ほぼ日テレビガイドシリーズ  春の連ドラチェック2011  あややとふたりのプロフェッショナル

ママとパパのドラマ?
そして、おすすめの1本を!

── 森下さん、
なにか1本、お願いします。
森下 ええと、じつは録画したまま
まだ観ていないんですけれども、
『名前をなくした女神』って
気になっていて。
あやや あ、フジの火曜9時ですね。
名前をなくした女神
フジテレビ系
毎週火曜日午後9時
森下 っていうのは、
私も、こういうテーマを
おもしろいなと思っていて。
原作ものでも、オリジナルでも、
なにかできないかなと考えてたんですよ。
これ、1回目、観ました?
あやや 初回は観ました。けっこうよかったです。
森下 あ、そうですか。
あやや はい。なんていうか、観る前は、
いわゆる「ママ友」の世界って、
ちょっと特殊な、自分とは遠いものなのかな
と思ってたんですけど、
ぜんぜんそうじゃなくて。
とくに女性は、こういう世界って、
高校生のときに経験してる子もいるし、
大学生のときに経験してる子もいるし、
社会人で経験してる子もいるし。
森下 ああ、なるほどね。
あやや まぁ、乱暴にいってしまえば、
要するに女の人たちの見栄のはりあい
みたいなことですからね。
で、それぞれ、ほんとは
内面に抱えてるものがあって‥‥っていう。
森下 つまりその、リアルな世界。
あやや リアルですね。
荒井 顔ぶれとしては、
木村佳乃さんがママ役というのが
ちょっと新鮮ですね。
森下 セレブママ担当?
あやや セレブママ担当‥‥
というか、怪演担当。
荒井 へぇー。
森下 怪演(笑)。
あやや 木村佳乃さんの新たな持ち味だと思います。
やっぱり、結婚して、
なにかひとつ、突き抜けたなと。
森下 軸が決まったのかもしれないですね。
いままでポジショニングが
ぼんやりしてましたから。
主役をやったり、脇にまわったり。
こう、どっちにも行ききらないというか。
あやや ああ、たしかに、たしかに。
だから、この「怪演」を突破口にして。
── すいません、質問ですけれども、
その「怪演」というのは、
どういうことを指すんですか。
あやや ええと、例えば、男でいうと
昔の佐野史郎さんみたいな。
荒井 冬彦さんですね。
森下 この人が出るとサスペンスフルな音楽が流れる、
みたいな役どころですよ。
── ああ、なるほど。
荒井 木村佳乃さん、そんな役なんですか?
あやや そうです。けっこう不気味です。
荒井 へぇー。
それはちょっと観てみたいな。
これ、重かったりするんですか。
要するに、ママ友のあいだで
いじめみたいなことがあったり?
あやや あ、ありますよ。
なんといっても、ドラマのコピーが
「ようこそ、ママ友地獄へ。」ですから。
荒井 うわぁ。
── うわぁ。
森下 うーん、やっぱり観たいな。
あやや わたしもこれ、観ちゃうと思います。
荒井 これ、女性の受けはいいかもしれませんけど、
男の視聴者は、あんまり観ないかも‥‥。
森下 あー、たしかに。
それは、しょうがないかも。
あやや 女の人って、この手の世界を、人生の中で、
一度は経験してる人が多いですからね。
荒井 「ああ、わかる」って感じなんですかね。
あやや あ、でもね、
「どろどろだろうな」「エグいだろうな」
って思って観ると、意外にそうでもないですよ。
実際、私もそういう暗めのドラマは
そんなに好みではないので、初回は、
ある種、義務のようにして観たんですけど、
すごくおもしろかったですから。
荒井 あ、そうですか。
あやや だいたい、主役が杏ちゃんだから、
いじめられないんですよ。
いじめられても、悲壮感がないというか、
強いんですよ、なんか。
だから、エグくなりきらない。
森下 なるほどね。
そういうセーフティネットな感じは
大事かもしれない。
あやや あと、男の人のことでいうと、
つるの剛士さんがすごくいいですよ。
子煩悩なダンナの役なんですけど、
ご本人が役にフィットしてて
とってもいいです。
森下 あと、気になるドラマを
もう1本挙げていいですか。
あやや もちろんです。
森下 『リバウンド』。
リバウンド
日本テレビ系
毎週水曜日午後10時
あやや ああ、ダイエットの話。
森下 そう、なんていうか、設定が
いい意味でくだらないんですけど。
あやや 主人公の相武紗季ちゃんが
大失恋をきっかけに37キロ痩せた
っていう設定なんですよね。
ところがケーキ屋さんに行って
速水もこみちさんが演じる
イケメンのパティシエに恋をする。
だから、彼に会うには、
ケーキを食べなきゃいけない。
荒井 それで、リバウンド。
あやや リバウンド。
うーーん、なんて、ツラい響き。
── あやちゃんもわりと自在だよね。
あやや 自在、自在。ってコラーーー!
