『新選組!』
with
ほぼ日テレビガイド
第31回 「江戸へ帰る」を観て。

※今週は夏期休暇中につき、集まって雑談ができないため、
 3人それぞれのレポートと、
 読者のみなさんからいただいた感想を掲載いたします!

<神様もつらいよ>
ほぼ日テレビガイド男子部 局長・糸井重里


ひとりで、夕方、だんだん暗くなる部屋で観賞した、
電灯をつけなかったのは、当然わざとです。

今回、大づかみに考えたのは、
「史実を、後世の作家が物語化する」ことについてでした。

ほら、NHKの大河ドラマって、
ほんとにいた人の物語、ほんとにあったはずの話を、
1年間の物語にして表現してるわけですよね。
これ、なんだろう、と、
根本的なことを思っちゃったんです。

そういうケースって、ドラマとしちゃ、
非常に特殊だと思うんですよ。
だって、例えば忠臣蔵でいったら、
どんなにフィクション化したとしても、
浅野内匠頭は、絶対に切腹するでしょう。
12月にはかならず討ち入りをするでしょう。
そういうことを、視聴者は知っていて見てるんですよね。

だから、この『新選組!』にしたって、
いまの土方歳三のふるまいやら、
山南さんの苦悩やらを見ていたら、
「いずれは、ああなってこうなって」と、
お客さんたちは、これから彼らが落ちていくおとしあなを、
視野に入れながら、見ているわけなんですよ。

視聴者は、彼らの行く末の不幸を、
知っているがゆえに味わう快感があるのです。
視聴者は、未来を見てしまった人々として、
ドラマのその時々の時間を共有しているわけです。
いやな喩えだけれど、
あなたの好きな、親しいともだちが、
いずれ腹を切って死ぬことを知っているとします。
あなたは、その友人の悲しい未来を知っているのに、
その友人が、いまうれしそうに笑っていたとしたら?
その笑顔が、もーのすごく切ないでしょう。

今回の『新選組!』のような歴史上の敗者を描く物語は、
みすみす悲劇的な結末に向かって走っていく主人公たちを、
救ってやれない自分に、切なさを感じる神様の視線を、
ぼくら視聴者のこころのなかに育んでいきます。

「神様も、つらいよ」という大きなスケールの悲喜劇は、
いつもの自分以上の大きさの自分を育ててくれるので、
これがまた、気持ちよくてやめられないんですよねぇ。

今回は、たくさんの感想が寄せられると思ったので、
ぼくはちょいと俯瞰的に、総論みたいなことを
言わせていただきました。


<久坂玄瑞が買い物にきてた>
ほぼ日テレビガイド男子部 副長・西本

こうやって一人で新選組のレポートを書こうとすると
全く手が動かないことにがく然としております。
やっぱり、3人揃って語りあってこその
テレビガイド男子部であることを
改めて認識しました。

日曜日、NHKの
『糸井重里のおいしい野菜つくっちゃいました。』
のオンエアをチェックしてから
園芸道具を買いに東急ハンズに向かいました。
園芸売り場でプランターを選んでいると
嫁がちょっと慌てた様子で
「くさかが買い物にきてるよ」
と、耳元でささやきます。
「くさか? 誰だよ」
と思いながら嫁の視線の先を見ると
第二十九回「長州を討て」の演技の記憶も新しい
久坂玄瑞役の池内博之さんが
買い物をしているじゃないですか!
エレベーターに乗り込む池内さんに向かって
「お疲れさまでした」と心の中で呟いた私でした。

そして今日。
六本木ヒルズで春風亭昇太師匠と
9月12日に行う落語会会場の下見と
打合せをしておりました。
下見を終えて、
ロビーでジュースを飲みながら
昇太師匠と雑談しておりました。
「どうしてこの人の雑談は
 何も面白いことを言ってないはずなのに
 こんなに面白いのだろうか」
と思いながら視線を昇太師匠の後に移した時、
そこにはまた久坂玄瑞が!
1週間に2度も久坂玄瑞に会うとは。
2度あることは3度あるといいます。
これからオヤジの初盆のために九州に行きますが
そこでも久坂玄瑞に会ったら
もうこのつながりは本物かもしれません。

あっ、全く感想に触れてませんでした。
平畠さんの自害シーンの演技のキレっぷり。
個人的に知っている人だけに
「漫才の時もあれくらいキレたらええのに」
と思いました。
『フジテレビ大反省会』での
ファックス紹介のコーナー以来の
はまり役だと思いました。

