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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

愛を呼ぶインテリア その9
死ぬかも知れないんだから、片づけなさい!
ジョージ ぐふふっ‥‥。
ノリスケ なによ。
ジョージ ウチのマミーが、一時期、
マニキュアに凝っててね。
それこそ、あんた、
どっこでどれだけ買ったのよっ!?
て言うぐらい?
何千本っていうのがあって。
ノリスケ ぐわーっ、ケタが違う!
一生塗りきらないだろう。
ジョージ もう分離しちゃうのよね、あれってね。
ノリスケ なるほど。
ジョージ んで、その、使わないやつを、
カゴに入れて上のほうに入れて、
ギシギシにしてあったの。
大っきい地震が来たときに、
バカーンて落ちて、
下のタイルで砕けたわけですよ、
100本ぐらい。
マニキュア100本ぐらい
砕けて飛び散ったら、
どういうことになると思います?
ノリスケ ペンキぶちまけたみたいになるでしょう。
つねさん 臭いもすごいでしょう。
ジョージ んもぉね、目も向けられなくって、
もう少しでみんな中毒、
シンナー中毒になるところで。
ひゃ〜〜って。
だから、あまり物を
収集しすぎるということはね、
命にかかわることよ!
ノリスケ ほんとですね。
つねさん ゴメンナサイ。
ジョージ ま、でも、人のことは言えないけどね。
おんなじようなスーツ、
山のように持ってたりとかするしね。
それは仕方がないんだけれど。ね。
だけど、せっかく、
楽しいお部屋を手に入れたば、
お客さまがお呼びできるぐらいにはね。
ノリスケ します!
ジョージ こないだ、おおたうにちゃんたちが
いらしたでしょう。
「ほぼ日」の姫君たちと。
女性が何人もいらっしゃって
パーティをすると、
お部屋が華やいだような
気持ちがいたしますしね。
つねさん 事実、華やいだよね。
ジョージ ホームパーティって、
日本人がいちばん苦手なことって言うでしょう?
つねさん 苦手だと思うね。
ジョージ アメリカのモデルホームとか、
分譲住宅とか行くでしょう?
そうすると、日本といちばん違ってるのは、
お客さま来て下さい、
っていうような顔をしてるんだよね。
向こうの家って。
日本の家って、どんなに大きくって、
どんなにお金かけてても、
お客さま来られると困るんです、
っていう顔になるんだよ。
玄関が小っちゃくって、
何十人もが靴を脱げない
構造になってたりするんだよね。
ノリスケ うん。そもそも靴を脱ぐんだもんね。
ジョージ そうそうそうそう。
つねさん そうだよねー。
ノリスケ その範囲でしか、上がるなよ、
っていうことだよね。
ジョージ で、たぶん日本人が、
あんまりインテリア作りが
上手にならないいちばんの理由は、
お客さまいらっしゃいっていうふうな家を、
なかなか作らないからだ
というふうに思うしね。
お客さん1回でも呼んだら、度胸つくよ。
しかもそれが異性であるとね。
僕たちにとって女の子たちは
異性かどうか、ちょっとよくわかんないんだが。
僕あれだよ、出勤するたんびに、
僕がいないときに、
誰かがもしこの部屋に入っても、
恥ずかしくない状態で出ようって思うもん。
ノリスケ 素晴しい。
ジョージ 死ぬかもしれないし。
つねさん そうだよねー、
けっこう片づいてるもんね、俺が見てても。
ジョージ すっごい片づけるもん。
だって、メイドさん、たまに来るでしょう?
そう。すごい喜んでくれるもん。
ノリスケ ほんとぉ。
つねさん あの、片づけなくて済む‥‥。
ジョージ でも、あの人たちの喜び方ってね、
すっごい立派な喜び方だよ?
