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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

贈り物上手になる。その3
贈り物は情報戦。


ジョージ たとえば、毎日毎日、
べつに遠距離恋愛じゃないのに、
毎日会えるわけじゃなくって、
毎日1時間くらい電話で話をしている
2人がいたとしたらね、
女の子の方から、
レター・セットをプレゼントするっていうのは、
すごく素敵な出来事じゃない?
つねさん ステキ。
ジョージ たまに私に手紙を書いて、
っていうことでしょ?
貰った男は、必死になって考えるよね。
電話で話せばそれでよかったと
思ってたことが……
ノリスケ これは、何かを伝え足りない、
って意味だよなって(笑)。
ジョージ 自分の気持ちを手紙にするって、
どういうことなんだろう? って思うんだもん。
ノリスケ 思う、思う。
こわいと思うかも知んないけど(笑)。
ジョージ 爆弾みたいなもんだよね。
ノリスケ すごいよね。爆弾だよ。
つねさん そうだよね。
ジョージ その爆弾を、10個ぐらい上手に処理して
投げ返してくれる男っていうのは、最高だよね。
ノリスケ 最高だよね。だから、結婚の意志を伝える、
っていうことにもなるよね。
つねさん なりかねないよね。
ジョージ そうだよね。僕、あれだもん、
大学んときに、すっごい豪放な女がいてね。
ノリスケ 豪放な女ね。合法じゃなくってね(笑)。
ジョージ 豪放磊落系の女。
も、うちの大学で5年やってて、
留学3年して帰ってきたんで、
かなりの年だったの。
んで、大昔の先輩の銀行員と、
結婚したくて仕方がなくって、付き合ってて。
で、すーごい男っぽい女なんだけど、
泣いてすがりつくような付き合いしてたの。
ノリスケ へーっ。
ジョージ で、ある日突然ね、男からプレゼント貰ってね。
それがハンカチだったんだよ。ね。
つねさん うん。
ジョージ 半ダース分。
ノリスケ えっ!?
ジョージ しかも、なんの飾りっ気もない。真っ白な。
ノリスケ しかも白!
それって、別れようって意志だよね。
つねさん ひえー、すごい。
ジョージ 貰ったときに、
ガァチョーンって思ったんだけど、
いい、私は負けない、っつって。
ノリスケ 私は、これを使わない。
ジョージ そのハンカチ全部に刺繍をして、
もう一回送り返したんだよ。
ノリスケ すっごーい!
ジョージ その人はどうなったでしょう?
つねさん 結婚したの?
ジョージ 結婚してもらった。
ノリスケ 合格したんだ。
ジョージ 合格したんだよ。
でも、そのね、結婚式のときに、
そのエピソードを言って。
ノリスケ すっごいね、結婚式で、言ったんだ(笑)。
つねさん 危険な二択だったんだ。
ジョージ そしたら、そういうつもりで贈ったんですか?
って聞かれてね、
いや、別れたい一心で贈ったんだけど(笑)。
もう、テストする気も何もなかった、
別れたい別れたい、もう、
こんな女と一緒にいたら、おれは食い殺される。
つねさん と思って。
ジョージ と思って。だけど、その刺繍、
すーごい奇麗な刺繍だったんだって。
フランス刺繍だよ。ね。
つねさん で、こんなところがあるんだ……
ジョージ そう、こんなところがあるんだ、
ほんとに俺と別れたくないんだ、この女は、
って思ったら、何とかしてやろうと思って
結婚した、っていうのね。
つねさん そういうのって、可愛く見えるよね。
ジョージ でもね、結婚して2年目で
離婚したんだけどね(笑)。
でも、いいじゃない? そういうのも。
つねさん 夢が見れて。
ノリスケ はぁーっ、それ、すごいなーっ。
つねさん それはもう、壮絶さんだよね(笑)。
ノリスケ そう、すごいよ、それ。
中島みゆきの歌詞のようだ(笑)。
つねさん ほんとだよ。ちょっと鳥肌立つよね。
ノリスケ 現実って、そんなことがあるんだ。