ストーリー的には
攘夷の矛盾を表現の仕方を
沖田の病気とからめて説明する所。
これは凄いよなぁ。
あの視点こそがぼくらが好きな
『風雲児たち』の視点だと思いました。

嫁は『新選組!』を観ながら
「今日の辺りは『風雲児たち』でいうと
 何巻くらいに出てくるの?」
と質問します。
20巻で完結するマンガだと思っていたそうです。
ほんとうは、幕末が始まるところまでで
20巻もかかっているのです。

来週、3人で一緒に語れることを楽しみにしてます。


<なぜこの人たちは逃げないのだろう>
ほぼ日テレビガイド男子部 総長・永田

なぜこの人たちは逃げないのだろうかと思う。

おとり捜査のような罠に引っかかってしまったた新見錦は、
自分を陥れた人に恨み言を言いつつなぜ逃げないのだろう。
「つぎは俺の番だ」と覚悟しながら、
芹沢鴨はなぜお梅を連れて逃げないのだろう。
傷を負って長州藩邸へ駆け込んだ亀は、
どうして最後の最後まで逃げ延びようとはしないのだろう。

葛山は武士としての覚悟から遠い位置にいるから、
精一杯の反論を述べた。
「なぜ私なのか」「なぜ私だけなのか」
それは、とてもまっとうな反論である。
ところが武士である土方は、
その「反論」そのものをもって
「生きるに値せん」と吐き捨てる。
現代に生き、現代の考えを持っている僕は、
ほんとうはその言葉にこそ
反論してもいいと思うのだけれど、
葛山はついにことばに窮してしまう。

その葛山にすら、逃げるという考えがない。
ことばに窮したところで葛山の抵抗は終わる。
混乱したまま、理不尽だと感じたまま、
自分を「生きるに値せん」と言った人に見られながら、
自分で自分の腹を切るために自分で刀を手に取る。
その瞬間だけ我に返り、言ったことばが切ない。
「作法を知りません」

なぜこの人たちは逃げないのだろうかと思う。

堺さんの演じる山南は、いつも微笑んでいる。
いいことがあっても、わあわあ喜ばないし、
わるいことがあっても、めそめそしない。
腹が立つことがあっても、いったん歯を食いしばるし、
自分の面子が立たないくらいのことは、
ほんとうに気にしていないように思える。
山南はいつも微笑んでいる。
いつもすこし遠くから物事を眺めている。
それは、ポーズではなく、この人の性質なのだと思う。
だから、山南が表情を崩すと、それだけで僕は不安になる。
声を荒げるときはもちろん、ぼうっとしているときも、
悩んでいるときも、笑っているときでさえ、
なぜかしら不安になる。
それが山南敬助という役どころのせいなのか、
堺雅人さんという役者さんのせいなのか、
わからないけれど、どちらかを選ぶなら後者を選ぶ。

来週の予告に、「山南脱走」とあった。
どういうお話になるのかぜんぜん知らないけれど、
山南は「逃げる」のだ。
ようやく、逃げてくれる人が現れたのだ。
僕らが山南という人物に対して思い入れてしまうのは、
彼が、あの集団のなかで、よくもわるくも、
もっとも現代を生きる人に近いからなのかもしれない。

そして、史実が揺らがないということを知りつつも、
ついつい僕は祈ってしまう。
山南がうまく逃げ延びてくれればいいのに、と。
揺らがぬ史実を礎に持ちつつも、
そのように観る者を「祈らせてしまう」からこそ、
三谷さんの『新選組!』はすばらしいのだと思う。
逃げろ山南、と僕はいま思っている。


ほぼ日テレビガイド
〜読者の部〜

=
何だか45分にも満たない時間の中で、
こんなにも見事にいろんな事を見せてくれたなぁと、
中身はとても辛いのだけれど、感心しました。
土方と山南との対立、新撰組と時代の流れ、
江戸の懐かしい面々と新撰組内部の重苦しさ。
本当に久しぶりに見た、勇の笑顔。子供を見つめる眼差し。
自然と涙が出てきました。
それにしても、山本土方は本当にきついだろうと察します。
完全な悪役ならば割り切ることも可能かもしれませんが、
同士と対立してしまう形になる気持ちの持ち様というのは
どんなものなのでしょうか。
最後が勇とつねさんの笑顔で終わったことが救いでした。
(亜佐子)


