しりあがり寿 原作・宮藤官九郎 初監督作品
映画『真夜中の弥次さん喜多さん』
〜映画館へ行こうぜベイべー〜
弥次さんと喜多さんは、深く愛し合う恋人同士。
ペラペラな江戸に見切りをつけ、
「お伊勢参りへ行こうぜベイベー」と
夢の地目指して、てめえ探しの旅に出る。
待ち受けるのは、ありえない出会いの数々と
今までのじぶんを覆すような大きな試練。
しりあがり寿さんの“わけのわからない”傑作漫画を
人気脚本家の宮藤官九郎さんの脚本・監督で描く、
魂のロードムービー、かつ、時代劇で青春映画で恋愛映画!
‥‥とてもひとことでは語り尽くせないこの映画の魅力を、
「ほぼ日」は全面的に応援します!
てやんでえ。べらんめえ。
この映画、おもしろくねぇ〜わけがねえ!
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第5回(座談会最終回)
社会性とか、リーダーシップとか。


 (この座談会は、映画『真夜中の弥次さん喜多さん』
  公開直前の3月某日に行われました。)


宮藤 しりあがりさん、
髪の毛切られましたよね。
しり
あがり
昨日床屋行ってきました。
たまに行くんですよ、ぼくも。
半年にいっぺんくらい。
糸井 え、会社員時代は?
しり
あがり
会社員時代は
3ヶ月にいっぺんくらいです。
糸井 しりあがりさんは
きれる会社員だったんですよ。
バリバリの社会人。
宮藤 へえ! バリバリ!
それは知らなかったな。
かっこいいですね。
糸井 ああいう、
「こーしてあーして、こーしてやるぞ!」
みたいな、「やり手成分」っていうのは、
今どこに?
しり
あがり
「やり手成分」は、今、テレビゲームで
『三國志』やったりして使ってますよ。
ふふふ。
宮藤 ははははは!
しり
あがり
「アイツの弱点はここだ!」って
攻めたりして。
糸井 (爆笑)

しり
あがり

今、すーごい役に立ってますね。
しかも年とると、あの成分って
どんどん出てきますね。
糸井 出てきますか!
宮藤 えっ、「出てくる」んですか?!
しり
あがり
騎馬軍団の先頭に立って
子分たちを連れ立って‥‥!
いや、きっと宮藤さんにもありますよ。
宮藤 どぉなんですかねぇ。
糸井 あのさ、映画監督って、
役者さんより1時間くらい前に
現場に行きますよね。
ぼくなんか、そういうことを
大変だろうなぁ、
オレにはできないなぁって、
思っちゃうタイプなんですよ。
宮藤 あー。それはそうですね。
たしかに、ぼくら会社勤めとか
共同生活ができないからこそ
お芝居やってるっていう部分があるのに
意外と時間に厳しいんですよ。
考えてみたら、おかしな話ですよね。
糸井 「社会性」というようなものが
求められてるじゃないですか。
宮藤 そうですね。「大人計画」に、
ぼくや阿部くんが入った当時は
遅刻したら罰金っていう
制度があったんですよ。
松尾さんが言い出したんですけど。
しり
あがり
(小声で)ええええ、つらい‥‥。
糸井 あのね、
社会性のない人たちっていうのは、
遅刻にきびしいの。
じぶんの弱みは遅刻だって思ってるから。
だから、すーぐルールつくるんだよね。
宮藤 そうそう。
そこで律しないと
本当にだれも来なくなっちゃう。
考えてみたら、
「遅刻したら人に迷惑がかかる」
ってことを学ぶまでに
時間がかかった人たちですね。
それを言ってたのが
25、6才でしたからね。
糸井 いい話だ(笑)。
しり
あがり
うん。
宮藤 だから、ぼくらって、
あんまりそういう「やり手成分」とか
「社会性」のない人たちの
集まりのような気がしますけど。
飲みに行くというだけでも
誰も仕切らないで劇場の楽屋で
ぐだぐだやってたりするくらいですから。
糸井 そうかー。
いや、でもそういう成分って
ぜんぜんないはずはないんだよな。
たぶんどっかにあるんですよね。
たとえばバンド*
だれかがいい加減に
演奏をしてたときはどうですか?
*編集部註:
 宮藤さんは「グループ魂」という
 バンド活動もなさっています)

