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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

フェロモン出したい。その5
なぜゲイにはフェロモンがあるのかしら。


ノリスケ てことは、男の色気って?
ジョージ ひとつはね、やっぱりね、経済力だよね。
つねさん あ〜。
ジョージ これは、男のフェロモンだよ。
つねさん うぁーっ。
ノリスケ 厳しい意見ですな。
つねさん 厳しっ!
ジョージ 経済力ですっ。
ノリスケ すごーい。
つねさん いや、もうそれだけでハードル高いよね。
ジョージ うん、で、もうひとつだけどね、
それは、経済力だけではないものなの。あのね、
ものすごくお金持ってて、
上から下まで全部エルメス着てて、
靴はジョン・ロブで、
パテック・フィリップの腕時計してて、
マニキュアをしているような男は、
カッコいいかもしれないけども、
信用されないんだよ。
ノリスケ ふーん。
つねさん スキがない?
ジョージ 成熟した大人の男にとって、
「信頼感」とか「安心感」とかっていうのは、
ものすごいフェロモンなんだよね。
あのー、どゆのかな? 父性を感じるっていうの?
包容力があるとかっていうのは、
安心感とか信頼感なんだよね。
ノリスケ うんうんうん。
ジョージ で、そのひとつに経済力っていうのが
あるんだけど、経済力をこれ見よがしに使うと、
うさんくささにつながるんだよ。
つねさん ふーん。
ジョージ なんだかしんないけど、仕立てはいい、
たぶんものすごくいい生地なんだろう。
英国屋で仕立てているに違いない。
ノリスケ うんうん。
ジョージ だけど、なんかサイズが合ってないぞ、とか。
ノリスケ アハハハハハ
つねさん 丈が違うとか。
ジョージ ちょっとあんた、そのネクタイは
ダメなんじゃないの? とか。
だけど、なんか、そのネクタイが、
そのクラブの5年ぐらい前の
クリスマス・プレゼントかなにかに、
ママが贈ってくれたやつで、
そこに来るときには必ずしてくる、
ってなったら、どう?
ノリスケ あ〜。
ジョージ 煮しめたようになっている。シミも付いてる。
でもそれを締めてくる、っていうと、
うわぁ〜、情けない、
でもかわいい、すてき〜! と思うんだよ。
つねさん あ〜(笑)。
ノリスケ でもそれ、若い子にはできないなー。
ジョージ 若い子にもできると思うよ。
ノリスケ できるかなー? 20代の子でも、できるかなー?
ジョージ 僕ね、今の若い子の、
若い男の子のフェロモンのなさっていうのは、
ぜんぶ自己完結型だから。スキがない。
ノリスケ うん。スキって、色っぽさなんだね。
つねさん うん、そうだね。
ジョージ 色っぽさなんだよね。
たとえば、もっと前の世代の人たち、
僕たちがものすごく若かったころって、
おしゃれのこと一生懸命になるんだけど、
お金まわんないんだよ。
だから、たとえば、靴に凝ってる子は、
靴ものすごくいいのを履いてるんだけど、
ジーパン365日おんなじで。
つねさん ああ、そっかー。
ジョージ なんか、ぴっちんぱっつんのシャツとか
着てたりとかするんだよね。
でもどこかにこだわりがあって、
それを見た女の子は、情けないと思うんだよ。
情けない男、こいつは、って。
でも、靴の話をするときには、
ものすごく嬉しそうに、ものすごく良く知ってる。
そしたら、ねえねえ、あんた、
靴に凝るのもいいけど、
その靴に合わせたシャツを買うのも、
いいことだと思うよ、
って言ってやろうと思うんだよね。
ノリスケ あ〜。
ジョージ これもフェロモンだよね。
んー、自分の思うような、
自分の自分勝手な色気とか、を作ろうとするのは、
やっぱ色気じゃないよね。っていうのは思うな。
そもそも、あの、ノン気の男より、
ホモのほうが、色っぽいじゃない。
ノリスケ 色っぽいねー。もう、ぜんぜん違うね。
ジョージ べつに男を誘って色っぽいわけじゃないんだよね。