=
みなさんの話題にのぼってないので
言いたくて仕方なかったことがあります。
それは色です。特に衣装の。
山南の赤紫の羽織が気持ち悪くて仕方がないのです。
対照的なのが目のさめる青緑の土方の羽織。
新選組で山南が噛み合わなくなってるのが伝わってきて
すごく計算されてるなあと思いました。
初め江戸を出発するときみんなの衣装がなに色だったか
思い出せないくらい似たような色だった気がします。
しかし新選組が大きくなるにつれ
色の変化がはげしくなりました。
これからどんどんメンバーが分裂していくとき
衣装がどう変わるのか楽しみです。
(画材屋)


=
江戸に行った近藤勇が松本良順を訪ねて、
総司の事を「誰よりも」と発言してくれた事は
本当に嬉しかったです。
というのも、あまり今までこの二人の絡みが
そんなに多く描写されていなかったからなのですが。
(でも、そんな描写がなくても家族の様な
 存在である事は伝わってはいます。
 沖田総司ファンとしての希望みたいなものです)
一年のドラマだから長いと以前は思っていたのですが、
実際に始まるとあっという間で、
あと1年くらいは新選組を見ていたい思いです。
(滝緒)


=
今回グッときたその一、
「試衛館の生え抜き四人で祝杯をあげた土方」VS
「京には呑み仲間がいない山南さん」という構図。
その二、「殺したのは俺とあんただ」場面の土方の表情!
山本さんの土方っぷりには毎度うならされてましたが、
今回ほど「あんたに任せて正解だったよ!」
と思ったことはありません。
目であんなに多くを語れる役者は、そうはいませんて。
(遠藤)


=
でました! 松平上総守!
予告の段階でも顔をみせていて、
「なんで?」と思っていたのですが、
「近藤さんは何かをなしとげるお人だと思っていた」
と言いにくるんですね。
若いもののやることに文句をいっておきながら、
それが世間に認められると
「俺はおまえ達ならできると思っていた」
とうそぶいちゃう人なわけですね。
でも、この人の幕府を大切に思う気持ちは純粋なので、
いい感じに見えます。キャスティングから見ると、
上総守役の藤木孝さんは
「ツイストといえば藤木孝」といわれていた方だと
ネットで知りました。
若い頃はとんがった方だったのかもと勝手に推測。
そういった人が年配代表として
SMAPの香取慎吾と対決する役というのは面白いな、
と思っています。
(桔梗)


=
「沖田総司の無邪気発言」に絞って述べさせて下さい。
今回、女衒と一緒のすずに対して、
「売られてきたんだ」とあっさり発言する総司を
山南が「総司!」とたしなめる場面がありました。
実はこれ以前に、村人に邪険にされるお梅に対して
「どうしてお梅さんはみんなに嫌われてるの?」
とストレートに本人に質問する場面や、
近藤の発言もあり、
「人の気持ちがわからない沖田」
として認識されていることが多い、
沖田ですが、これって微妙だと思うんです。
私見なので、偏った意見かもしれませんが、
女性は現実的で開き直りが早いので、
自分の立場を受け入れるのも早いです。
自分の状況を周囲の人間がおおよそ予測しているのに
遠巻きにされるくらいならストレートに聞いてもらって
自分で説明できる方がすっきりすると思うんですよね。
実際、その後お梅は沖田に対して
言いたいことを言えるようになっている気がしますし‥‥。
もしそういう狙いの沖田だとすると、
三谷さんの女性分析力って
すごいとしか言いようがないです。
(えむ)


=
やるやん!!ぐっさんの相方の人!!!
よかったよ!!!!!!!!
(もちこ)


=
いつもは日付けの後にある地名がなかった。
京と江戸、カットごとに行き来する構成、上手い。
全体として、多くの事が動いているのに
タイトで順序良くテンポも良く完成度の高い45分でした。
今回伊勢田氏演出ですが、
人物の特にカメラアングルが良かった。
居酒屋で坂本から諭される山南の表情、
下目の角度から見事に捉えていたと思います。
これ程の密度はここ数回中最高なので、
一つに絞るのが至難の感想です。が、
敢えて一つだけならば、やはり‥‥
「鈴木明里の驚く程の存在感と、
 承ける堺山南の初めて見せる種類のあったかさ」
これまでも江戸のみつ・ふで・つねに始まり、
梅・ひで・りょう・登勢と女優陣には脱帽ながら、
明里はこの出番数の不利にも拘らず
彼女らに劣らぬ輝きを放っての登場。
史実ではなくあくまでも『新選組!』的には、
山南にもし明里との出会いがなければ、
江戸で新たにやり直す発想は
そもそも生まれなかったかもしれない
とさえ空想させられるような、
紅の色濃い小さな部屋の、
互いにとって初めての大切な存在というシーンでした。
(ゆきひめのみみ)


