| ノリスケ |
で、受かったの？ スタンフォード。
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| ジョージ |
行けることになったの。
そしたらね、正式入学の前に、
ちょっと来ませんか？
って言われて行ったの。
で、行ったんだけど、あまりに難しいんだ。
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| つねさん |
講義内容？
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| ジョージ |
そう。あんまりにすごいんだよ。
難しいというかね、「すごい」んだよ。
実際に通ってる
日本の留学生の人と話をすると、
これじゃ、とてもじゃないけど‥‥。
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| つねさん |
遊べないと。
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| ジョージ |
そう、週末にね、
カストロストリートとか
ポークストリートに
行けそうにないんだわ。
勉強忙しくて。
こぉりゃダメじゃ〜ん、と。
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| ノリスケ |
ほんと、行きたい目的がそっちだからね。
なんのためにスタンフォード
行きたいんだ（笑）。
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| ジョージ |
んで、その留学生に、
西海岸なら、どこがいい？
って訊いたら、
南カリフォルニア大学がいいよって。
あそこは、買いだよ、これから、って。
映画学部、けっこう有名じゃない？
で、映画学部とか心理学部とか、
あと、太平洋文化の
なんだらかんだらっていうのに、
けっこう力入れてて。
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| ノリスケ |
パン・パシフィック文化の
研究体系があるの？
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| ジョージ |
そう、とても力入れてて、
日本人はけっこう楽だよ、って言われて、
あ、じゃあ、そこがいいのかもしれなぁ〜い、
って。んで、アプリケーション出したら、
スコーンと行けるわけじゃん。
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| ノリスケ |
つまり‥‥スタンフォード
蹴っちゃったの？
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| ジョージ |
うん、そう。
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| ノリスケ |
バカじゃないの？（笑）
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| ジョージ |
あ゛ーっ！！
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| つねさん |
あーっはははは。
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| ジョージ |
それで、ロスアンジェルス
行ったんだけど、
ところがね、ちょっと、
カルチャーが違いすぎてね、ダメだった。
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| ノリスケ |
あ、そう？ どんなふうに？
大学は良かったけど、ってこと？
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| ジョージ |
ん、キャンパスは良かったよ。
でも、まずね、日本から行くと、
日本人の街に行っちゃうんだよね。
これが間違いだったんだけど。
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| つねさん |
リトル・トーキョー？
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| ジョージ |
リトル・トーキョーじゃなくて、
日本人の‥‥。
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| ノリスケ |
コミュニティ？
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| ジョージ |
そう、あるんだよ、
日本人がいっぱい住んでるとこ。
ヤオハンがあって、日本食材も手に入って。
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| ノリスケ |
つまり、ビジネスマンがそこに必ず逗留する、
みたいな、日本人ビジネスマンと
その家族のための
村みたいなものがあるんだ？
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| ジョージ |
当時の僕がなんで
アメリカ行ったかっていうと、
日本が、日本の島国っぽいところが
嫌いだったから行ったのにね。
でもアメリカに住んでいる日本人は
違うだろうと思っていたら‥‥
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| ノリスケ |
ところが。
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| つねさん |
ところが。
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| ノリスケ |
カリフォルニアにも島が（笑）！
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| ジョージ |
そうなのよ〜。
当時のロスアンジェルスの
日本人村ってさ、
もう日本以上に日本に感じられたのよ。
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| つねさん |
誇張されるんだ。
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| ジョージ |
この前、日本からやって来たあの人は、
どうも南カリフォルニア大学に
通ってるらしい、
とかって、みんな知ってるの。
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| ノリスケ |
ははは。嫌だぁ。
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| ジョージ |
んでね、けっこう
遊びに行ったりするじゃん？
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| つねさん |
はい。
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| ジョージ |
そうすると、あの子は、毎週末、
２時３時まで遊んでる、とかって、
みんな知ってるの！
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| つねさん |
そうなの！？ ほんとに村じゃん。
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| ジョージ |
そう、村。ほんとに村だよ。
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| ノリスケ |
カタカナで書く「ムラ」ね。
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| ジョージ |
そう。それで、あ、こーれはたまんない、
と思って、大学でね、
ルームメイトを探そうと思ったの。
留学生なんですけど、って。
日本人の村に行ったら、
ダメで仕方がなくって、
ルームメート探してるんですけど、
って言ったら、
中国人のコミュニティを
紹介してくれたんだよ。
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| つねさん |
ほぉ‥‥。
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| ノリスケ |
それ、どういうこと？（笑）
よくわかんなくて紹介されたのかな？
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| つねさん |
まあ、アジア系だから、とかっていう？
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| ジョージ |
うん、アジア系だから。
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| ノリスケ |
まあ、似たようなもんだからと？
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| ジョージ |
で、行ったら、
中国系のコミュニティって、
これが、いいんだよぉ。
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| ノリスケ |
おぉー。どう？
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| ジョージ |
あのね、人が知られたくないことは、
みんな知らないふりをしていてくれるの。
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| つねさん |
はぁー。
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| ノリスケ |
さすがだね。
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| ジョージ |
うん、それでね、困った、っていうと、
わらわらわらわら
何十人もやってきてくれるんだよ。
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| ノリスケ |
中国のひとって、家族、同胞は
助けるのが当たり前なんだってね。
だから、世界どこ行っても、
生きていけるんだって。
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| ジョージ |
そう。んでね、
アパートひとつ借りて。
こんど越して来ました、っていうと、
みんながね、ご飯食べに来なさい、
って言うの。
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| ノリスケ |
ほぉー。
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| ジョージ |
で、ご飯食べさせてくれて。
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| ノリスケ |
それは、なに？
ご飯食べさせてくれるのは留学生？
それとも家族の人たちみたいな？
そこに住んでる。
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| ジョージ |
もうもうみんなよ。
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| ノリスケ |
どこでもいいんだ。
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| ジョージ |
うん。で、誰かのとこ行くと、
必ず誰か紹介してくれて、
その人のとこ行って、
誰かから紹介されました、っていうと、
必ず、何か食べてる？ お腹空いてない？
って、ご馳走してくれるんだよ。
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| ノリスケ |
はぁ‥‥基本的なところを
わかってる人たちね。
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| ジョージ |
で、そんときに、
その後、長い間
連れ添うことになったのと‥‥。
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| ノリスケ |
出会ったの？
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| つねさん |
あ、そうなの？
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| ノリスケ |
え、じゃ、ちょっと待って、
カリフォルニアの中国人コミュニティで、
かつ、ゲイ・コミュニティでもあったの？
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| ジョージ |
ううん、そうじゃないの。
そのときに、長く連れ添った人の姪っ子と、
僕は知り合ってるの。
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| ノリスケ |
え？ どういうこと？
そのときに本人じゃなくて、ってこと？
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| ジョージ |
本人じゃなくって。
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| ノリスケ |
はっはーん。
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| ジョージ |
だから、当時はすれ違ってるんだよ。
だけど、たぶんね、
僕は何回か会ってるはずなの。
うん、でも、そのときの彼は、
ぜんぜん僕のターゲットじゃなかったから、
ぜんぜん知らないの。
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| ノリスケ |
ふ〜ん、見えてなかったんだね。
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| つねさん |
おそろしい‥‥。
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| ジョージ |
そう。でもね、
中国人のコミュニティって良かったなぁ‥‥。
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| ノリスケ |
そんな経験があったんだ。
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| ジョージ |
そうだよ。
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