ほぼ日刊イトイ新聞には、
1960年代から現在まで、
約180回分の吉本隆明さんの講演が集まってきています。
まずは、その講演音源をデジタルアーカイブ化し、
保存していくことが、このプロジェクトのはじまりでした。

集まった講演のなかから、
50回分のベスト講演を、吉本さんの監修で選び、
『吉本隆明 五十度の講演』というタイトルのセットにして、
2008年8月に発行しました。
『吉本隆明 五十度の講演』は、
世界一長いオーディオブックとして
「ギネス世界記録 TM」に認定されました。

この『吉本隆明 五十度の講演』の
監修をしていただく過程で、
吉本さんとお会いするうちに
糸井重里は、ある要望を耳にすることになりました。
それは、吉本さんの
「講演がしたい」という声でした。
テーマは「芸術言語論」でした。

2008年7月19日、ほぼ日刊イトイ新聞は
10周年の記念講演として、
「吉本隆明 芸術言語論 ──沈黙から芸術まで──」を
開催することになりました。
用意した2000席のチケットはひと晩で完売し、
当日の講演は、3時間をこえる内容になりました。
そのようすは翌2009年1月4日に
NHKの「ETV特集」で放送され、反響を呼びました。
この番組はNHKエンタープライズよりDVD化され、
2009年7月に発売されました。

「ほぼ日」に集まっている180回分の講演音源は
およそ21521分間の量があります。
我々は、いつか、この音源を
たくさんの人々が自由に聴けるように
フリーアーカイブ化していきたいと思っています。
『吉本隆明 五十度の講演』(講演集)
『吉本隆明の声と言葉。』(CD&BOOK)
『吉本隆明 芸術言語論 2008.7.19
 コンプリートセット』
(DVD+DVD-ROM)
などの商品収益が
この「フリーアーカイブ化」を支えることになります。

糸井重里は、言います。
「『1000年後にも、聴ける』ということは、
 いま、親鸞の生のことばが聴けるみたいなことでしょう。
 まずは、大切な記録として確実に残したかったのです」

吉本隆明さんの言葉を、この先の時代にも
呼吸させることができるように。
ほぼ日刊イトイ新聞「吉本隆明プロジェクト」は
これからも着実に、
できることをやっていきたいと思っています。


2015年1月9日、吉本隆明さんの講演音声の
無料公開
をはじめました。