=
今回印象に残ったのは、「○○のため」と言いながら
人を殺していく近藤、土方たち、
それに疑問を感ずる山南と、
そして彼らと同時代に生きながら、
広い視野で物事をとらえようとする
龍馬や医師良順との対比でした。
龍馬が山南に語り、良順が近藤に語る言葉は
胸に沁みました。「外に眼を開け」
同じことを言ったのが、高杉晋作でした。
今から40年位前、中学生の頃、
TBSドラマ「幕末」で、
木村功演じる高杉晋作を見て、
「こんな人がいたのか」と思いました。
「孤雁」というタイトルを今でも覚えています。
(まむう)


=
ドラマが終わったあと
「ああ、永倉さんは京に帰って来て
 相方の死にショックを受けるんだな‥‥」
と普通に思ってしまいました。
違う!
(アリラン)


=
葛山がほんと切ない!
全く「何で私が!」ですよ。
切腹の場面の「作法を知らない」というのも、切実で。
あーっ、もっと本を読ませてあげたかった!
でも、平畠さんの華のなさが、
これほど活きた役はないですよ。
(猫マル子)


=
みなの思いがすれ違っていく様を
見ているのは非常に辛いです。
そんな中でひでさん‥‥。
男臭さにたえるためとはいえ、
鼻に詰め物をするなんて‥‥。
本当にもうすっかりなじんでますね。
私はいつアレをワハハ本舗のように
飛ばすんじゃないかと、
内心とってもヒヤヒヤでした。
(ぷち)


=
お多福が再建されたのが、
思った以上に嬉しかったです。
ところてんが酢醤油で驚いたり、
近藤局長が深雪太夫と出会ったり、
故・望月亀弥太が局長とじゃれあっていたり、
新入り隊士を連れて行っておごってやったり、
佐之助のラブレターが晒されたり、
捨助の初めてのバイト先だったり‥‥
色々な思い出のある店。
学生時代、クラブ活動のミーティングの後
みんなでよく行った喫茶店のような存在。
殺伐としがちな上洛以降、
貴重な和みシーンを提供してくれる場でした。
そのお多福が戦で焼けてしまったのが
とても悲しかったのです。
どんどんシリアス化してくる「新選組!」に、
もうオアシスはいらない‥‥というみたいで。
しかし今週、見事にお多福は復活し、
しっかりオアシスの機能を果たしてくれました。
それでなんとなく、今後の展開がどんなに殺伐を極めても、
あの店でまた少し休んで頑張れそうな気がして来たのです。
(ノソタ)


=
31話の感想ですが‥‥
「捨助に、刀を持たせてはいけない」と思いました。
(敦子)


=
かんざし一本、煮物一皿、暖簾一枚、おしるこ7杯。
生き急ぐ男たちの女へ贈り物の回と見ました。
ひでちゃんにも何かあげて欲しかった‥‥。
鼻ティッシュ、可愛かったけど。
などと本題から目をそらさずにはいられない回でした。
(えむ)


=
武八郎につっこまれて、うろたえていた、斉藤一。
たぶん、昔だったら無反応だんたんだろうなと。
こういう状況の中で一人、どんどん人間らしく
なってるような気がするんです、この人。
最初が最悪なだけに、新選組のどんな状況も
人間形成の糧になってるっていうか。
つっこんだ後、そこまでわかっていながら
人を疑わうことをしない武八郎。
「裏切り者!」とののしられ
無表情で介錯をしましたが、ココロは痛んだはずです。
(マリオ)


=
今回で鮮明になったのが、剣の流派の絆の固さです。
生え抜き天然理心流の4名はいわずもがな、
北辰一刀流の藤堂さんは
近藤さんにご恩を感じながらも
伊東さんとは切っても切れない関係。
坂本さんが山南さんを引きとめたのも、
「同門」だからですよね。
家族じゃないし、学閥より腕っぷし重視だし、
プロ野球やJリーグみたいに団体競技じゃないし、
でも相撲部屋よりは各派の流儀に特徴あるし、
趣味サークルよりは思想や政治色強そうだし。
興味深い関係です。
(鯵之介)


