BUSINESS





その54


オガー
みなさんほぼにちわ!
今日の「読めない土曜の女たち。」は
先週にひきつづき、
1周年記念スペシャル!
三省堂『大辞林』編集部、
体当たり取材をおとどけいたしますよー。

アロハ
今回も楽しみですー。

ゆーないと
みうらじゅん兄貴の話が出てくるって、
なんなんすか!

りか
それは読んでのお楽しみ〜。
では、どうぞ!

ヨメナ語1周年記念!
三省堂『大辞林』取材の巻 -後編-



オガー
これだけ大きい本だと、
編集担当の方も大人数で、
各分野でわかれているのですか?
三省堂・
本間さん
『大辞林』の編集は少人数です。
ひとりあたり複数の分野を
担当することになります。
自分の好きなものや興味のあるものだと
うっかり言ってしまった途端に
「担当」になってしまいます(笑)。


三省堂出版局国語辞書出版部
本間研一郎さん。『大辞林』の
現編集長でいらしゃいます。

オガー
うわあ、
興味や得意分野が広ければ広いほど‥‥、
本間さん かなり、きびしい状況に‥‥(笑)。
釣りが趣味だというひとは、
魚の担当まで広がって、
高じて『魚名辞典』というのを
つくっちゃいましたよ。

りか
すごいですね。
『大辞林』は何名くらいでチームを
編成されているんですか?
本間さん 平素は4〜5人ですね。
出版の直前になると、
倍以上にはなりますけど。

オガー
えっ?
直前でもそのくらいなのですか?
三省堂・
佐藤さん
編集部員がその人数です。
その他に、編集協力者や校正する人が
十何人います。


三省堂出版局国語辞書出版部
佐藤竹哉さん。『大辞林』では
自然科学系をはじめ多岐にわたって
ご担当されています。
本間さん 今は、もう省力化されていて
パソコンを使ったりしていますので
以前より人数が減っても
対応できるようになったんです。

りか
ウエブやパソコンが発達したことにより
おたがいに良い面があるということですね。
本間さん ええ。
冊子には冊子の良い面がありますし、
たとえば電気がいらないとか(笑)ね。
横目がきいて他の言葉に興味を持つというのも
冊子版ならではでしょう。
三省堂・
萩原さん
ですが、印刷物にたいする信頼感というのは
やはり大きいものです。


三省堂出版局辞書出版部部長
萩原好夫さん。『大辞林』の
前編集長でいらしゃいます。

りか
はい。
修正のできない完成品を作るという、
その苦労や思いに、
信頼感の元があるとわたしは思います。
ところで、これだけ大きい辞書になると、
製本もすごくたいへんですよね。
丈夫に作らないといけない。
高野さん それはもう「辞書」ですから、
できていて当たり前ですねー。

三省堂出版局デジタル情報出版部部長 高野郁子さん(右)。
三省堂出版局デジタル情報出版部課長 神藤利章さん(左)。
『スーパー大辞林』を含む、
三省堂 Web Dictionaryの運営を担当されています。

オガー
(恐縮)そうですよね、失礼しました!
佐藤さん ただ、この厚みが限界だとは言われています。
8センチだったかな。
それ以上だと製本機を通らないらしいですよ。
萩原さん 日本の製本技術は相当高いですよ。
『大辞林』は、うちの兄弟会社
「三省堂印刷」が
責任をもってやってくれています。
長い間の技術が蓄積されていますから、
こういった厚みのものでもできるわけです。

オガー
はぁ〜。この紙も、特別ですか?
本間さん 紙は特注です。『大辞林』用です。
うすくて、裏うつりしません。
印刷のインクのノリもいいでしょう。
萩原さん たくさんの情報量を盛り込むためには
紙を薄くしなくてはダメですから。
最大のねらいは、うすい紙で、丈夫であるか。
わたしどもは辞書を長くやっていますから
紙についても紙屋さんとの間で
開発の歴史があるんです。

りか
三省堂さんがうみだした紙というのも
あるんでしょうね。
佐藤さん ありますよ。特注ですので。
『大辞林』巻末の謝辞にも書いてありますよ。
紙屋さんから印刷会社まで。
これがかかわっている全てのかたがたです。

オガー
うわあ、すごい人数、会社が載ってますね。
ここまで見てほしいですね!

