「ほぼ日」はこれまでの10年間、毎日更新を続けてきました。
吉本隆明さんの言葉である
「十年間毎日ずうっとやって、
 もしそれでモノにならなかったら、
 俺の首やるよ」
は、ときどき思い出す、心の中の目標でした。

吉本隆明さんの連載が「ほぼ日」ではじまったのは、
創刊年の1998年のこと。
また、「ほぼ日」ではあまり
広告を出してもらうことはしないのですが、
はじめて「ほぼ日」に広告を出したのも
吉本さんでした。
(広告料をきちんとおさめてくださったらしいです)

糸井重里は、吉本さんとはかれこれ
25年以上のおつきあい。
お会いすると、いつも
世間話のように長い会話を交わすのですが、
おしゃべりしていくうちに
吉本さんが「最近、こういうことをしたいかな」と
思っていることが、ちらりちらりと見えてきました。

商店街のおソバ屋さんの
2階の大広間で行なわれるような
踊りのおけいこや会合、落語会にあこがれを持ち、
俺の頭の中には大広間がある、と公言してきた
“町人”糸井重里は
「吉本さんがやりたいことなら
 ようがす。
 みんな待ってますし」
と、吉本さんに返事をしました。


「僕は思想家でも、研究家でもなければ学者でもなくて、
 言ってみれば“場”をつくる人なのかもしれないです。
 ですから、お客さんに“場”にいていただいて、
 そこで吉本さんのできるだけやりやすいように
 やってもらおうと思っています。
 これから予定されている、いろんなことがありますが、
 たくさんのみなさんが待ってくれていることは
 これまでの“ほぼ日”を通じて、わかっていますから。
 
 僕はこれまで、まるで近所に住む人のようにして
 吉本さんを訪ねてきたようなところがあります。
 ご本人はどう思っているか知りませんけれども、
 いろんなところで
 吉本さんの手助けを受けたうえでやってきたことが
 僕にはいっぱいあるんです。
 “ああ、これかよ”って思うことも、たくさんありました。
 知らないお手伝いをいっぱいもらった。
 そんなことが、みなさんにも
 来るといいなあと思うんです」

今日はほんの予告ですが、
これから予定されていることを
お伝えします。



2008年7月19日(土)
東京・三軒茶屋の昭和女子大学内人見記念講堂において、
吉本隆明さんの講演会を開きます。
生の吉本さんの講演をお聴きいただけるチャンスです。
チケットの販売は2008年5月20日(火)、
「ほぼ日」および「チケットぴあ」にて。
「ほぼ日」での販売は
午前11:00よりスタートします。



1960年代から、吉本隆明さんは
たくさんの講演を行なってきました。
その多くは、録音されて残っています。
主催者が録音したもの、客席から録ったもの、
さまざまな音源を、
弓立社の宮下和夫さんが
数十年に渡って集めてこられました。
その数、およそ170講演!
これを吉本さんが監修し、
講演の「ベスト50」を選びました。
50講演に厳選しても、
たっぷりのボリュームセットになりそうです。
発売時期や仕様などは、決まりしだいお知らせします。
糸井重里も、いつも寝る前や散歩のときに
吉本さんの講演集を聴いているんですよ。



吉本さんの講演セットを聴く前に、
「誰かガイドをしてくれないかなあ」
という方のために、軽めのCDブックを作りました。
上記の講演集を「お弟子さんキット」とするならば、
これはいわば「寺子屋の授業を盗み聞きセット」です。
吉本さんのたくさんの講演の中から、糸井重里が
「ちょっとちょっと、ここ聞いてみて!」と
障子に穴をあけるように、講演の音を少しずつ
解説つきでご紹介します。
こちらも、発売時期や仕様などは
決まりしだいお知らせします。



「ベスト50」の講演以外にも、
弓立社の宮下和夫さんが集めた
吉本さんの講演は100講演以上あります。
これらもすばらしい内容のものですので
埋もれさせないようにしたいと考えています。
この音源をどうしていくかについては、
ちょっと考えがあります。
近々お知らせいたしますね。


かなり急ぎ足でお伝えしましたが、
このほかにも、トークショーや
「ほぼ日」のコンテンツなどで
吉本隆明さんが関わるさまざまなことが進行していきます。
どうぞ楽しみになさっていてください。

明後日のこのページでは
5月20日に販売がはじまる
吉本さんの講演会について
くわしくお知らせいたします。
どうぞお見逃しなく。


2008-05-13-TUE




(C)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN