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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

デートのマナー その6
決めたい日に行くべきレストランは?

ジョージ 今日はエッチで決めよう、
というときに、行くべき食事処は
二ヶ所だけです。
ひとつは、男が寛げる、
ラーメン屋だとか、焼鳥屋だとか。
ノリスケ あ、はいはいはい。
つねさん 焼き肉とか。
ジョージ で、女の子的には、
も、そこから、一分一秒でも早くに、
立ち去りたい。だけど、旨いの。
つねさん はあ、はあ、はあ。
ノリスケ なるほどね。
ジョージ もう一ヶ所は、
ものすごくゴージャスなんだけれども、
ものすごく、居心地が悪いんだよ。
緊張を強いられるの。寛げない。
オナラひとつできないんだよ。
ノリスケ ま、ふつうもしないけどね。お店で。
背筋伸ばさなくちゃいけないってことね。
ジョージ 訂正。アクビひとつできないんだよ。
で、そういうところで、
2時間、がんじがらめにして・・・
つねさん 開放させてあげる・・・
ノリスケ 開放してあげる・・・
ジョージ そう。開放させるの。
その、どっちか。
ノリスケ へ〜。
つねさん あんた、よくやってたでしょう?
ジョージ ンニャッ?!
ん、いや〜ん。
そなこと言っちゃ、ダメ〜ん。
ノリスケ 下ーか、上ーか。ね。
ジョージ そう。下か上か、どっちか。
ジョージ だからね、そういう意味でね、
中国料理は、女誘っちゃダメ。
ぜーったいダメ。
中国料理は、たとえ一卓10万円で囲もうが、
500円でラーメン食おうが、気軽だから。
つねさん あー。
ジョージ ぜーったいね、今日エッチで、
この女を、とろけさせてやろうと思ったら、
高級な中国料理は、行っちゃダメですっ。
ノリスケ もったいないだけだもんね。
ジョージ 世の中のほとんどの人にとって、
フランス料理屋さんってー、
デーティング・レストランじゃん。
フランス料理屋さんに行って、
ナイフ・フォーク、
ナイフ・フォークが並ぶほど、
女の緊張は極度に達して・・・
ノリスケ そおね。
ジョージ 股開きたくて仕方がないんだけど、
股開けない。
ノリスケ その我慢が、ガマン、ガマン、
っていう状態だよね。
ジョージ 和食とか中華とかっていうのは、
それがね、ちょっと弱いの。
つねさん ふーん。
ジョージ ましてや、焼肉屋。
つねさん あー。
ジョージ 一枚千円の特上カルビを焼こうが何しようが。
ノリスケ だろうが何だろうが、焼肉は焼肉だー。
ジョージ そうなんだよ。
ノリスケ 旨いしな。
つねさん あー、美味しいよねー。
ノリスケ 美味しい、で満足しちゃうけどね。
ジョージ あなたのエッチより、
特上カルビのほうが、旨い?
みたいに言われたら、
ま、うまいの文字が、違うんだけどね。
ノリスケ でも、フィジカルなことだから、
おんなじなんだよね。
ジョージ そう。
ノリスケ 体がわかってるからねー。
ジョージ だから、焼肉やラーメンで、
ラーメン餃子で腹いっぱいにした後の、
エッチっていうのは、
これは、もう、セックスという行為によって、
それに対して、どうだ、良かっただろう?
っていうのは、求めちゃいけないの。
お互いの排泄行為でしかないのよ。
つねさん ほ〜。
ジョージ ね? でも、場末のラーメン屋台でもって、
汗、かきながらラーメン、食った後に、
用意されたのが、
椿山荘のフォー・シーズンズ・ホテルの
スイートだったりなんかすると、
それはそれで、なんか、素敵でしょ?
つねさん ヌッハハハハ!
ノリスケ それは、難しいよー。
ジョージ ラーメン屋でもって、
ずーっと溜めていた欲求不満ストレスを、
もう、カタストロフまで高めて・・・
ぶつけたッ!
ノリスケ それは、上級者だよー。
つねさん すごいね。なかなか、できないよね。
ノリスケ それは、上級者だよ。
つまり、すごくいいリゾート地で、
夜にね、タキシードを着てるんだけど、
タイを、ズルッ、てはずして(笑)、