自然科学関係、アクセント、図版‥‥。
あ、そういえばイラスト、多いですよね。
佐藤さん ええ、極端な言いかたをすれば、
ものの名前については
全てイラストを入れても
いいくらいなんですよね。
入れたほうがわかりやすいですから。
本間さん 基本的には辞書は
言葉を言葉で説明するものですから
全てイラストでは職務放棄同然です。
文字で説明するのが前提です。

りか
‥‥(パラパラと見ながら)
どうやら犬のイラストが多いような?
佐藤さん 犬は多いですね。
種類も増えたというのもありますし、
やはりこれだけペットを飼っているひとが
多くなりましたから、喜ばれるんですよね。
ペットブームでしたから。
それと、古い道具は
あえてイラストを入れています。
実物を見たことがないひとが増えていますから
物語を読んでいて、なんだろうと思ったひとに
役立てばと思いますね。
高野さん 最近は「縁側」ということばが
わからないひともいますからね‥‥。
言葉は聞いたことがあるけど、
見たことがない、ということが多そうなものには
イラストを入れてありますね。
『大辞林』は、イラストの数が多いですね。
本間さん 最近つくづく思っていることがあって、
わたしのこどものころと、
暖房器具がまったく違うんですよ。
「やぐらごたつ」「ひばち」「あんか」は全滅で
「エアコン」「ストーブ」
「ファンヒーター」ですもんね。
お風呂も薪で火をつけてましたしねえ。
かえってこういうものの記述をきちんとやることが
辞書において大事なことだと思っています。

りか
なるほど! 小説を読んでいたり、
おじいちゃんおばあちゃんから話を聞いたりしても
ことばの意味がわからなければ
イメージしきれませんものね。
今は使わないから辞書には載せない、という理屈は
通らないということですね。
本間さん そうです、そこなんです!
それから大昔よりも、案外ね、
ことばとして「ちょっと古い」ものというのは
いちばん「ふるさ」を感じてしまうものなんです。
だいたい20〜30年前くらい前の言葉は
とても古く感じる。

オガー
あー、80年代とか。
それを留めるのも辞書の役割なのですね。
ほんとうに辞書づくりは一筋縄ではいかない!
本間さん はい。明治・大正期に当たり前だった
風俗や事物がどんどんわからなくなっています。
専門書に頼らずに、ごく身近にあるもので
調べるとしたら、国語辞典しかないのです。
古いからと言って項目を削る、ということは
そう簡単にはできません。
しかし、あたらしいものを入れて
新陳代謝をさせる必要もある。
先ほど申し上げた「厚さ8センチ」という紙面は
決まっています。
上手に新陳代謝をしなくてはなりません。

りか
新語にはどんなものが加えられていますか?
本間さん 先に説明した『スーパー大辞林』は、
どんどん語を追加しています。
いわゆる若者言葉的なものを
単独で掲載する場合があります。
たとえば「へこむ」とか「キレる」という言葉は
既存の国語項目があるけれど、
それとは別に、いわゆる「若者言葉」という
書き出しでするような場合、
「きれる」が二つ出てきますよ。
佐藤さん それから、外国語として入ってきて、
日本語として“こなれてない”ような
言葉もけっこう載せてますよね。
まあ、載せすぎかな、
という意見もありつつ(笑)。
むかしは、ある言葉が出てきて、
それが落ち着くまで待って、
ということができたんですけど、
今はなかなかそれができません。
本間さん 外来語(外国語)を
日本語に置き換えた場合の言葉って
定まっていないものがあるのですが、
『デイリー新語』では
「本邦初!」みたいなことが
たくさんあります。
あと、新語の辞書への記載の方法としては、
その言葉のイキが良かった時期を
明記する、ということがあります。
佐藤さん たとえば「コギャル」。
「1993年頃からの新語」とあります。

りか
93年? もう10年以上使ってるってことですか、
「コギャル」!
本間さん こういう言葉の初出の裏をとるというのが
たいへんな作業で、ほとんど不可能ですね。
なかには「○○氏の造語」というのが
わかる場合もありますから
それは明記しますね。
佐藤さん えーと、みうらじゅんさんの造語が
『スーパー大辞林』に載っていたような。

オガー
「マイブーム」です!

