけよっ(うっとり)。
ノリスケ ああ……。
テレビ、横にして見たりしなかった?
ジョージ あーっ、話がだいぶ違うところにいってるわよ!
やめなさいよっ。なんか、ほんっとに。
ノリスケ それは飛雄馬に嫉妬?
でもねえ、割って入れない、
体育会系世界への、憧れのような気も。
つねさん 裏腹ね。
ジョージ そうそう、それで思い出したけど、
面白いのがね、英語で嫉妬することを何て言うか、
っていうと……
ノリスケ ジェラス?( jealous)
ジョージ でしょう? だけど、もうひとつの訳があるの。
ノリスケ ん?
ジョージ エンビィ。(envy)
ノリスケ エンビィって、そう?
ジョージ そう。あの、GUCCIの香水にもなっている。
ノリスケ うん。
ジョージ 嫉妬される私。
嫉妬されるぐらい素敵な私、っていうんで。
つねさん たかびーなわけ? ちょっと。
ノリスケ ゴージャスなニュアンスがあるんだ。
ジョージ なんかね、んーとね、
ある人を褒める褒め言葉で、
けっこう素敵な部類に属するのが、
アイム・エンビー・オブユー、
っていうのがあるの。
私は、あなたのことをうらやましいと思うなー、
っていう。
ノリスケ それ、褒め言葉?
ジョージ 褒め言葉なんだよ。
ノリスケ へー。
つねさん それ、ほんとに褒めてるの? それって。
ジョージ うん、ほんとに褒めてる。
つねさん へー。
ノリスケ ジェラスだと……
ジョージ そう、アイム・ジェラス・オブユー、になると、
押しピンか何かが、靴の中に入ってる感じ。
つねさん 髪の毛ひっぱってやる、とか?(笑)
ジョージ そそそそ。だから、んーと、嫉妬、
嫉妬、っていうと悪い言葉のように思うけど、
前向きに? 人を愛するエネルギーに、
あるいは自分を愛するエネルギーに
変えることはできるような気がするの。
……嫉妬されたことって、ある?
ノリスケ 恋愛で?
ジョージ 何でも。
ノリスケ 露骨に?
つねさん あ、僕あるよ、やっぱり。色々(笑)。
ノリスケ ねえ。あるんだろうな、と思いながらね、
目をつぶって見ないようにとかしてるんだけど(笑)。
つねさん そういうの、恋愛でもあるでしょう?
あなたの場合。あったもんね。知ってるもん。
ノリスケ ……あった。あれはね……
つねさん ひどかったよね。
ジョージ ひどかったんですってー?
ノリスケ 解決しないもんね。
つねさん まだね。未だにね、
横取りしたって思われてるんでしょうね。
ノリスケ そのことを考えると、
暗い径に入っていく自分を感じるわ(笑)。
出口なし、よ。
ジョージ ん、だから、人間だれでも、
嫉妬される対象になりうるんだということを、
一回、認識しといたほうがいいと思うよ。
ノリスケ そうなの。自分がぜんぜん普通というか、
真っすぐ生きているつもりでも、
ある人にとっては違う……
つねさん だったら、それは、ほら、
日照権の話じゃないけど、ね?
ノリスケ うん。あの、高いビルにはぜったい影ができて、
そこに住んでる人がワーワー、ワーワー。
つねさん 知らず知らずっていうのは、
あるのかもしんない。
ジョージ そうだね。
つねさん 高嶺の花の人とつきあっちゃったから、
ブチブチ、あーんなブサイクなくせに、
デブなくせに。
ノリスケ 貶(おとし)める。
つねさん うん。
(つづきます)

2001-07-22-SUN

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