土方歳三、かく語りき。
山本耕史 from チャノミバ
第4回「武士道について」


よく取材とかで、
「新選組の志」について訊かれることがあるんですが、
いまの時代の人が軽はずみに
言えるようなことじゃないと思うんですよね。
「彼らをただ『かっこいい』って
 いまの時代の人が言うのは、
 ぼくはどうかと思います」
っていうふうに、ぼくはいつも答えてたんです。
もちろん、いまとなってはヒーローではあるんですけど。
取材する記者の人は、
「いまの私たちに足りないのは武士道だと思うんですよ」
って言うんですけど、そう言われるとぼくは、
「じゃあ、武士道ってどういうこと?」って思うんです。
「人をふつうに斬れちゃうことも入っちゃうよ?」
っていうことじゃないですか。だからぼくは、
「いや、それはもう時代そのものも違うし、
 見方も感じ方もぜんぜん違うから、
 ぼくは今回の『新選組!』は
 三谷さんが書いたヒーローたちの群像劇を
 ただ演じてるだけです」って言ってたんですよね。



立ち回りってあるじゃないですか。
「あれは実際どうだったんだろう?」
って、ぼくらはよく話してたんですよ。
実際に、刀をカンカン当て合って、詰め寄って、
みたいなことをやってたんだろうかって。
相手の刀を回して引っ掛けて取っちゃうとか
いろいろと伝わっている剣術があるじゃないですか。
そういうことっていうのはできてたのか。
もしくはもう、身体は引いてて、
手だけ前に出てて、振り回してるみたいな、
そんなにかっこよくない立ち回りだったのか。
どっちだったんだろうと思って。

山口(智充)さん、永倉新八は、
「そんなきれいなもんじゃなくて、
 もうどっから来るかわからないから。
 その中でもうまい下手っていうのはあるけれども、
 ひとりひとりと試合するわけではないから、
 絶対振り回してた」って言ってて。
「そうじゃない、武士道があったはずだ」と言う人もいて。
「一対一でやる時は、なにかしらの決まり事があって、
 きれいにできてたんじゃないか」
って言う人もいましたし。

どっちかわからなかったんですけど、
ただ、殺陣の先生がいるわけじゃないですか。
で、「こういう技がある」と教えてくれる。
その技はどこから来てるんだろうなと
ぼくは思うんですよね。
北辰一刀流と天然理心流っていうのがあって、
ぼくらは天然理心流でやってて。
で、訊いてみたら、天然理心流という剣法は、
やっぱり殺陣も、肉を切らせて骨を断つという、
きれいというよりは鮮やかな、そういう剣法なんですよ。

だから、みんな傷だらけだったと思うんですけど、
やっぱりそれなりにきれいな部分があり、汚い部分があり。
人間の生き方じゃないですけど、
きれいな部分があり、汚い部分があり、
それが戦い方に出てたんじゃないかという気がしてて。

刀を着物で着て、自分が映ってるのを
モニターとかで見るじゃないですか。
人と剣を交えたりするところを。そのときに、
「なんかこの刀ってあんまり凶器に見えないな」
と思ってたんです。
もちろん本物ではないからあれなんですけど、
こんなんで人を斬ってたんだねって言っても
想像ができないんですよね。だけど、
(ドラマの後半で)ぼくが洋装したじゃないですか。
で、洋装のときに刀を抜いたら、
ものっすごい怖いものに見えたんですよ。
これすごい不思議だったんですけど。
自分が着物のときはまったく気づかなかったのに、
洋装スタイルになってブーツはいてっていう状態で
刀をシュッと抜いたら
ものっすごい凶器に見えたんですよね。
あれってなんでしょうね。

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2005-04-21-THU

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