あの、ウチのマミーのところにも
行ってるんだけど、マミーんち、
そんなもんだから、大変らしいのね。
「お母さまのお宅は、
 ほんとにすることが沢山あって、
 嬉しいんですけれど、
 本来わたくしどもが仕事にしている、
 お部屋を美しくするというところまで
 手が回らないんです。
 その点こちらのお宅は
 いつも片づいているんで、
 わたくしたち仕事のしがいがあります」
ノリスケ なるほどね(笑)。
ジョージ んっ、いいことを言うっ! と思う。
ノリスケ はははははは。
つねさん それ、お母さんに聞かしてやり。
ジョージ ウチのお母さん、よく知ってる。
ウチのお母さん、
メイドさんから言われてるから。
つねさん そうなの?(笑)
ジョージ 「『ご子息のお宅はほんっとにキレイで
  片づいてるんです』とか言われるから、
 『ごめんなさいね、ウチはこんなで』
 『いやいやいやいや、やりがいがございます』
 とかって帰るのよー」
とかって言ってるから、
敵もさるもの、っていうやつ?(笑)
つねさん おそろしか(笑)。
ジョージ そうなんだよ。ウチのマミーが、
たまにね、ものすごいストレス溜めると、
整理整頓を始めるんだよ。
見てるとね、あー、この人は
整理整頓の才能がないなって思う。
ノリスケ あー、そうなんだ。
ジョージ たとえばA地点を片づけるでしょう?
A地点を片づけて、
いらないものをB地点に置くんだよ。
つねさん あー、耳が痛いわ(笑)。
ジョージ で、あ、A地点片づいたって思いながら、
C地点に行って片づけるの。
C地点でいらないものが、
こんどA地点に移るんだよ。
C地点は片づいた。
で、D地点に行くでしょう?
そうすると、D地点でいらないものを
C地点に戻して、
B地点に行ったときには、
A地点でいらなかったものが
B地点にあるから、
何でこんなに汚いのよっ!?
て怒って止めるんだよ。
で、見たら、もともとあるものが、
ちょっとずつ場所を変えてるだけで、
なんら片づいてないの。
ノリスケ はぁー、僕も下手かも。
つねさん あ、僕、絶対そうだね。
ジョージ んで、B地点は、もう手がつかないぐらいに
汚れてるわけじゃない?
そうすると、中でもいちばんキレイな
D地点で生活を始めるわけ。
汚くなるでしょ?
そうすると、D地点でいらないものを、
こんどはC地点にという
繰り返しをしていって、
4回繰り返すと、全てのところが、
もう手がつかないぐらい汚くなるんだよね。
つねさん あんたの昔の恋人もすごかったじゃない。
ジョージ わたくしが昔つきあっておりました、
あの、旅行代理店を買ったバカな
台湾の恋人は、ベッドルームが5つある
部屋を借りてたんだよ、東京で。
ひとつのベッドルームを使うでしょ?
散らかるでしょ?
そうすると隣りのベッドルーム使うんだよ。
ノリスケ 大馬鹿‥‥(笑)。
ジョージ で、だいたい1週間で住めなくなっちゃうんで、
5週間はもつんだよね。
5週間でどの部屋も住めなくなると、
友だち呼んでくるかメイドを雇って
キレイにするの。
で、リセットして、もういっかい住み始めるの。
ノリスケ はぁー‥‥。
つねさん あ、そういうカラクリだったの。
ノリスケ 真似しちゃいけませんよ、それね(笑)。
ファイブベッドルームの家を
借りればいいって
もんじゃないって話ですね(笑)。
広ければいいってもんじゃないです。
ジョージ そういうことです。
ノリスケ ジョージさんのお母さまやお父さまや
昔の恋人に学ぶべき点はそこですっ!(笑)
つねさん わははははは!
