土方歳三、かく語りき。
山本耕史 from チャノミバ
第6回「『新選組!』の仲間たち」


いまって、けっこう華やかなドラマが多いじゃないですか。
それこそ、男優さんが何人出てて、女優さんが何人出てて、
みたいな感じで。
でも、『新選組!』って、13回かな?
鴨がたき火をするシーンがある回があるんですけど、
えっとねえ、150人くらい出てて、
ひとりも女性の名前が
タイトルバックに出てこなかったんですよ。
そのくらい女性がいないんですよ。
そうすると、なにか、男どうしの結束じゃないですけど、
やっぱり異質のものになりますよね。

ほんっと最後のほうは
どんどんどんどん隊士が減っていくじゃないですか。
寂しかったですよ、あれ。
だんだんみんなクランクアップしていって、
「お疲れ様でした、お疲れ様でした」
ってみんないなくなっていくなか、
土方と近藤はずーっといるわけです。
「あれ、いま新選組って、
 もうこれだけしかいないんですか?」
って局長がたまに言うわけですよ。
「もう、これしかいないんだよ」って答えたりして。
局長の部屋で、「流山に行こう」って話す場面があって、
そのときは、局長と、土方と、斉藤、尾形、島田魁。
この5人しかいなかったんですよね。
もうほんとうに、あのときは‥‥。
大所帯のころとはうって変わって寂しかったですよ。

堺(雅人)さん33話で切腹をしてしまうんですけど。
30話くらいから山南敬助と土方歳三っていうのは
ちょっとぶつかり合うんですね。
で、ホン(脚本)をもらったときに、
すごく気持ちが落ちたんですよ。
「うわ、こんなことを言わなきゃいけない」とか、
「こんなことをやらなきゃいけない」って。
たぶん(現実の)土方さんも同じだったと思うんですけど、
「あれ? 俺こんなこと言いたくないのにな」
っていうようなことが書いてあるんですよ。
それでやっぱり、33話までは‥‥。
堺さんともね、よく言ってたんですけど、
「あのときは、ずーっと口きかなかったよね」
っていう時期があったんですよ。
ほんとに、なにかね、やっぱり
ドラマと同じようになってた感じがあって。
あんまり仲よく「堺さーん」って言って
しゃべれないテンションになってたんですよね。
そのくらい気持ちが落ちたんですよ。

(撮影終了後に)堺雅人さんといっしょに、
二本松でトークショーをやったんです。
ぼくは『新選組!』関連のトークショーを
けっこうやってたんですよ。
でも堺さんとは初めてで。
堺さんも、ぼくとやるまえに、
(中村)勘太郎君といっしょにトークショーをやってて、
それはすごくたのしかったらしいんです。
で、二本松のトークショーは、すごくお客さんも入って
ぼくはたのしくやったんです。
ところが、終わったあとに取材の人が
「今日はどうでした?」って訊いたとき、
ぼくは「もう楽しくて、あっと言う間でした」って
答えたんですけど、
堺さんは「ぼくね、正直やりづらかったんですよ」
って言ったんですね。
ぼく、なんでかわかんなくて、ドッキリしたんですけど。
「なんでですか?」って訊いたら
「やっぱりね、なにか、いつもこう、
 副長に許されてしか
 ぼくは行動してなかったから、
 いつも副長の目が気になる」って言うんです。

堺さんが言うには、勘太郎君としゃべったときは、
「こう言えば、勘太郎はこう言うだろう」
っていうことで成り立っちゃうんだけど、ぼくだと、
「(ドラマの中で)
 そういう距離感を取ったことがないから、
 『いましゃべったこと、合ってた?』って
 いちいち自分のなかで確認しなきゃいけなかった」
って言うんですよ。
もちろん、ぼくはそんなこと気にしてないんですけど、
堺さんは、ぼくがなにかを言ったときに、
「え、ここはぼくは言っていいのか?」とか、
その距離感がわかんなかったんですって。

堺さんはおもしろいですよね。
仲はものっすごいよかったですよ。
まあ、みんなよかったんですけど、
たとえば香取君とかぐっさんとかっていうのは
本当に友だちみたいにワーワーって会って遊んで
みたいな感じだったんですけど、
堺さんとぼくは、舞台をやっているということもあって、
お互いがやっぱり役者として引きつけ合ってたんですよね。
それは、堺さんもそうやって言ってくれてたんですけど。
だから堺さんとはいい関係だったんですよ。

キャストどうしで、
もしも自分がいまの役以外の隊士をやるなら
誰を演じたいか、
っていう話をぼくらはよくしてたんです。
ぼくは、「左之助」なんですよね。
(山本)太郎君の左之助が、
ぼくにとってすごく魅力があったって
いうのもあるんですけど。
なんかやっぱり、役者としては、
(土方と)真逆な路線を行きたいわけですよね。
もちろん、土方さんの役っていうのは
今回の『新選組!』ではやっぱり譲れないんですけど、
もし土方歳三じゃなかったら、
やってみたいっていう役でいうと、
ぼくは「左之助」です。

『新選組!』の仲間は、ほんとうに、
「こんな仲間、集わないだろうな」
っていう人たちだったんで。
その結束力みたいなものを味わいましたね。
一生のうちに、そんなにないと思います。

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2005-04-24-SUN

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