=
シリアスな場面が多くなりましたが
笑えるシーンが随所に
ちりばめられているのはうれしいです。
今回は
・ふでさんの鼻栓
・左之助のはじけっぷり
・たまちゃんのげんこつエピソード
に、やられました。
(ロバ耳)


=
私は関西人だからか
常に「ボケとツッコミ」で関係を見てしまうのですが、
山南&明里コンビは両方ボケですよね(笑)。
普通はボケとツッコミがペアになって
おもしろいことが展開されると考えがちですよね。
例えば、隊の中では、基本的には、
土方の「〜かよ!」っていう激しいツッコミと、
沖田の「〜じゃないですか」とやや脱力系のツッコミが
ボケる他の隊士と組み合わさって
笑えるシーンが作られています。
でもたまに、前回の
沖田「‥‥もういいですよ‥‥」
土方「こっちだよ!俺が言いたいのはこっちだよ!」
みたいな「ツッコミとツッコミ」のシーンや、今回の
明里「お侍さん、生まれはどこ?」
山南「‥‥仙台です」
明里「‥‥ってこれさっき聞いたな!」
のような「ボケとボケ」シーンが出てきて、
これがまたおもしろいですよねーー!
さすが三谷さんです。あ、ちなみに多摩編の中に、
山南さんがおみつさん(沢口さん)に
つっこむシーンがあるんですよ。
京都に行くことが決まったあたりの回です。
(メグモン)


=
見どころはたくさんあったとは言え、
最後のシーン、局長近藤勇が1年数ヶ月ぶりに
娘の寝顔を見ながら夫婦水入らずの
時間を過ごすところ、グッと来ました。
他の誰にも、病に伏す義父にさえ持って来なかったお土産、
「みんなには内緒だぞ」と
妻つねにそっとかんざしを渡す勇、
それを買い求め江戸まで持ち帰った夫としての勇の気持ち、
受け取るつねの穏やかな微笑み。
この先のこの夫婦の運命を想うと、
とても切なくなりました。
(わか)


=
堺さんは演技のレンジが広い!
おすずに「うちに惚れたん?」
と聞かれてはにかんだ人物と、
葛山武八郎の骸を見た後、土方を睨んだ時の
あの火が出るような目つきの人物と、
とても同一人物とは思えないほど。
あと、明里と山南の関係は、
まるでマリリン・モンローとアーサー・ミラーの
関係のようでしたね。
(かみやじい)


=
今回の武八郎の切腹は、
今後の粛正の嵐の幕開けとなるわけですよね?
土方の今後の方向付けが定まったように思えました。
ふらふらと入隊し、言われるがままに建白書をしたため、
楽しそうに読書謹慎した末の切腹‥‥。
「なんでやねん、オレが何したっちゅうねん」
という叫びに、ぶんぶん頷き、
一緒になって「ぐぁ」と顔をゆがめてしまいました。
でも、「覚悟もなしに反乱を起こす様な奴に‥‥」
という土方言葉に「はっ!」とさせられました。
私は山南さん贔屓で、土方、新選組に対しても、
何かっちゃぁ切腹しまくる
おかしな集団としか思えなかったのですが、
今回は土方の気持ちを
共感できずとも理解してしまいました。
三谷さんマジックですね。危ない危ない。
(mikip)


=
一番印象に残ったのは、しるこ7杯のおすずさんです。
鈴木砂羽さんは、以前から好きだった女優さんで、
「愛の新世界」のSM嬢や「裸足のピクニック」の
ちょっとやさぐれVamp系女子校生等々もよかったですが、
今回は本当にやられてしまいました。
おすずが汁粉代を立て替えてもらう時の
「うちに惚れたん?」はめちゃめちゃかわいくて、
山南はさておき、テレビを見ている私が惚れました。
おすずと山南の噛み合っているんだかいないんだかの
漫才の様なやりとりも大変微笑ましくおもしろかったです。
でも、少し泣けました。
堺氏、鈴木女史共々「うまいなー」と感心。
この二人のやりとりは以前の話での山南の言動に
呼応している部分があるので、見ていた人達にとっては
本当に笑えるシーンではなかったでしょうか。
少なくとも私は爆笑してました。
第4話「天地ひっくり返る」、第7話「祝四代目襲名」、
第17話「はじまりの死」あたりは確実にありました。
おすずさんは女の私が見て
とてもかわいいと思ったのですが、
男性から見たらどうなのでしょうね。
(ぷっぷくぷー)


