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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

愛し続けるということ。その1
南の島行き、不倫フライト。

ノリスケ お帰りなさ〜い。
って、毎回言わせないでよ!
つねさん おかしいよね、なんだか。
ノリスケ なんで毎回、
お休みが取れるたびに
どっか行ってるのよ?
(収録はゴールデンウイーク明けに
 おこなわれました)
ジョージ そんないつもじゃないよ。
ノリスケ どこ行ってきたのよ?
ジョージ 南のほう。
つねさん 楽園に。
ノリスケ ふん。
ジョージ でも、めずらしいよ。
みなさまのお休みに合わせて
海外へ出るの。
つねさん あ、そうそうそう。
いつもはけっこうずらしてる。
正月はだって、いっつも
お互い実家だもんね。
ノリスケ ふたりが旅行に行くのって
いつだっけ?
ジョージ お正月休み終わった
1月の後半から2月だとか、
夏休みも、お盆を避けて
7月とか9月とか、
いつもずらしてたから。
ノリスケ ああ、そうか。
つねさん 真っ只中って、
あんまりなかったよね。
ジョージ それもこれも、
ちょっと仕事が忙しいせいです。
ノリスケ まっとうな社会人としての
休みってこと?
ジョージ そう。ああ、いい言葉。
もう1回言って。
「まっとうな社会人」。
つねさん 自分で言うな(笑)。
ジョージ 行きは、満席だったもんね。
つねさん はい、満席でした、飛行機。
ノリスケ あのね、みんなそうやって、
混んだ飛行機で行くのよ。
いままでが違っただけよ。
ジョージ でも、面白かったよね。
つねさん うん。とっても楽しかったな。
ノリスケ どう面白かったの?
つねさん まずね、飛行機、入るじゃん。
で、座って、シートベルト締めたんだけど
なかなか飛行機出ないの。
なんで出ないんだろう?
って言ってたらアナウンスがあって、
申し訳ございません、
ただいま、ご搭乗手続きがお済みの
お客様の中に、搭乗なさっていないお客様が
いらっしゃいますので‥‥
ジョージ お待ちしておりますと。
でね、なかなか出てこないんだよ。
で、スチュワーデスが
ツカツカってやってきて、
わたくしたちの後ろのシートにお座りのね、
ご婦人にですね、
誰それ様でいらっしゃいますよね? って。
「そうです」
「御一緒のご主人様は?」
ノリスケ はははははは!
すごい、ダンナがいないのに、
知らん顔なの?!?!
ジョージ そうなのよ。そしたらこう言うの。
「免税店に行ってます。
 飛行機を出て、右側すぐそばの
 免税店に、確か、いました」
で、しばらくして、なんか亭主が
ノソノソ戻ってきたのね。
んで、奥さんがね、
「あんた、呼び出されたでしょ?!」
って怒るのよ。
すごい突き放すような声で、
「呼び出されたでしょ?!」って。
つねさん で、ダンナがね、
「え? なにそれ?」って(笑)
とぼけるのー。
ジョージ 「あんたがね、最後の客だったのよ!」
つねさん 「え? 違うよ、俺じゃないよ?」
ジョージ 「私んとこまでスチュワーデスが
 来たわよ!」
つねさん 「え? そうなんだ。へえぇ〜」
ジョージ っていうやりとり(笑)。
で、最後は、亭主がね、
「でも、おまえに頼まれたもん
 なかったんだよぉ」って、
それで座ったの。
ドアがバターンと閉まって、
ブンブンブンブン‥‥。
つねさん 離陸しました。
ノリスケ あっらまぁ、いきなり象徴的なご夫婦が。
ジョージ でもね、夫婦が、珍しかったのよ。
つねさん そう。夫婦は珍しかったです。
ノリスケ え? 今回の旅行で、
カップルなのに夫婦じゃない人達が
多かったってこと?
つねさん そうなの。
ジョージ 夫婦じゃない夫婦ばっかりよ。
不倫フライトと名付けましたっ。
南の島行きっていうのは、
ハワイ便とは違うのよ。
ノリスケ ‥‥わかんないー。
ハワイ便は家族が多い?
ジョージ そう。ファミリーか新婚が多いんだよ。
だけどね、南の島行きは、濃密なの。
つねさん あのね、服装が違うの。
なんか、男女の。
ノリスケ え? 見てわかるの?
夫婦かそうじゃないかが?
ジョージ わかるの。
ひとつ家から出てきてないから。
ノリスケ あーっ! そういうことか。
デートの格好してるんだ、旅行なのに。
ジョージ そう。だからたとえばおじさまはね、
いわゆるゴルフの格好、休日の格好よね。
ノリスケ うんうん。
ジョージ でね、女性のほうがね、
バリバリにリゾートモードで、
ノースリーブのワンピースに
カーディガンを羽織ってんの。
で、もう見るからに男のほうは
研修旅行だからって感じで
奥さんが荷物をまとめました! なの。
あるいは、女が全部買い揃えた組。
ノリスケ じゃ、同じ家っていっても、
彼女の家から来たんだな。
ジョージ そう。そうするとね、
着慣れてないんだ、これが。
ノリスケ ははぁ〜ん(笑)。
ジョージ あの、チンドンヤ? 痛々しいの。
想像して、50半ばのおじさま。
首から上はスーツ着て欲しい顔なの。
だけど首から下が、Tシャツに、
ポール・スミスの赤いジジャンパーで、
お揃いの細身の赤のジーンズで、
靴、エスパードリーユだったりなんかして。
え? こんなの、どこで揃えるの?
みたいな感じのを着て、帽子かぶってるの。
で、帽子ぬぐでしょ?
七三なのよね。
だからずっと帽子かぶってんの。
ノリスケ しかも眼鏡、ビジネス眼鏡だったりとか
するんでしょ?(笑)
ジョージ そうそうそう!
もうそんなおじさまが大勢、
ノースリーブの女に連れられて。
ね。濃かったね。
ノリスケ そんなんばっか? フライト。
ジョージ んーとね、Cクラスの、ほぼ完璧に8割?
ノリスケ えぇ〜。
ジョージ 不倫よ。絶対不倫っ。
ノリスケ あらまぁ。
ジョージ ま、あの、倫理的なことを
とやかく言えない私たちが
不倫というのも何なんですけれど。
ノリスケ いや、私たちの世界にも不倫はあり、
長く続くおつきあいもあり(笑)。

よく見てますねえ。つづきます。
次回、話は意外な深みへと。

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2004-06-11-FRI

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