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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

ビッチな女。その1
強い女と強がってる女は違うのよ。


ノリスケ よくジョージさんが
「あの女、ビッチなのよ〜」
って使うじゃない?
ビッチっていうのは、かっこいい意味?
それって、褒め成分入ってるでしょう。
ジョージ そうねえ。
ノリスケ 僕もそう思うの。ビッチ成分、かっこいいの。
かっこいい女って、どういう女?
つねさん 難しいっ。
ジョージ ん〜。じゃ、かっこいいオカマって、
どういうオカマ?
ノリスケ それ、難しい質問だね。
ジョージ かっこいい男は?
ノリスケ ……(沈黙)。
ジョージ ね。沈黙だよね。
じゃ、カッコイイ人間って?
ノリスケ あーん、難しい。難しい質問だよ。
つねさん 生き方がカッコイイとか、
なんか……そういう……(困)。
ジョージ カッコイイ生き方って、どういうの?
つねさん 自分が憧れる部分を、
その人が持っていると、
カッコイイって思うよ。
もちろんそれは、顔がカッコイイとか、
そういうのとは、またべつで。
ジョージ カッコイイ男の中には、かなりの部分、
「昔ながらの職人気質」
とかっていうのがあると思わない?
ノリスケ ああ、ああ。
つねさん 頑固さとか?
ジョージ そう、自分の腕ひとつでもって生きてる、
てやんでぇ、みたいな。
ノリスケ あるね。
ジョージ 頑固で、ものすごく自分に自信があるんだけど、
うぬぼれがなくって謙虚で、責任感が強くって。
つねさん 実直で。
ノリスケ それは、明治の男じゃないの?(笑)
ジョージ んー、でも、カッコイイ男って、
そんなでしょう?
どんどんいなくなってるけど。
ノリスケ いなくなってるっていう意味でも、そうだよね。
今さ、江川達也の『日露戦争物語』読んでて。
みんなカッコイイんだ、
当時の男と、男の子が。
つねさん へ〜。
ジョージ そうなんだろうと思うよ。
どんどんいなくなってるんだと思うよ。ね?
それに対するカッコイイ女があるわけ?
僕らから見てカッコイイ女の代名詞って、だれ?
ノリスケ たとえば、映画で言うと?
つねさん 『エリン・ブロコビッチ』のころの
ジュリア・ロバーツがカッコイイと思う。
ノリスケ エリン・ブロコビッチが? それとも
ジュリア・ロバーツがカッコイイの?
ジョージ ジュリア・ロバーツが演った
エリン・ブロコビッチがカッコイイわけよね。
ノリスケ じゃあ、サンドラ・ブロックが演った
デンジャラス・ビューティーは?
ジョージ あれも、けっこうカッコ良かったよ。
ノリスケ カッコ良かったよね?
僕、好きなの、あれ(笑)。憧れっ。
ジョージ やっぱり、自分の生き方があって、
信じるものに対して、一途なところ?
ノリスケ そう。
つねさん でも、弱い部分もあって。
ノリスケ 人間くさいのね。
ジョージ でも、人にあんまり頼らない。
ノリスケ 情にもろいくせに。
つねさん でもホントは頼りたいと思ってて。
ジョージ 甘えたいんだけど頼れない。
ノリスケ それは、自分でできちゃったりするから。
ジョージ あ〜、それはカッコイイよね。
でも、あれだね、ぼくらには、
ものすごくカッコ良く生きている女の、
ちょこっと見せた、弱い部分とか
いやらしい部分って、
すっごい人間味を感じるのよね。
つねさん 強い女の、そういう弱い部分って、
すごい素敵に見えるけど、
強がってる女の、すごい、媚びてる部分って、
すごいイヤじゃない?
ジョージ あ〜。
ノリスケ あ〜、嫌だね。
ジョージ たとえば、トム・クルーズ的世界って、
イヤでしょう?
ノリスケ 嫌だっ!
ジョージ なんか、鼻毛が飛び出てるトム・クルーズって、
ぜったい想像したくないじゃない?
彼も、ぜったい出さないだろうし。
ノリスケ でも、トム・ハンクスはOKでしょう?
ジョージ トム・ハンクスっていうのは、
たぶんゴムの伸びた
ゆるゆるのブリーフをはいてるかも
知れないけれど、逆にそういう部分を見ると……
つねさん いとおしいく感じる。
ノリスケ かわいいぞ、ってなるよね。
ジョージ そう。だから、男の場合は、
なんか、情けなさとか、
だらしなさとかっていうのが、
人間味の部分じゃない?
カッコイイ生き方の男に、
人間味を付けるのが、だらしない部分なんだよ。
だらしなくて情けない部分。
だけど、カッコイイ女の、
だらしなくて情けない部分は、
これ、カッコ悪いんだよね。
ノリスケ そうなのよねえ。
ジョージ で、カッコイイ女の、
人間味を出す部分っていうのは、
ものすごく、おてんばで? オチャメで?
いじめっ子魂プンプンで? っていう、
その部分なの!
ノリスケ そうか、それが「ビッチ」!
ジョージ で、カッコイイ女、
ただカッコイイだけの女を目指す人には、
ビッチな部分は必要ないんだけど、
カッコイイ上に、みんなから好かれて、
あー、素敵だな、人間味があるな、
と思われる女に必要な要素。
つねさん それが「ビッチ」なのね。
(つづきます)

★おしらせ★
『婦人公論』にジョージさんが!


12月7日(金)発売の『婦人公論』
(12/22・1/7合併号。中央公論社)に
ジョージさんが登場します。
darlingが司会をつとめる
「婦人公論井戸端会議」のゲストに
呼ばれたとのこと。
テーマは“ゲイを生きる”で、
もうひとりのゲストは南伸坊さん。
ぜひ、お読みくださいね〜!

2001-12-05-TUE
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