=
山南の表情が非常に印象的でした。
龍馬の言葉をきいたときの見開いた眼。
それまでもやもやと心の中で抱いていた疑念が
はっきりと形になり
新選組の進む方向が間違いであると確信し
自分はどうすればよいのか苦しむ。
あのときに山南は、新選組の内の人間から、
外の人間になった気がします。
そんな気持ちのあとに、戻ってみれば
自分の留守中に粛清が行われている。
自分が反対したにもかかわらず。
今までしたことのない眼で土方を睨みすえる山南の姿は
ふたりがとうとうここまできてしまった、
という対立と決別が現れていました。
その山南の表情の、時間とともに移る様、
気持ちが大きく固まっていく様が
はっきりと描かれていて、ぞくぞくしました。
局長がいない間に、全てを自分の責任で
執り行ってしまう土方の気持ちがわかるので
それが、山南を追い詰めるために行った粛清だとしても
見てる私は、土方を責めきれない。
かつて、大きく広くみえた
近藤の心に魅かれてついてきたはずなのに
自分の望まぬ場所へ流れてしまっている
山南の哀しさもわかり胸がしめつけられる。
どの隊士も魅力的に描かれていて、
それぞれの気持ちがわかり、
誰も責められない、誰も悪者に思えないのに
崩壊していく哀しさを、回を重ねるごとに、
より味わっています。
こんなに質の高いドラマが
世の中に存在するということ自体
奇跡なんじゃないか、とさえ思えます。
(吉川)


=
「煮物食べる?」
おりょうと竜馬の何気ない会話。
人って孤独な時ほど、必要としあってる者同士の
何気ない会話や姿が、
うらやましく感じることがあるものです。
おりょうと竜馬の何気なさは、
孤独と葛藤で固まった山南の心に
刺さったんじゃないかしら。
今の山南には、「煮物系」の女性が必要です。
国事より煮物。攘夷より煮物。土方より煮物。
人は、そんな和みも時には必要‥‥と、改めて思いました。
堺雅人さんが出演していた
『ココニイルコト』という映画で、
堺さん演じる青年が繰り返し言っていた言葉
「ええんとちゃいますか?」
これが山南も言えたら切腹事にはならなかったのかも‥‥。
まぁ、「ええんとちゃいますか?」の山南ならば、
左之助たちと謹慎部屋行きでしょうけどね。
おひでちゃんに「臭いわァ!」と鼻栓される
山南もちょっと見てみたい。
(スミスケ)


=
「江戸へ帰る」のつぼは2つ。
土方が井上源三郎にだけはわかってほしいと言った後、
ぽそっと「おれも甘いな」とつぶやくところ。
土方も自分の心に抗いながら必死にやっている。
そして、近藤、土方、沖田を見守る源さん。
近藤周斎に勇を頼むと言われて来ていますから。
三谷さんが人を斬る重みにこだわりたいと
何処かに書いていましたが、
このドラマ、そこが良いですよね。
いま、テレビをつければ、
戦争のニュースや殺人のニュースが
毎日毎日押し寄せてきます。
現実社会がこれだけきな臭く血なまぐさいのだから、
ドラマの中ではフィクションでもよいから、
人を斬る痛み。斬るほうの心も傷ついていく姿を
丁寧に描いてもらうとほっとします。
チャンバラや西部劇の好きな人には
まどろっこしいかもしれませんが。
もう一つはラストシーンで近藤勇とつねが抱き合うところ。
手紙におしろいの匂いがついていたこと、
賢いつねさんは心の奥にしまっている。じーんときます。
香取慎吾さんの表情がよかった。
香取さん、近藤勇が身に付いてきた感じで
毎週ひき込まれて見ています。
本当に忙しくて大変でしょうが、
倒れずに最終回まで突っ走ってほしいです。
(新選組!ファンのおばさん)


=
よくみんながしている田中邦衛のモノマネは、
決してやり過ぎではないことがわかった。
前から、あそこまで、
田中邦衛は田中邦衛だったっけ?
あの時だけ、大河であることを忘れていました。
江戸じゃなくて、
雪国にいるのかと思っちゃいましたよ!
(ワタシはハタキをかける人)


ほぼ日テレビガイド
〜美術部〜

2004-08-13-FRI


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