横尾さんのインターネット。
横尾忠則さんが相談があるって?

第4回 テーブルの下にある、欲しいもの。



横尾 いやぁ、しかし、何にしても
やる気がないとできないね、
インターネットのことは。

もう自分のサイトをはじめてしまったから、
いまはイトイさんの話を真面目に聞けるけど、
スタートしてなかったら、ぜんぜん
聞く耳を持ってなかっただろうねぇ(笑)。
糸井 ふふふ。
あ、これ、ほぼ日でつくっている
ハラマキなんですけど・・・。
ちょっと見てくださいよ。
(※読者のみなさんへ:はらまきは開発中のため、
  画像をお見せできないのです。すみません)
横尾 なになに?
糸井 これ、いま「ほぼ日」で
作っている最中の、はらまきなんです。
横尾 はらまき?
ふふふ。いいねー。
いいと思うな。おもしろい。
糸井 でしょう?
横尾 これは、ひょっとしたら
爆発的に売れたりするんじゃない?
そんな気がする。
糸井 横尾さんにそう言ってもらえると、嬉しい!
横尾 すっごくおもしろいよ。
糸井 あ、そうだ。
実験的に横尾さんの絵の
はらまき、つくってみませんか?
横尾 ふふふ。
それはやりましょう。
「はらまき」というモノに、
意外性があって、いいもんね。

なんでおもしろいかっていうと、
はらまき、って、
みんなの中にある無意識の部分が
ひっぱり出されたって感じがするから。
糸井 そうそう。
横尾 われわれは常に、
テーブルの上に乗ってるような商品の中から
ベストの物を選んでくるしかないじゃない?
「これがいちばん売れてる」だとか、
「ロングセラーだ」とか言うんだけれども、
でも、実際の大衆は、
テーブルの上に乗っていないモノや、
テーブルの下にあって見えないモノを、
「あ、それ!」って欲しかったりするんだよ。
はらまきって、まさに、
テーブルの下って感じだもの。
糸井 うわぁ、嬉しいなぁ。
横尾 はらまきで儲かったら、
笑いが止まんないよね?ふふふ。
Tシャツとかセーターだとかで
たくさんの人が手に取ってくれるのも
うれしいだろうけど、はらまきみたいなモノで
売れたほうが、なんか、おもしろいもん。

はらまき、って、現代人にとっては、
いまや恥ずかしい部分じゃないですか。
その恥ずかしい部分に目をつけたっていうのが、
何とも言えず、いいよねぇ。
これからいろんな商品を
ぼくが作るんだとしたら、
そういう無意識の部分を探し当てて、
やっていきたいなぁって思うよね。
糸井 アンディ・ウォーホールが
「ぼくはリーバイスのジーンズを作れなかった」
って、悔やんだセリフがありますよね。
横尾 聞いたことある。
糸井 アンディ・ウォーホールは
いろんなことをしてきたのに、それでも
「ジーンズを作れなかった」って言うんですよね。

ある一定の数のものを
ある一定の人にお届けできる以上のもの、
つまりジーンズのように、
世の中のものすごい数の人が日常的に
触れてくれるものを発明できるのなら、
アーティストを辞めてもいいと思ったんでしょう。

いまは、インターネットもあるから、
たとえば企業とタイアップすれば、
もしかしたら、横尾さんなら横尾さんにとっての
リーバイスのジーンズのようにまくものが、
生まれるかもしれないなあ、と思えるんです。
横尾 その商品が一本出来れば、
あとは寝ても暮らせるような、ね。
そうなっても絵を描くと思うけど、
ぼくは、その絵を売らないでいい(笑)。
糸井 絵を描く意味も、そうなるとまた
変わってくるじゃないですか。
横尾 変わってくるね。



(つづきます)

2001-09-24-MON


戻る