ジョージ 後はね、やはりね、
明確な意志を持ちましょう。
自分のウチはどういう部屋なのか、と。
ね。癒されたいのか元気を出したいのか。
つねさん ウチ、今、仕事場だから‥‥。
ジョージ たとえばさ、たとえば、
癒されるべき場所はベッドルームなのに、
ベッドルームで元気が出て、
リビングルームでダラーンとなるのは、
ダメな家(笑)。
たまにあるんじゃないのかな、
って思うんですけど。ネ。
あとはあれだね、
恋人を連れてきて云々も大切だけど、
お友だちが来て、
磨かれるようなとこもあるからね。
ノリスケ 恋人は、馴れ合ってしまいますからね。
ジョージ そう。
つねさん 確かに、彼氏じゃないやつを呼ぶときは、
ちょっと片づけるよ。(笑)。
ジョージ でしょう? 女の子もね、
男なんてだらしない生きもんだから、
あんまりキレイで片づいてる
女の子の部屋に行くよりも、
あるていど散らかってて
隙のある女の子の部屋に行ったほうが、
たぶん良かったりするんだよね。
でも、それがどんどんどんどん行きすぎていくと、
家事洗濯をしない主婦を
ひとり作るようなことになるかも知んないのよ。
んで、あの、原宿表参道とか歩いていると、
インテリアショップに
男と女の子が一緒に入ってきたりとか
するんだけどね、
かなりあれは危険な出来事だと思うんだよ。
ノリスケ ふうむ。
ジョージ 二人で新居のために家具を選ぶならいいの。
でも、そういうのとは違う、
艶めかしさがそこにはあるし。
それこそ、女友だち同士で、
インテリアショップとか行って、
家具を見ながら、
こういう家具に似合う男って、
どういう男なんだろう? とか、
あなたの彼氏だったら、
この椅子よりあの椅子とかっていうふうに
言ってもらったほうが楽しいかなと思うしね。
ノリスケ そのほうが、楽しいねぇ。
ジョージ で、それで値段ながめて、
あ、ダメだ、もうこの値段、
ぜんぜんウチの彼氏ダメ、
とかっていうのって、
すーごい楽しいと思う。
つねさん あー。
ノリスケ それは楽しいでしょうね。
ジョージ いい家具屋さんに行くと、
椅子ってけっこう座れるじゃない。
で、女の子同士で家具屋へ行って
椅子に座って、
この椅子はどんな感じの男の人とか、
あの椅子はどんな感じの男の人とかって
言って歩くのって、すごい楽しいと思う。
包容力のある椅子もあれば、
跳ね返してくるような力強さのある
椅子があって。
で、凛々しい椅子もあれば
だらしないヤツもあるわけでしょ?
そんなこんなでね、半日まわるのって、
すごい楽しいし。
で、そういうふうに思いながら、
椅子とかテーブルとか見ていくと、
どんどんどんどん見る目が
つくんだと思うんだ。
椅子の名前を覚えるよりさ、
たとえばインテリアショップ行って、
インテリアショップの店員ぐらい
スカした店員はいないからさ、
なーんか、おめぇら、
ここの椅子なんか買えねぇだろう?
とかっていうのが、なんか知んないけど、
こちらの椅子は、復刻版でございまして、
リストアしてどうとかこうとかって
言うんだよね。
あれって、あの、一昔前の
ユーズドのジーンズを、
鼻持ちならない店員が売ってたのと
おんなじような。
ノリスケ はいはいはい。
ジョージ あるいは、ナイキの靴に
プレミアが付いてた時代の、
スニーカーショップの
店員みたいな感じがして。
で、そういう男の子つかまえて、
なんかあそこに座っている、
ちょっとだらしな気な椅子を
いただけませんでしょうか?
とかって言うのって、
すっごい素敵だなって思う。
ノリスケ ふっふっふっふ。
つねさん いいね。
ジョージ そういうふうにしながら、
煽り立てられたインテリアブームに
一矢報いるわたしたちとかっていうのは、
素敵かも知れないわよん。
ノリスケ でも、そのためにはお部屋を片づけなくっちゃ!

なくちゃなくちゃ! このテーマはこれでおしまい。
次回をお楽しみにね〜!

新宿二丁目の方々への激励や感想などは、
メールの表題に「二丁目の方々へ」と書いて、
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2003-07-16-WED

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