ほぼ日刊イトイ新聞 -新宿二丁目のほがらかな人々。

新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

ほがらかなリゾート。その３
ぼくらに行けないリゾートもあるのよね‥‥。

ジョージ	日本にビーチリゾートって、あるのかしら？　ないのかしら？
つねさん	沖縄とか？
ノリスケ	沖縄には海はあるけれども、ボクの好きな離島にはまず民宿しかないのよね。そうすると、ボクにとってはそこは完璧なリゾートじゃないの‥‥。とっても残念。
つねさん	あ～。
ジョージ	そう。中途半端なんだと思うんだ。
ノリスケ	海はきれいだし、シュノーケリングは楽しみだけど、どこ泊まるの？　って言われると、民宿になるでしょう。それはそれで楽しいけど‥‥。
ジョージ	うん、そうなんだよね。
ノリスケ	いちど、民宿でもいいかなって泊まったんだけど‥‥ リラックスできなかったの。最近はいいホテルやオーベルジュ的な小さな宿もできてるらしいからまた行ってみようって思うんだけどね。 ‥‥ジョージさんは、けっこう「ひとりビーチリゾート歴」も長く、そして２人で行くようになったこの５年は、それはそれで、とても新鮮だってことなのよね？初めて行ったビーチリゾートって、どこなの？
ジョージ	初めて行ったビーチリゾート？サンタモニカ。
つねさん	うわー。♪来てぇ、来てぇ、来てぇ、の？？
ノリスケ	♪愛をこめて～、の？？
ジョージ	サンタモニカはびっくりしたの。
ノリスケ	どういう意味？
つねさん	ゲイがいっぱいいて？
ジョージ	いや、そういうんじゃなくて。だって、ロスアンジェルスのダウンタウンから、車で20分も海のほうに走っていくと、もう、 ♪来てぇ、来てぇ、来てぇ、なわけよ？ビーチがあって、ホテルがいっぱいあんの。いろぉんなホテルが。ロスアンジェルスの内陸のほうに住んでる人たちが、車一台で家族みんな乗っけてやってくるようなファミリーリゾートホテルがあったり、朝のコーヒーショップでご飯食べてると、横にジョージ・ハミルトンが、美人のおねえさんを連れて、メシを食ってるようなホテルもあるんだよ。それこそ、シティ・ハイダウェイだよね。
ノリスケ	それはびっくり。
ジョージ	これがリゾートだぁ、って思った。
ノリスケ	ボクね、マイアミに行ったことあるんだけど、マイアミでもそう思った。都会とリゾートが隣り合わせなのが、面白いなと思って。ビジネス街から、ちょっと行くと、海なの。それも、リゾートとしてちゃんと機能している海なの。
ジョージ	たぶん、住んでる人にとっては、それはただの海なんだけど、やっぱりそこを目指してやってくる観光客もいるんだよね。
ノリスケ	いっぱいいた。職・住・リゾート近接なのね。向こうの人は、オン・オフが上手なんだわ、きっと。
ジョージ	そうだね、切り替え方がたぶん、すごいデジタルっぽいんだと思うんだ。日本人って、どっかアナログのとこがあって。
つねさん	なんか、引きずるぅ、みたいな。それこそほら、海外まで携帯とか持って行きたがるみたいな感じの。
ジョージ	典型的なのが、海水浴場行くでしょ。海水浴場をビーチリゾートとは言わないじゃない？
ノリスケ	言わない！
ジョージ	で、海水浴場行くと、マージャンやってるおじさん達がいたりとかするんだよ？
つねさん	砂浜で？
ジョージ	そう、砂浜で。
つねさん	雀荘行けばいいのに。
ジョージ	そう。ビーチに来なくていいでしょう？そういう「混ざった」感じが海水浴場なんだけど、サンタモニカには、その雰囲気はなくて、ここはリゾートですっ、ていう、スパーンという感じが、あったの。で、その次に行ったのが、いきなりバハマだったのかな？
ノリスケ	しゃらくさいこと言うわねぇ。
つねさん	はははははは‥‥。
ノリスケ	でも、ボクも実はバハマには行ったことがありますのよ。
つねさん	ボク、オバマだったら（笑）。
ジョージ	小浜ねぇ！　いいかも、今の！
ノリスケ	バハマはねぇ、すごくびっくりしたよ。
つねさん	どういうふうに？
ノリスケ	007のロケをやった場所であるとか、ダイアナ妃が来た島であるっていうのが、当たり前のようにあったりするんだもの。
ジョージ	あるよね。ある。
ノリスケ	で、海が当り前のようにきれいなの。その「当たり前でしょ？」っていう感じ？それにすっごくびっくりしたの！
ジョージ	きれい。
ノリスケ	で、カジノもある。だから、とっても都会的でありながら、とっても田舎であり。そしてなにより驚いたのは、人種の隔てが、歴然としてあったこと。サービス係のほとんどは黒人、そこで遊んでいるのは白人だったの。それも「当たり前でしょ？」という空気で、ぜんぜんなじめなくて‥‥。
ジョージ	そうね。白人の人たちは、彼らを、横にいるのにいないように扱う。
ノリスケ	これがね、ショックだった。本格的なリゾートで味わった、カルチャー・ショックだった。でも、バハマはまだそうでもないほうで、カリブ海のもっとディープなリゾートに行くと、もっとそれが歴然としているのね。
つねさん	そうなの？
ノリスケ	うん。白人客はメイドさんたちのことを、いないものとして扱っている。スタッフと客のあいだに、フレンドリーな関係性は、ないの。そして、自分は、そこからはカヤの外なのね。どこにも身の置き場がない。お客さまだから、堂々としていればいい、というのもあるけれど、そういうのを目の当たりにして、自分はここではリラックスできないな、と思った。
ジョージ	ボクもそう思った。西洋の、ま、ハワイを除く西洋の、高級ビーチリゾートっていうのは、男と女が基本であり、しかも白人であり。
ノリスケ	そう、男と女なのよ！残念ながら、アジアから行ったゲイには、うんと肩身が狭い場所だった‥‥。
ジョージ	ボクも、バハマやカリブ海は、白人の男と女がいて、色の付いた人にかしずかれて、１週間楽しむもんだってわかったあとは、なかなか行けなくなっちゃったな。
つねさん	いやだと思った？
ノリスケ	いやぁな感じがした。
ジョージ	行けなくなった。
ノリスケ	で、結局、アジア？
ジョージ	うん、アジアはよく行くよね。快適だからっていうのもあるかも知んないし、ぱっと楽しむなら、近いのがいちばんだしね。
ノリスケ	そうね。ボクらがタイやインドネシアに行くのって、ニューヨークからバハマへ、というのと同じ感覚かもしれないね。
ジョージ	うん。近いのがいちばん。
つねさん	やっぱり、行くまでに疲れるのは、いやだものね。
ジョージ	せっかく体と心を休めるために行くでしょう？　で、休まったなと思って、帰ってきたら、帰路だけでも長旅になっちゃって、疲れてることってあるもの。まるきし14時間も飛行機に乗せられた日には、あぁ、何しに来たんだろう？って思うこともあったりする。それ考えるとやっぱり、日付変更線をまたがないリゾートって、すごい素敵だなぁと思う、今日この頃。

たしかに長旅はつらいよね。
小笠原とか行ってみたいけど
それが理由で躊躇しちゃうもの。
つづきまーす！

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2005-06-29-WED

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