横尾さんのインターネット。
横尾忠則さんが相談があるって?

第7回 自信しかないと思う。




糸井 横尾さんが、失敗した時に
「まだ受け入れられないんだ。
 俺は未来人なんだから」
と思えるのは、それだけで
もう、ひとつの強さですよね。
横尾 それは、自信だと思うね。
自信がないとそうは思えない。
作品への反応は、どっちにもとれますから。
自信の裏づけにも取れるし、
その反対にも取れるし。
だからぼくは、自信しかないと思う。
糸井 あらゆることは、
肯定されているとぼくは思うんですよ。
「それはそれで、肯定されている」
と思うと、次を生み出せますからね。
横尾 ぼくは、「自信」と「自信作」とは、
違うと思うんです。

もうすでに作品はできてしまっているわけ。
それに対して、これは失敗作だと思うか、
それとも自信作だと思うというのは、
もう、思念というか想念の問題じゃない?

だから、
「これは、傑作だ!」と思ってしまったら、
不思議に、その作品を自負できるんですよ。
「心配だぁ」と思ったら、評価されても
その作品に自信が持てないんですよ。
「いいですねえ」
「あれは、失敗なんだ・・・。
 そういうこと、言わないでくれよ」
みたいに、なっちゃうから。

そしたら、その作品が、
次の作品に生きてこなくなっちゃうから。
だから、「傑作だ」って思うわけよ(笑)。
篠山紀信みたいに、写真撮りながら
「最高!」「傑作撮れた!」とか、
いいながらやってるのね(笑)。
糸井 荒木さん篠山さんっぽく(笑)。
横尾 やっぱり、大事なのはそれだと思うのね。
こないだ、水泳の田嶋寧子が、泳ぎながら
「それいけー! やってまえー!」
とか、泳ぎながらさけんでる、って言ってて。
あれも、自信を身につけてるわけよ、きっと。
糸井 それは、わかりますよね。
横尾 自信作っていうと、
なんか傲慢になるじゃない?
でも、自信っていうのは自分だけのもので、
相手と比較していないわけだから。
それで、いいんですよ。
自信作って言っちゃうと、
「おまえのそれよりこっちがいい」とか思うけど。

それにしても、はらまき、いいよねぇ。
いま、若い子たちでも、
健康に気を使ってるから欲しいですよ。
しかも、こういうはらまきなら、
見せてもおもしろいもん。
インフォメーションなんか、入れたらどう?
Tシャツみたいに、メッセージ入れて。
そしたら、はらまきなのに、見せたくなる。
そうすると、恥ずかしくもなくて・・・。
糸井 こういう話してるのって、楽しいよね。
横尾 楽しいだけじゃなくて、
行動にうつさなきゃね。
糸井 昔だったら、
楽しいで終わって
つくらなかったりするんですけど。
横尾 そうそうそう。
糸井 いまだと、実際つくれるんですよねえ。
それいいよ。
横尾 昔はほんとうにそうだった。
「もし、1000万円が天から降ってきて
 1日で使うとしたら、どうする?」
みたいな話題で、夜中の12時まで
喫茶店でメモを取って・・・アホみたいだよ(笑)。
6時くらいからはじめて、
メシ食いながら、お茶飲みながら話して、
1000万円使いきれなくて12時過ぎてるの(笑)。

あの頃の1000万円って言ったら、
いまの1億ぐらいですからね。
糸井 しかも、ものを知らない若い時期だから。
横尾 ヨーロッパから
ベルリンフィルハーモニーを呼んで、とか。
それでどこかの会場を借りるとか言っても、
あの当時で1000万使いきらないの。

今だったら、1億でも何でも、
簡単にものすごく現実的に話すじゃない?
糸井 うん。

(つづきます)

2001-10-10-WED


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