森下 恋する相手に会うと体重が増える。
そういうわかりやすくもばかばかしい葛藤が、
たいへんおもしろそうだなと。
あやや そうですね。
森下 あの、ダイエット番組ってあるじゃないですか。
けっこうあれ、泣けたりするんですよね。
あやや あー、わかるわかる。
── 共感できる、と。
あやや そうなんです、もう、泣けて、泣けて。
ってコラーーー!
荒井 相武紗季さんともこみちさんって
しょっちゅう共演してますよね。
森下 あ、そうですね。
荒井 『絶対彼氏』もこのふたりだったし‥‥。
森下 もうひとつ‥‥テレ朝の‥‥
ああ‥‥なんだっけ!
あやや あれだ、『レガッタ』。
森下 あーー、『レガッタ』!
(ゴチン!)
── うわ!
あやや だ、大丈夫ですか。
机に、おでこを、もろに。
荒井 すごい音がしましたよ。
大丈夫ですか。
森下 大丈夫です(笑)。
── 森下さんはリアクションが
「机に突っ伏し」系なので、
いつかやるんじゃないか、
とは思っていましたが‥‥。
森下 イタタタタ、だ、大丈夫です‥‥。
荒井 ええと、なんの話でしたっけ。
あやや 相武紗季ちゃんともこみちさんの
組み合わせが多いと。
荒井 ああ、そうそう。
わかりやすいコミカルなドラマに
なりそうな感じですね。
森下 うん。けっこう期待してます。
あやや 勝地涼くんも持ち味を発揮しそう。
あとは、栗山千明さんもいます。
単なるコメディー、と思わせておいて
キャスティングはかなり
いいところを押さえてます。
あ、若村麻由美さんも出るじゃないですか。
若村麻由美さん、いいですよ。
田村正和さん主演の『告発〜国選弁護人』、
観てました?
荒井 はいはいはい。
森下 あのときの、若村さん、
めちゃくちゃよかったんですよね。
あやや よかった!
森下 若村麻由美さんはほんとに上手ですよね。
『リバウンド』、期待しちゃいますね。
おもしろいといいなー。
荒井 ドラマ自体は軽そうですね。
あやや でも、脚本は遊川和彦さんですよ。
なにか、一本、ピシッとした
筋が通りますよ、きっと。
森下 ああ、そうですね。
遊川さんは、たぶん、
「これが言いたいがために」っていう
なんらかの主張があって
ドラマを書く方だと思うんですよ。
あやや 菅野美穂さんの、
こないだのドラマもそうでしたよね。
森下 『曲げられない女』。
あやや そうそう。
だからやっぱり、
遊川さんが書くということは、
コミカルななかにも
なにか、ちゃんと筋が。
森下 と思いますけどね。
あと、まったく関係ないですけど、
うちの甥っ子が、すごく
相武紗季ちゃんに似てるんです。
── ‥‥‥‥そうですか。
あやや しかし、相武紗季ちゃんも
働き者ですよね。
森下 いまは、だんだん
似てなくなってきたんですよ。
相武紗季ちゃんに。甥っ子が。
── ‥‥そうですか。大丈夫ですか。
さっきのおでこゴチンの影響ですか。
森下 いくぶん腫れもひいてきました。
ハイ、相武紗季ちゃん、働き者ですね。
あやや しかし、あれですね、この人も、
戸田恵梨香さんと同じで、
主役をやると大当たりがないというか‥‥。
で、脇をやってすごくよくて、
主役にまた戻ってくるという、
ドラマ界の働き者サイクルで。
荒井 もうそろそろ、大当たりが
出てもいいような気がしますよね。
あやや 『絶対彼氏』とかはよかったですけど、
大当たりではないんですよね。
荒井 10パーセント代の前半とかですね。
森下 ハイ! あと、もこみちくんは料理が上手い!