だって、僕クラブ行ったらモテるもん。
ノリスケ 普通のね、おねえちゃんがいるところのね(笑)。
つねさん アハハ
ジョージ すっごいモテるもん。
で、べつに欲してるからモテるんじゃないんだよ。
つねさん もちろんそうだよね。
ジョージ 女の子たちは、なんで僕のことを? って思うと、
いや、すっごい色っぽーいとか、
エッチっぽーいとか、
上手そーう、とかっていうんだよ。
ノリスケ ああ、ああ。
ジョージ うん。なんで? って聞くと、
私たちのことを見てくれてるから、
って言うの。
ノリスケ は〜。
つねさん 要するに、私を見て、じゃなくって、
私たちを理解してって。
ジョージ で、他の人が気がつかない、
細やかなところを見てくれる、とかね。
ノリスケ うんうん。
ジョージ で、それ以前の問題として、
僕たちは自分たちを最初っから
商品にしてるから。
ノリスケ 商品ですよ。
ジョージ だって、こんなちっさいマーケットで、
たとえ1万人男がいたとしても、
その男のなかで僕のことを好きと言ってくれ、
しかも僕も好きだと言える相手は、
1人いるかいないかなんだよね。
ノリスケ そうだよ! ほっんと、そうだよ!
つねさん 力、入ってるね。でもそうだよね。
ジョージ で、ノンケの世界だと、
男の前で1万人の女がいたら、
ほとんどの男は、6千人ぐらいできちゃうの。
で、女的にも、おそらく5百人ぐらい
できちゃうわけじゃない? 
で、そういう環境における商品化と
僕らの商品化は、違うよね。
ノリスケ 違う、ぜんぜん違う。
ジョージ そうするとやっぱり、他の人に対して、
自分はどういう人間かというメッセージを、
いつも考えておくる準備をしてるかどうか、
っていうの、いいよね。
ノリスケ うんうん。
ジョージ 女のフェロモン、
男の僕から見て感じるフェロモン…
女のフェロモンねー。
あの、ウチはけっこうね、
フレックスタイムの会社だし、
残業する子は仕事のできない子っていうのが
前提なんで、あんまり残業しないの。
ノリスケ おお。
ジョージ とくに女の子はほとんど残業しないんだけど、
おっきいイベントとか、
なんかちょっとした会社の区切り区切りでは、
けっこう忙しくなるのね。
ノリスケ うん。
ジョージ かわいそうだもんね。
女の子の仕事っていうのはね、
他の人の仕事が出来上がった後の仕事が
ほとんどなの。
出来上がる前と出来上がった後だから、
だれよりも先に準備をしなきゃいけないし、
誰よりも後まで残ってなきゃいけないんだよね。
それこそ、コピーを取って書類をまとめたり、
プレゼンテーションの資料を整えたりでしょう?
そうするともう、すっごいの。11時過ぎても、
まだ仕事をしてたりとかするの。
ノリスケ もう終電間に合わないぞ、みたいなね。
ジョージ うん。で、そろそろもう終電の時間だから、
どこそこ線で帰る人は、もう帰ってーっ、
て言うと、わかりましたーっ、て言って、
髪をバサバサバサーッて整えて、
バーッて出て行くときの表情って、
すっごい女っぽいもん。
ノリスケ カッコ良さそう!
ジョージ うわーっ、て思うよ。
つねさん すごいね。
ジョージ うん、仕事をやった充実感?
ノリスケ 充足感があるんだなぁ。
ジョージ んで、その出口のところで、
後は皆さんにお任せします、
よろしくお願いしまーす! って帰ってくんだよ。
あのー、たぶんね、ゼロ戦に乗って
特攻隊で出ていく男の色気だよ、あれは。
もうね、ホモの私が惚れる女!
っていう感じだよね。
だけどね、んー、そういう環境の中でも
要領良く仕事やって適当に帰ってく子もいるの。
も、そういう子はね、
もう、いいや、って思うよね。はいはい。
ノリスケ (笑)それ、男もいっしょだね、それは。うん、
それ、まったくいっしょだな。
(つづきます。)

2002-03-14-THU

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