マイブーム
〔(和製) my+boom〕
世間の流行とは無関係な、自分だけの流行。
現在の個人的な好み。
〔自分の趣味性を他人にアピールする
 ニュアンスをもつ場合もある。
 漫画家みうらじゅんによる造語〕
佐藤さん やっぱり、辞書をつくるからには
世の中で何が起こっているのかを
常に気にしていなくてはならないってことですね。
萩原さん 言葉の新しい使い方なんていうのは
糸井さんの仕事ですから、わたしたちはそれを
追っかけていくという感じですよ。
ああ、こういう言いかたがあるんだ、って。

りか
わ、ありがとうございます!
佐藤さん 言葉の持っている雰囲気を広げる感じですよね。
その言葉が持っているイメージとか、
受け取る側のこととか
考えてらっしゃるんでしょうね。
ぼくらも、そういう言葉のイメージを
広げられるような語釈をつけられるよう、
努力をしています。
かたくるしく説明するだけじゃなくて、
言葉の雰囲気を伝えたいですね。

オガー
あー、すてきです。
それにしても『大辞林』は、
こんなに特徴のある辞書だったんですね!
佐藤さん そう考えると安いでしょ、辞書って。
情報量で割ったら、ほんとうにお得(笑)。
高野さん 辞書を身近に感じて、
どんどん利用していただきたいと思っています。
三省堂のサイトでは、三省堂のいくつかの辞書を
無料で使えるように
しています。
もちろん有料会員にご登録いただければ
よりたくさんの言葉に
触れることができますが(笑)。

オガー&りか
今日一日で『大辞林』のファンになりました!
「ヨメナ語」は『大辞林』に出会うべくして
出会ったなあと実感しました!
今日はお時間いただきまして、
本当にありがとうございました!

(おわり。ご感想はこちらへどうぞ!


りか
というわけでした。
このほかにも、デザインは杉浦康平さんだとか、
「スズムシ」「コオロギ」といった虫の声まで
載ってるとか、いろんなことをうかがいました。
ふつうの人が、ふつうに使って、
言葉がわかるだけじゃなくて楽しさも感じるって
いうところ、「ほぼ日」と同じだなー、
と思っちゃいましたよ!

「日本語の世界-漢字の成立」なんて
特別ページは、「ヨメナ語」好きなら
ぜひ読んでほしいです。

アロハ
わー。また教えてください。
それにしても辞書づくりって、
本に埋もれて、研究室で作るような
イメージでしたけど、違うんですね〜。

オガー
そうそう。
印象的だったのは、みなさん、
つねに言葉に敏感に生活していらっしゃる、
ということです。
同時に、いろんなことを知るのが大好き!
なんだろうなー、と思いましたよ。

ゆーないと
ところで! あっしの感想、いいっすか。
みうらじゅん兄貴が載るなら、あっしも
「ぼーっとしたミーハー通信。」からの新語を!
いわゆる「ぼー語」をいつか載せてみたいっす!
めらめらめら〜〜!


オガー&アロハ
りか
感想じゃなくて野望かい!!

毎日変わります!
http://www.1101.com/yomenago/i/



※応募は終了しました。ありがとうございました!

(詳しくは下をごらんください。 )

「声に出して読めない日本語。」
1周年スペシャル企画


いつも「声に出して読めない日本語」を
おたのしみくださり、どうもありがとうございます!!
おかげさまで、連載1周年を迎えることができました。

そこで、「ヨメナ語」では、ただいま
みなさまからのメールを募集しております!
以下のふたつのテーマのうち、どちらかのエピソードを
メールにて、どしどしお送りください。
メールをお送りくださった方の中から抽選で、
『ニンテンドーDS本体』+
ヨメナ語が収録された『楽引辞典』のセット(5名さま)と
『三省堂・大辞林 第二版』(3名さま)を
プレゼントいたします!

※応募は終了しました。ありがとうございました!

★お送りいただきたいテーマ


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 10月28日(金)午後1時までにお送りくださいね。

★ご注意ください
○賞品をご指定いただくことはできません。
 どうぞご了承くださいませ。
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