あやや ‥‥‥‥ええ。
荒井 ‥‥そ、そうなんですね。
── 大丈夫ですか、森下さん。
おでこゴチンですか。
森下 だいじょぶです。
いくぶんハレもひいてきました。
── ええと、ぼちぼちエンディングに
向かっていこうと思いますが、
ほかにありますか?
荒井 『遺留捜査』、『ハンチョウ4』あたりは、
このコンテンツで言うところの定食ですね。
森下 はい、定食ですね。手堅いです。
遺留捜査
テレビ朝日系
毎週水曜日午後9時
ハンチョウ4
TBS系
毎週月曜日午後8時
あやや とくに『ハンチョウ』はおもしろいですよ。
あ、もう、「シリーズ4」なんだ。
そりゃ、おもしろいですよね。
荒井 『遺留捜査』もきっとおもしろいですよ。
森下 そうですね。まちがいない。
あやや ここまで鉄板で定食だと、
語られないんですよね、この場では。
荒井 そうですね(笑)。
おもしろい、以上、みたいな。
あやや ですからこのあたりは
リスペクトをこめて、
語らずパスさせていただいて‥‥。
森下 そうですね(笑)。
あやや 最後に、これ、行っておきましょうか。
『グッドライフ』。反町隆史さん。
ええと、白血病と闘う息子を献身的に看病する
親子の哀しい運命を描くヒューマンドラマ。
韓国のベストセラーが原作。
グッドライフ
TBS系
毎週月曜日午後8時
森下 まぁ、なんていうか、
絶対泣ける話なんだろうなぁ
って思うんですけどね‥‥。
あやや そうですね。
荒井 正直、わりとダメなんですよね。
このタイプ、やや苦手なんです。
その、バッドエンドが
最初に明かされちゃってるのと同じでしょう?
それを観ていくのは、ちょっとつらいですね。
あやや ほんとに亡くなる話なんですか、これ。
森下 「死にゆく息子に父親ができること」って
資料には書いてありますけど‥‥。
荒井 サブタイトルが
「〜ありがとう、パパ。さよなら〜」
ですからね。
そうなるのがわかってるお話を
ずっと追っていっしょに哀しくなりたくない
っていうのが個人的な気持ちですね。
── まぁ、ドラマのよしあしとは別のところで。
荒井 そうですね。完全に別です。
こういうお話を求めてるお客さんも
ちゃんといると思いますし。
あやや あの、『1リットルの涙』とかは、
みんな、バッドエンディングが
わかってたけど、でも観たわけですよね。
森下 ああ、うーん。
あやや で、こっちを観る気がしないっていう
荒井先生の気持ちも私はわかるんです。
それ、なんなんでしょうね。
── ‥‥「子ども」だから?
荒井 それは、あるかもしれないですね。
ふつうは、未来が
いっぱいあるはずなのに‥‥。
うーん、すいません。
あやや いえいえ。
ええと、見方をがらりと変えて、
主演の反町隆史さん。
最近、この手のドラマから
車のCMにいたるまで、
「いいお父さんやってます」みたいな役が
ぜんぶ、反町さんに集中しちゃってますね。
荒井 ああ(笑)。
森下 そうですね。
あやや 要するに、20代のころ、けっこう
かっこよくて、やんちゃだったけど、
結婚して、子どもができて、
いまは家族を大切にしてます、
みたいなポジションにはまるのが、
いま、反町さんしかいないんですよね。
── (ひそひそ声で)
あやちゃん、あやちゃん、
また怒られるようなこと訊くけどさ、
反町さんは、実生活でもパパなんだっけ?
あやや ひーーー、そんなこと訊きますか!
ふたりの女の子のパパです。
奥さんは誰だが知ってるでしょうね?
松嶋菜々子さんですよ?
── ‥‥知ってるよ。
あやや ほんとですか?
── ‥‥糸井重里いわく、
「オレが『知ってるよ』って言うときは、
 たいてい知らないときである」。
糸井重里は、いいこと言うなぁ‥‥。
あやや なにブツブツ言ってるんですか。
ええと、ともかく、私としては、
いまの日本の芸能界において、
この、「反町さん的パパ」のポジションが
かなり手薄になっているということを
ぜひとも、指摘したい。
森下 年齢とともに、ふつうに環境を変えて、
成熟していく男性像を。
あやや そうです、そうです、そのとおり!
── あやちゃん、デカい、声が。
森下 まぁ、そんな感じで‥‥。
荒井 だいたい拾いましたかね。
まぁ、例によって駆け足でしたけど。
── 駆け足といいつつ、
たっぷり3時間経ってます。
あやや でも、駆け足なのはほんとですよ!
