近況報告でございます。その10
2010年の文通欄。
ノリスケ 最近の、ゲイの間でiPhoneが
増えたっていう話があるのよね。
つねさん iPhone ユーザー、
1人増えました。
ノリスケ え、誰?
ジョージ ボクが iPhone に変えたの。
ノリスケ ほんと?
ジョージ iPhone にしましたの。
お持ちじゃないですよね?
ノリスケ ないです。
ジョージ そのアプリケーションに
ちょっと面白いのがありまして。
ノリスケ そうそう、その話!
知り合いのバーのマスターが、客がみんな、
下向いてiPhone 打ってるって。
その店、閉店しちゃったんですけど、
ま、それが直接の原因ではないにせよ、
世の中、そういうことなんだなぁって
最近、しみじみ思ったばかりなの。
ジョージ そうだね。
つねさん ああ、なるほど。
ノリスケ で、それは何かというと。
ジョージ あるアプリケーションがあってね。
つねさん オカマ専用の。
ジョージ ゲイのためのコミュニケーションサイトね。
ただ、招待制じゃないから
本当にユーザーがゲイなのかどうかっていうのは、
わからないっちゃわからない。
それに登録をして、
自分のイメージの写真を
トップページに置いて。
つねさん 簡単なコメントを入れて。
ジョージ だから結構昔の、ゲイ雑誌、
ノリスケ 文通欄復活ってことか。
当方(笑)。
つねさん J官。
ノリスケ P大、っていうやつですか。
ジョージ そんなにエッチ目的の人ばかりじゃないけど、
端的に言えばそう(笑)。
つねさん アッハッハ(笑)。
ノリスケ その昔、ゲイ雑誌に分厚いページ数をさいて
文通欄ていうのがあったのよね。
切手大ぐらいの大きさのスペースに
3行広告みたいなものを載せられたんですよね。
つねさん そうだね。
ノリスケ ネットがない時代ですから、そこでしか。
つねさん 出会いの場がない。
ノリスケ 自分以外のゲイに、つまり2丁目に行けない、
遠くにいるとか、そういうとこには
行きたくないとかっていう人にとっては
そこで探すしかなくて、
そこに自分の広告を出したわけなんです。
無料、有料?
つねさん それ、無料でした。
ジョージ 無料。
ノリスケ でもそれがおそらく
ネットの繁栄でなくなったんだよね?
そのかわりになるのが、
このアプリって言えるのかもね。
ジョージ 要は、どういうのかな、
ちっちゃい画面のちっちゃいコメント欄に
入るだけの情報なんで、
あんまりいっぱい入れると
文字がちっちゃくなっちゃうわけでしょ。
だから100文字前後でもって、
みんな、表現するわけよ。
自分の体のスペックであるとか、
求める相手であるとか、
趣味であるとかそういうのも入ってるんで、
すっごい面白いの。
人によっては絵文字ばっかりだったりとかしてね。
つねさん うわ、すげえ、そんなの、いるんだ。
ノリスケ クマちゃんマークみたいなこと?
ジョージ ウン。すごい面白いの。
記号だらけよ。
ノリスケ 自分を記号化したことないから
ちょっと面白いかもしんない。
ジョージ で、iPhoneはGPSで
位置特定ができるじゃないですか。
ノリスケ ああ、はい、はい、今、どこにいますよって
情報が、入ってるのよね。
ジョージ だから、アプリケーションを起動すると
同じサービスに登録している人が
リストでだーっと出てくる。
ノリスケ 面白いね、つまり池に石を投げ込んで、
その石が自分で、同心円状に。
つねさん そうそう、波紋のように。
ノリスケ 出てくわけだ。
夢のようなソフトじゃない!
ジョージ それがね、無尽蔵にやって来ちゃうと
収拾がつかないわけですよ。
ノリスケ というか、そもそも誰でも入れるんだったら、
自分の好みのタイプだけが出てくるわけじゃ
ないわよね?
つねさん そうそう。
ジョージ それでフィルターをかけることができるの。
ノリスケ ほう。
ジョージ たとえば年齢が何歳から何歳まで。
そういうのでまずブロック。
で、しかも入って来た人で
あるいは自分のタイプじゃないなあと思う人は
ブロックをかけることができるわけ。
ブロックをかけるとその人にとっては
いない人になっちゃうわけよ。
つねさん 横にいてもいないみたいな。
ジョージ で、面白いねーって言いながら、
それでも、近くて100メートル向こうとか
そんな感じだったんだけれど、ある日!
つねさん ある日。
ジョージ ボクとつねさんともう1人、
いつも一緒につるんでる子と
ヨドバシカメラにいました。
で、何気なく。
つねさん 開いて、
ジョージ ボクと友達が
そのアプリケーションを開いたのね。
そうするとボクのところには
何と十数メートル以内に1人いたの。
それ、結構可愛かったんだよ。
つねさん そうそうそう。
ジョージ 顔写真が出てて、何かお髭さんで。
つねさん ちょっと可愛いよね。白髭混じってて。
ノリスケ その「白髪混じってて可愛い」っていう感覚は
なかなか理解する人多くないと思うわよ?
ジョージ で、どこかしらー、って探したら、
何とデジカメの売り場で。
つねさん 同じフロアに。
ジョージ 一眼レフを触ってるのが、
あ、あれ、そうじゃない?
で、近づいていくと
どんどんどんどん距離が近づいてくのね。
あれだっ、いるでしょってその子の方見たら、
いっしょにいた友達、
「ボクのにはいない」って。
ノリスケ あ、ブロックされてたんだ、既に(笑)。
つねさん そうそうそうそう、既に(笑)。
ジョージ というのがあるんですよ。
つねさん 面白いもんだね。
ジョージ じゃ、それで何ができるかっていうと、
好みの人がいて、関心を持ったならば
チャットができたりとかね、
メッセージ入れたりとか。
ノリスケ うん、そこは昔からあるような
出会いの場だからそれはよく分かる。
でも何だろうね、その面白さは。
新しい気がするね。
何かちょとわくわくする感じはあるね。
ジョージ あのねえ、面白いんだよ。
そのね、ボクは1人じゃないっていうのと、
あ、こんなに近所にいるんだっていう。
ノリスケ オンリー・イズ・ノット・ロンリーの世界ね(笑)!
ジョージ そう、そんな感じ!
つねさん 強引(笑)!
でもそうなんだよ、ホント。
ジョージ で、何回も何回もデータをリロードすると
波紋が遠ざかっていくわけよ。
つねさん どんどんどんどん遠くの波紋が拾えるんです。
ノリスケ あ、はい、はい。
でもそうするとどんどん、すっごい増える。
ジョージ で、面白いことに気がついたんですね。
調子に乗ってどんどん遠くに行くと
何と博多あたりまで来ちゃったわけですよ。
ノリスケ そんなとこまで行くの?
ジョージ 博多、札幌まで行った。
んで、もうちょっと行ってみようか。
沖縄が来るよねって思ったら、
沖縄が来る前に韓国がやって来るのね。
別にこれ、ユーザーは日本だけじゃないわけです。
外国のソフトだからね。
ノリスケ あ、そうか。
同心円の距離だから、
東京から沖縄よりも近いんだ。
マイレージと同じだ。
ジョージ てことは、東京にいて那覇の彼氏を作るよりも
ソウルの彼氏作った方が近いんだとかね。
で、そのうち、台湾やって来て
香港がやって来て、シンガポールやって来ると
ハワイがやって来るわけ。
(ほーっ! つづきます。次回で最終回です)

2010-04-06-TUE


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