今年感心した本
(洋モノ部門)

今年一番話題になった洋モノグループといえば、
「喜び組」ですが、
こちらは、今年感心した洋モノ本です。

『The Rise of the Creative Class』


Richard Florida (リチャード・フロリダ)という、
しかし、ニュージャージー生まれの経済学者の本です。

ところで、「喜び組」に対抗して、
「驚き組」ってあったら楽しそうですね。
あ、はよ紹介せんかい、ですよね。
でも、「驚かされっぱなしの組」なのか、
「驚きっぱなしの組」なのか、わからんですね。
はい、いい加減に先に進みます。

この本は、ニューヨークで経営コンサルタントをしている
小谷啓さんという方に薦められました。
同時通訳の草分けから関わられ、
サミットで総理大臣の通訳もした人で、
とてつもない英語力の持ち主です。
当方はと言いますと、
こういう英語の本を年に数冊は読むようにしているのですが、
オープンカフェに犬をつなぎ、
長髪をなびかせて読んでます、とは決して言えず、
まず1ページに2、3語はわからない単語がでてきますので、
辞書を手放せず、くせ毛を掻きむしって読むわけです。
そのため、この本はまだ全部読み切ってません。
現在、3分の1ぐらいです。
ここまで、引っぱっといて、
あんたそれは無いだろう、
とツッコまれた向きもいらっしゃる
かもしれませんが、ご安心ください。
この手の本にありがち、
暴投の、いや冒頭のパート1で
全体の論旨が出尽くしているのです。
これが、目の覚めるような鋭角的な考えなんです。

このタイトル、直訳すると、
『クリエイティブ階級の興隆』
とでもなるのでしょうが、
産業分類を1・2・3次と行うには、
今や第3次産業は肥大しすぎている。
一方で、衰退している1次、2次産業の中でも
重宝される人材は確実にいる、と。
そこで、これからの社会の主役となるのは、
アイデアを出して問題解決を導く人で、
現在起こっている社会変化を
「情報化社会の進展」とか
「知識産業の成長」とか言うより、
「クリエイティブ階級の時代になる」と言ったほうが
わかりやすいだろう、という内容の本です。
また、工場労働者階級が
20世紀のライフスタイルを形づくったように、
「クリエイティブ階級」のライフスタイルが
これからの社会を創っていくと述べています。
その価値観とは、
自ら動機づけできる仕事なら、
対価の過多を問わず熱心に行う「個人主義」、
「能力主義」、「多様性と開放性」を挙げてます。
「クリエイティブ経済」の産業規模の予測だったり、
全米の「クリエイティブ階級」の地域別分布と
同性愛者の分布が重なるだったり、
統計的処理もみっちりやり過ぎてまして、愉快です。

さて、外で英語本を読むいい方法を思いつきました。
辞書の替わりに携帯の辞書サイト使えばいいんですよね。
不自然でない、はず、
かと、
一瞬思ったのですが、一連の動作が駄目ですね。
はたからすれば、
「おまえ、本読むか、携帯メール打つか、どっちかにせい」
ですな。

イメージ映像

ということで、
これから「クリエイティブ・エコノミー」とか、
「クリエイティブ・クラス」という言葉が、
新聞や雑誌で
みなさんの目に止まるようになると思いますよ。

2002-12-30-MON

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