ほんとはもっともっと時間をかけて
ゆったり、ねっとり、語りたいのに!
── ともかくまとめましょう。
さぁ、みなさん、おすすめのドラマを
いつものように3本選んでください!
あやや 『JINー仁ー』は殿堂ですね?
── 『JINー仁ー』は殿堂です。
それ以外でお願いします。
あやや わかりました。
でも、ほんとは『JINー仁ー』なんですよ。
ほんとは『JINー仁ー』なんですけどね。
森下 ありがと、ありがと(笑)。
あやや どうしようかな‥‥3本‥‥。
朝ドラも入れたいけど‥‥よし!
『BOSS』、『ハガネの女。』、
『生まれる。』、これで!
荒井 うーん‥‥そうかぁ‥‥。
よくそんな簡単に決まりますねぇ。
うーん‥‥ちょっと待ってくださいね‥‥。
あやや じゃ、荒井先生が選んでるあいだに
ひとこと、言ってもいいですか?
── どうせ言うんだから、言いなさい。
あやや 『ハガネの女』に斎藤工くんっていう
俳優さんが出てるんですよ。
‥‥この人は、なかなかいいです!
森下 イケメンチェックだ(笑)。
あやや ハズレるかもしれないですけど、
いまのところ、いい予感がします。
こんなキレイなルックスで
モデルとかやってたんですけど、
なかなか深みがあります。
森下 へぇー。
あやや 若いときの時任三郎さんを
かっこよくしたような感じです。
この人は、いま、
どの役をやらせてもいいです。
荒井 うーん‥‥まず『BOSS』ですね。
木曜10時。
── なるほど。
あやや あっ! 永田さん!
もうひとつ、言いたいことがあった。
言ってもいいですか。ダメですか。
ダメですよね。すいません。
でも、言っていいですか。
── あやちゃん、
この場が終わりかけてるから
謎のラストスパートかけてるね。
あやや そうなんです!
わたしの至福が終わってしまう!
その前に言いたかったのは、
「フジの木10は、えらい!」
っていうことなんです。
── ふじのもくじゅう。
フジテレビの木曜日10時からの
ドラマ枠のこと。
あやや そう! フジの木10は、
ほんとうに質の高いドラマを
コンスタントにつくってるんです。
たとえば、前回の『外交官 黒田康作』、
あと『不毛地帯』も好きだったし、
それから『GOLD』も私は好きで。
正直、視聴率的には苦戦してるんですけど、
どれも、すごくいいんですよ。
森下 うん。本格派が多い。
あやや そうなんです!
ですから、ドラマファンとして、
「フジの木10」という枠で
ドラマをつくっている人たちに、
「がんばってください!」と
この場を借りて、
お伝えさせていただきます!
がんばってください!
いつも観てます!
── 荒井先生、ぼちぼちどうでしょう。
荒井 2本目は、『遺留捜査』にします。
あやや おー。
森下 定食、行きましたか。
── 荒井先生はいつも
独自の1本を入れますね。
荒井 で、3本目が『鈴木先生』。
あやや あっ! 忘れてた!
『鈴木先生』、『鈴木先生』!
永田さん、わたし、今回4本にします!
── ‥‥傍若無人。
森下 じゃ、私ですね。
でも、3人とも似ちゃいますね。
私は『BOSS』と『生まれる。』と
『鈴木先生』の3本にします。
あやや あっ、すごい、3人ともほとんど同じ。
── 『BOSS』と『鈴木先生』を
3人とも選んでらっしゃいますね。
あやや ってことは、
『鈴木先生』じゃないですか?
荒井 そうですね、
『BOSS』はシリーズ2作目ですから、
やっぱり、新規のドラマに。
森下 そうですね。
あやや 賛成。
── じゃあ、『鈴木先生』。
ああ、久々にすっきり決まりました。
「春の連ドラチェック2011」、
我々がおすすめするのは、
『鈴木先生』です!
テレビ東京、毎週月曜日午後10時!
森下 ありがとうございましたー。
荒井 ありがとうございました。
あやや いやーーー、また、終わっちゃった!
森下さん、荒井先生、
どうもありがとうございました!
そして、最後まで読んでくださって
どうもありがとうございました。
今回も暑苦しくてすいません!
でも、たのしかったー!


(おしまい)

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2011-05-08-SUN