裸足でシャンパンを飲んでる、みたいな、
お行儀の悪さを演出する、
みたいな高等な難しさがあるよ。
ジョージ 今の日本に、いちばん欠けてるのって、
正装が崩れる瞬間だよね。
つねさん ちょっとこれヤバイよ。おいしいよ。
(註:デザートをいただいています)
ふるーちー。
ノリスケ うん。そう。ないもんね。
ジョージ あのー、欧米とかアメリカで、
男がいちばん色っぽく見える瞬間って、
どういう瞬間か、っていうと、
ほとんどの人が、タキシードを着て、
バリッとした蝶ネクタイを、
ズッ、とはずす瞬間なんだよ。
ノリスケ きゃーっ。
まあ、蝶ネクタイでなくても、
ビジネスマンでもキチッとした、
ちゃんとしたワイシャツを、
最後に、クッて緩めるとこは、
やっぱりセクシーだと思うよ。
ジョージ そう。
つねさん まあ、そうね、確かに。んー。
ジョージ 女がいちばんセクシーに
見える瞬間っていうのは、
イヴニング・ドレスに羽織ったコートを、
脱いだと同時に、ストラップ、
肩のショルダー・ストラップが、
スルッと垂れた瞬間なんだよ。
つねさん スルッと。あ〜。
ノリスケ ついでに、そのー、
コートの中に溜まった、香水の匂いとかがね。
ジョージ うん。
ノリスケ パッと、開けたときだよね。
ジョージ そう。で、こういうシテュエーションってー、
昔の日本には、
いっぱいあったんだと思うんだよね。
ノリスケ 紳士が帽子をかぶってる時代?
ジョージ そう、そう。
つねさん あー、そうそう。
ノリスケ 夏には白い麻のジャケットを着て、
って、そういう時代でしょ?
ジョージ そう。
ジョージ 汗がにじんだ襟元を、
キュッ、と緩めるとき、とかね。
つねさん うーん。
ジョージ で、女性的には、衣ずれの音、っていう。
たぶんね、たぶん、明治時代の人って、
エロ小説読んでて、
衣ずれの音とともに、
着物が畳の上に落ちた、っていうので、
もう、射精できるんだよ。と思うんだよね。
つねさん あー。
ジョージ いまは、ないの。
つねさん ないねー。
ジョージ あ、もったいないー。
ノリスケ 失われゆく、日本。
つねさん ハハハハ。いまの永六輔の真似?
ノリスケ ハハハハハハ。
ジョージ そういうのの積み重ねで、
人間の本能的な部分が、
削られてるような、感じがするなー。
つねさん あ〜。
ジョージ で、そのー、どんどんどんどん、
人間、洗練されて、
野性的な部分がなくなるから、って、
なんとかしなきゃいけない、っていうと、
みんな、なんか、野性的一方のほう、
走っちゃうんだよ。
本能的な部分ばっかりに
走っちゃうんだけど、んー、
野性的で本能的な部分を、
もう一回呼び戻すためには、
逆に、むしろ、その、
洗練された文化とか、っていう、
方向に向かってかないと。
洗練の対極に、野生があるわけじゃない?
つねさん だから、そうだよね、
崩れる瞬間って、ほんとに、
それは、なんか、理性でもそうだし、
けっこう、感じるもの、あるよね。
ジョージ そう。
つねさん 堕ちる、っていうの?
ジョージ うぅわ〜ん・・・(吠える)。
ノリスケ おちるのは、堕ですね。
つねさん そうそうそうー。
ジョージ はぁ〜ん、いい言葉・・・
つねさん あれね、堕ちるところって、
やっぱり、ドキドキするもん。
うーん。
ノリスケ もう、心ならずも、
そこに引きずり込まれる、感じ?
つねさん そうそうそう。それは、だから、
自分でもいいし、相手でもいいよね。
だよね?
ノリスケ 堕ちたいし、堕としたいんでしょ?
つねさん うん。っていうか、なんか、
その、気持ち的な部分って、
そういうのあるじゃない? すごく。
ノリスケ うん。
ジョージ 不思議だよね。感情は、
どんどんどんどん、高まっていくのに、
堕ちてゆく、っていう。
だから、ま、ある意味、
自虐的なのかも知んないな、
という気もするんだけど。
(このテーマはこれで最後です。
 また近いうちに載せますからね〜!)

2001-05-08-TUE

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