ジョージ プレゼントって、真剣勝負なんだよね。
あげて終わりのもんじゃないんだよね。
つねさん そう考えると、適当にブローチあげとこう、
なんてのは、勝負しようとしてないわけね。
ジョージ んー、勝負を放棄してるよね。
たとえば、真剣勝負するのに、
やっぱり、勝負するいちばん最初に
しなきゃいけないのは、
戦いを有利に進めるための
道具を吟味するわけじゃない?
ノリスケ 砲身掃除したり、刃を磨いたり。
ジョージ だけど、たとえばティファニーのもんだとかを、
安直にプレゼントする人っていうのは、
真剣勝負を他人が選んでくれた
わけのわからない、
ありきたりの武器でもって戦いをするんだよね。
負けるに決まってるんだよね。
ノリスケ そうだよね。
つねさん だから、それこそ情報戦になるのよ。
ノリスケ そりゃそう。で、情報戦、
その人が間違ってるのがさ、
彼女を理解しようとするんじゃなくて、
彼女の年齢の女の子が、何を欲しいのかな?
っていうことまではリサーチしたんだよ。
たぶん、同僚のOLに聞くなり、
雑誌を立ち読みするなりして、
ティファニー買えば大丈夫かなー? みたいな。
でも、それは、彼女そのものではないの。
ジョージ そうだよ。で、たとえばね、もう、そんときに、
ティファニーのペンダントでもいいのかなー?
って思ったら、男は女の子をティファニーに
連れてけばいいんだよ。
ノリスケ うん。
ジョージ 銀座の本店かなんかに連れてって、
グルグルグルグル回ってれば、
おんなじティファニーなんだけど、
食器だとかね、ペーパー・ウエイトだとかね。
そういうところで、足を止めるかも知れないの。
つねさん で、それを目ざとく見ないといけない。
ジョージ いっしょうけんめい見るの。
で、ティファニー連れてかれた
女の子っていうのは、あー、この人はたぶん、
ティファニーのリングかペンダントを
私にプレゼントしてくれるつもりなんだわ、
って思うんだよね。で、それはね、
いい意味でね、いい落胆の伏線だよ。。
ノリスケ ふんふんふん。
ジョージ で、たとえば、コーヒー・カップの前で
立ち止まったらば、
それをこっそり包んでもらって、
内緒でプレゼント持ってくんだよね。
で、ティファニーの、あのブルーの
ショッピング・バッグを見たときに、
ほらほら、あのペンダントが来たっ、
て思うわけじゃない? で、開けてみて、って。
で、開けたら、ペンダントじゃなくって、
コーヒー・カップが出てきたら、
ああ、この人は、私のことを
ほんとうに見ててくれたんだ、って思うよね。
ノリスケ 意思表示になるよね。
ジョージ そういう、どゆんかな? やりとり?
ノリスケ 足りないんだー。
つねさん やっぱ、観察してないんだよ。
一緒にいるから、っていうだけで、
終わっちゃう、みたいな。
ジョージ “観察させベタ”もあるんだよ。
女の子は、何にでも、どゆのかな? 
同じようなリアクションをとるの。
かわいいー、素敵ー、わー、かわいい……
ノリスケ あるあるあるある。ほんとに好きなのは
これです、っていうの、
わかんなくなっちゃうんだよね。
つねさん うん、確かにそういうのもある。
ノリスケ とりあえず、何でも演じちゃったりするからね。
つねさん でも、それって、じゃ、言う資格は、ない、
ということになっちゃうよね。
ノリスケ ってことは、意思表示ハッキリしなくちゃ
いけないんで、女の子もキツイことは
キツイんだよね。
つねさん うん。
ノリスケ 私はこれは嫌いってことが、
嫌いって言葉使わなくっても、
ちゃんとわからせなきゃいけないから。
つねさん 嫌いって言わなくてもいいと思うけど、
なんか、ね、これよりもこっちが好き、とかね。
物と言いようがあるから。
ジョージ そうだよね。
(つづきます)

2001-11-30-FRI

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