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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

3泊5日ニューヨークの遊び方。その3
帰ってきた! って思える朝食のレストラン。

ノリスケ で、どうなの? お味は。
ジョージ お料理も美味しかったよね。
つねさん お料理が素敵だった、とっても。
ジョージ アメリカ人がものすごく大好きなお料理を、
フランス料理風にアレンジして
出してるお店なのよ。
マカロニだとかね、ハンバーガーだとか。
つねさん フロンティアっぽい、西部開拓みたいな。
ジョージ そうそうそうそう。
ノリスケ の? フレンチなんだ。
つねさん みたいだよね。そうそう。
ノリスケ へぇー。
ジョージ だから、たとえばね、
イベリコ豚のローストみたいなのがあったの。
そしたらそれがね、ル・クルーゼのね、
鍋に入ったまま出てくるんだよ。
ノリスケ あらま〜。キャセロールのまま?
ジョージ 横にポークビーンズが一緒に添えて。
つねさん そう、あっれが、チィヨォ〜旨かった。
死ぬほど旨いよ、あれは。
ジョージ ねー。すごくおいしかった。
で、いちばん最初にね‥‥
ピーナツバターが出てくるの。
ノリスケ アメリカ人だアメリカ人だ。
チャーリー・ブラウンのサンドイッチだ。
つねさん ピーナツバターとね、ブルーベリー。
ジョージ の、ジェリーが出てくるの。
フランス人が、アメリカ人に対してね、
あなたたちいろいろ気取って
フランス料理食べてるかもしんないけど、
ほんっとはこういうのが食べたいんでしょう?
っていうような料理が出てきてね、
それが悔しいぐらい美味しかったよね。
つねさん なんかやられちゃったんだなぁ。
ジョージ うん、それでけっこう堪能して
おいしいワインも飲んで、
ひとり1万円ぐらいなの。
ノリスケ えっ、もっとするのかと思った!
つねさん そう、ワイン、
けっこう高そうだったのにね。
ノリスケ へぇー。
ジョージ けっこういいの、飲んでもそのくらい。
なによりね、あのお店でね、
あー、来て良かったな、と思ったのが、
大人がすごい生き生きとして、
食事をして楽しんでたのを見て、
酔っ払いはみんなおんなじなんだ、って。
ノリスケ 万国共通(笑)。でも、
悪い酔っ払いはいないんでしょ?
ジョージ 見苦しくない酔っ払い。
楽しい酔っ払い。
何が素敵って、僕たちは、
彼らからしてみたら、
英語が絶対わかりっこない
2人なわけじゃない?
で、おじさん2人でしょ?
そうするともう、警戒心ゼロな相手だから。
つねさん そうそう。
ジョージ 僕たちの横にいたおばさん2人なんて、
まぁ〜〜まぁ〜〜すごいの。
つねさん そう、でっかい声でね。
ジョージ で、話の内容がね、
「ウチの会社に最近若い男の子が入ってきて、
 お尻がキュッ!と上がってて素敵なのぉ」
「そうそう! 男はお尻、お尻、
 キュッキュッキュッ!」
とかって言ってるんだよね。
ノリスケ しょうがねー(笑)。
ジョージ もうね、あ〜、
すっごい楽しい〜、って。
つねさん そんなこと喋ってたんだー。
わかんなかったー。
言ってくれりゃあ良かったのに。
ジョージ あんときは、女4人のテーブルのほうを
注目してたからね。
日本にはない景色。
ノリスケ ないね。うん。
ジョージ だけど、日本にもあって欲しいお店だよね。
だから、なんか、もっと
日本のおじさんおばさんたち、
頑張りましょうよ! って。
それでそのお店を出て、
うーん、やっぱりニューヨークって、
1年に1回ぐらいは
来なきゃいけないなと思ってね、
ホテルに戻ったの。
それが2日目ね。
それで、翌日は、とりあえず
朝ご飯を‥‥。
ノリスケ マンダリン・オリエンタルで食べたの?
つねさん ちがうよん。
ノリスケ ちがうの?
つねさん 朝ごはんは‥‥。
ジョージ ザガットで、
ニューヨークでいちばん
美味しいっていう‥‥。
つねさん バーニー・グリーン・グラスっていう。
ジョージ そう、わたしたちの心の、
あ、朝のふるさとですっ。
ノリスケ 朝のふるさと?
ジョージ そう。必ず行くの。
ユダヤ人がやってるお店よ。
美味しいスモークサーモンは、
ユダヤ人のとこに行かなきゃダメッ!
って感じの。
つねさん スモークサーモンの
スクランブルエッグが、
チィヨォ‥‥(放心)。
ジョージ そう、スモークサーモンとオニオンを
いっしょに炒めて、
スクランブルエッグを作ってあるの。
ノリスケ はいはいはい〜。
ジョージ で、ベーグルのクリームチーズよね。
つねさん あ゛〜!
なんか日本のべーグルって、
なんであんなまずいんだろうと
思うぐらい美味しかった。
ジョージ あのね、あの、必ずルールとして、
ニューヨークに行って、
いちばん最初に朝ごはんは
そこで食べることにしているの。
つねさん 3回そうしてるよね。
ジョージ 僕ね、最近読んだ何かの本で、
なんだっけ? ローマ人の。
ノリスケ 『ローマ人が歩いた地中海』でしょ?
買った買った。
ジョージ そう! ローマ時代から、
もう観光旅行っていうのがあって。
ノリスケ ガイドブックがあったと。
ジョージ そう。
つねさん そうなの?
ジョージ うん。そういう本なんだよ。
で、その本の中に、
観光旅行と個人旅行の最大の違いは、
自分が観光客であることを
忘れることができるかどうか、
っていうことなんだって。
ノリスケ おぉ。
ジョージ で、その、忘れるいちばんいい方法は、
観光客がいないところに行くこと。
だけど、これはすごく難しいんだよ。
んで、もうひとつは、
自分が観光客であることを
忘れることができる場所を
見つけることなんだって。ね。
バーニー・グリーン・グラスに行くと、
自分たちは、ニューヨークに来たんじゃなくて、
戻ってきたっていうふうに思えるんだよね。
ノリスケ ははは、なるほどね。素敵。
ジョージ そう、これこれこれ、これを食べるために
ニューヨークに来たんだ、って。
で、ニューヨークに来て良かったね、
いつかは住まなきゃね、っていうふうに思う場所。
つねさん 最初にオレンジジュース頼んで。
ジョージ そう。
ノリスケ フレッシュスクイーズよね。
ジョージ 美味しいの〜。
つねさん そうだよね。
ノリスケ とくに冬は!
ジョージ 冬は美味しいの〜。
採れたばっかりだもん。
ノリスケ ね!
ジョージ うん、美味しい、すっごい美味しい。
なんでニューヨークが
好きになったのかな、って思うと、
そういう場所を見つけたからだと思うんだよね。
つねさん ほぉ。
ジョージ だから、ぜひ海外旅行をするときには、
その、そこに来ると戻ってきたって
思う場所を探して欲しいな〜と思う。

旅先で「戻ってくる場所」があるなんて。
つづきます。

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2003-12-29-MON
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