| ノリスケ |
違うでしょうね。
悲しい‥‥近いかもしれないけどね。
さみしい、悲しい‥‥。
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| つねさん |
悲しい‥‥さみしい‥‥。
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| ジョージ |
どんなときにさみしくなる？
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| ノリスケ |
‥‥すごぉく一生懸命考えないと
出てこないくらい、
あんまりないんだよね（笑）。
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| つねさん |
ほんと？ 俺、あるよ。
聞いて、聞いて。
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| ジョージ |
どんなとき？
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| ノリスケ |
聞いてあげる。
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| ジョージ |
うん、聞いてあげる。
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| つねさん |
携帯で、友だちに５人ぐらい電話かけて、
みんな留守電だったとき！
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| ジョージ |
うん？
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| ノリスケ |
まって？ ５人ってことは、
目的があって電話をかけたわけじゃ
ないでしょ、それ。
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| つねさん |
ぜんぜん！ まったく。
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| ノリスケ |
ということは、電話をかける前から、
もともとさみしいんだよ、それ。
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| つねさん |
ちゃう、ちゃう、ひとりかけて、
それは用事があるんだよ、ちゃんと。
で、かかんなくて、悔しいから、
じゃ、次かけたれ、
そういえばこないだ電話もらってたわ、
っていってかけたら、また通じないんだよ。
だから、どんどん悔しくなるから
次のにかけるじゃん。
ところがかからないの！
そんなふうに間が悪いときってさ、
俺、嫌われてるのかな？ って思う（笑）。
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| ノリスケ |
全員団結して出ないのよ。
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| つねさん |
そうそうそうそう（笑）。
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| ノリスケ |
つねさんからの電話は、
着信拒否にしましょう、って。
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| ジョージ |
なんで悔しくなって次々かけるの？
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| ノリスケ |
それが変だよね（笑）。
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| つねさん |
いや、悔しいっていうか
どんどんさみしくなって。
無性に誰かの声が聞きたくなるの。
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| ジョージ |
やっぱりさみしがり屋さんなんだ！
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| ノリスケ |
前提が「さみしい」んだよ、つねさんは。
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| ジョージ |
けっこう長電話の人だもんね。
ぼく、長電話、苦手だもん。
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| つねさん |
だからパパと電話するときは、
あんまり長電話しないじゃない。
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| ジョージ |
うん。そう。
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| つねさん |
たまに、電話先で
怒ってるときあるから（笑）。
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| ジョージ |
だって、うるさいんだもん。
べつに、そんなこと今、
電話で話さなくってもいいでしょう？
っていうことを、だらだらしゃべるのよ。
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| つねさん |
だいぶやめるようになったでしょ？
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| ジョージ |
やめるようになった。
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| つねさん |
ちゃんっと考えてるんだよ。
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| ノリスケ |
アホか‥‥。
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| ジョージ |
最初はね、かなり我慢もして
聞いたんだけどね。
うん、そうなんだ、
はぁー、へぇー、ほぉー、って。
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| ノリスケ |
そういえば、つねさんと電話、
ほとんどしないけど、
だいたい切るときって、
かけてきたくせに、
「あ、ごめん、キャッチ入ったから」
って切られちゃうのよ？
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| ジョージ |
ほら。
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| つねさん |
だってウチすごく電話かかってくるんだもん。
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| ノリスケ |
十中八九、つねさんとの電話はそれで終わり。
で「またかけるー」とか言って
かかってきたためしがないわ。
もともと用なんかないんだから。
まあ、いいけど、べつにそんなに
長話もしないし、と思って
諦めてるのよ？
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| ジョージ |
この人ね、わりと、おしゃべりな人だと思う。
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| ノリスケ |
じつは、おしゃべりだよね。
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| つねさん |
いや、ぜんぜん。寡黙。
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| ジョージ |
たとえば1週間に１回会うでしょ、週末。
そうすると、その週の報告を
いろいろするんだけど、
疲れて夜遅く帰ってきた亭主が、
奥さんから、今日のご近所の
だれそれさんがどうとかこうとかとか‥‥。
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| ノリスケ |
今日、お隣の何とかさんがね。
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| ジョージ |
『冬のソナタ』がこうなったのよ、
とかっていうのを、
ご飯食べてる横でずーっと聞いてる亭主、
いるでしょう？
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| ノリスケ |
どうでもいいよぉ、って思いながら。
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| ジョージ |
いい加減にしろぉ！ 疲れてるんだぁ！
とかって言う人の気持ちが、
たまにプチわかるような
感じがするときがあったりする！
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| つねさん |
昔の話じゃなーい。
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| ジョージ |
うん、最近ないけどね。
でも、それって、
その奥さんがさみしいんだよね。
違うかな？
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| ノリスケ |
正解だと思うな。
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| つねさん |
久しぶりに会ったら喋りたいじゃん、
いろいろ！ 電話でも喋ってっけど。
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| ジョージ |
たまに電話で聞いたおんなじことを
報告してくれたりして（笑）。
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| つねさん |
あんただって、人のこと言えへんやん（笑）。
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| ジョージ |
それは物忘れが激しいの！
ま‥‥さみしいってことはないんだけど、
おとうさん（つねさんのこと）が
たとえばね、この体だから？
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| ノリスケ |
デブだから？
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| ジョージ |
そう、脂肪が身体の３分の１あるから、
脳卒中かなんか起こして
パターン！ と倒れて
いなくなったらさみしいよ。
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| つねさん |
倒れて？
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| ノリスケ |
あ、それは想像して
さみしくなることあるね。
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| ジョージ |
そう、さみしいなーと思って。
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| ノリスケ |
相手がいなくなっちゃったらって考えると、
現実的に困るなとか、
いろいろ考えたり（笑）。
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| つねさん |
そうだね。困るよね、いろいろね。
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| ジョージ |
そうなのよねえ。
さみしいな、の次にやってくるのが、
面倒臭いな、っていうのが
やってくると思うの。
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| ノリスケ |
そう、ここをどうしたらいいの？ みたいな。
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| つねさん |
そう、連絡どうしたらいいんだろう？
とかね。
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| ノリスケ |
でも、今さら、ねぇ、
もし死んだらどうするの？ なんて、
言いにくいな、とかね。
考えめぐらせているうちに‥‥
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| ジョージ |
もう現実になって、
さみしさもどっかに吹っ飛んじゃって。
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| ノリスケ |
そうそうそうそう！
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| つねさん |
そうだね。
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| ノリスケ |
忙しくなっちゃったりして。
この部屋で死なれたら
誰に連絡しよう？ そうすると、
誰それが連絡先を知ってるはずだけど
その人の連絡先をぼくは知らなくて、
じゃあ誰に訊けばわかるのかしら、
なんて考えてると、時間たっちゃう。
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| つねさん |
あるある。
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| ジョージ |
それで、ぜんぶ片が付くと、
ほんとうにさみしくなるのかな？
きっと年取っちゃうんだよね、ガターンと。
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| ノリスケ |
かなり先だと思うな。
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| ジョージ |
ああ、でも、未亡人は、ほら、
若くなるっていうしね？
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| ノリスケ |
そう、きれいになるっていうしね！
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| ジョージ |
そうそうそうそう。
そっちのほうに賭けよう。
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