宮藤

あ、それはイヤですね!
糸井 ほら、あった(笑)。
宮藤 ぼくは文句言うほうですね。
リハーサルの当日にピリピリしたり。
そういえばこの間、
バンドの本を出したんですけど、
そのなかの企画で
それぞれにパーソナルな質問をする
というのがあったんです。
「メンバーのなかで
 ダメ人間はだれですか?」
という質問で、
バンドのメンバー7人中3人が
ぼくって答えたんです。

「彼はいちばんダメですねぇ」って。
人として、
ふつうにやれなきゃいけないことができてない
って意味だと思うんですけど。
糸井 「基礎」が。
宮藤 ええ。
「そのわりにはうるさい」みたいな感じで。
練習には間違いなく来るんだけど、
そこに来るまでが
相当ダメだ、みたいな(笑)。
道にタンはきまくって来てるような
印象らしいんですよね。
 
糸井 実際そうなんですか?
宮藤 実際わりとそうなんですけど。
‥‥いや、タンははかないですけど、
ある人のことを罵倒していて
すぐ後ろにいることに気づかない
っていうようなことは
よくやっちゃいますね。
しり
あがり
・糸井
あちゃーっ!
宮藤 だれかに怒られて、その直後に
その人の怒りかたを
真似したりしちゃうんです。
そうするとすぐ後ろに立ってたり。
「うしろ、うしろ!」って言われて
振り返ると、その人と目が合って
「ああ、すいません」ってことは、
あの‥‥、よくあります。
糸井 ばかだよ、この人は。ばかです。
その本の企画のおかげで、
社会性という意味で
オレは意外とイケてなかった、と
気づかされたんだ。
宮藤 ええ。けっこうびっくりしましたね。
そう言われてみれば、映画の撮影のときも
それに近い感じがあったと
思うんですよね。
遅刻はしないんだけど、そこに来るまでが
多分すごくダメだったんじゃないかなと。
タクシーの運転手にものすごいキレて、
やっと現場に着いたりとか(笑)。
そういうダメさがあるみたいですね。
糸井 バンドもそうですけど、劇団って、
ちょっとファミリーみたいなところが
ありますよね。
宮藤 そうですね。
何年もやってると夫婦と一緒で
倦怠期みたいなところがあるんですよ。
糸井 この役をよその劇団のだれだれが
やってくれたらなぁ、みたいなこと?
宮藤 それもありますし、
よその人が客演で入ってきて
「この役オレじゃダメなんだ」
というのもあると思います。
ちょっとよその人を入れちゃったりすると
倦怠期っぽい空気がかるく流れたりとか。
糸井 流れるでしょうね。
それはものをつくるときには
しょうがないことなんだけど
人間の感情ってよくばりですよね。

「欲望の三角形」っていう図があってさ、
1個のものを見たときに
ある視線が価値を認めてじろじろ見てると
その視線を感じて他のひとが
欲望をかきたてられる。
そういう三角関係があるわけです。
つまりみんなが
あいつがいい、あいつがいい、
って言うと興味なかったはずのじぶんも
「お、いいな」って思う。
宮藤 それはわかりますね。
うちの役者がよその芝居に客演して
どっかんどっかんウケてるのを見ると
いい役者だなって思います。
倦怠期を乗り越えるんですよ。
「なんだよ、うちのカミさん、
 けっこういいじゃないか」
みたいな(笑)。
 
糸井 いい女っぷりじゃないか、って。
しりあがりさんは
映画監督とかお芝居とかのほう、
どうっすか。
しり
あがり
劇団のまねごとみたいなことは
しますけど。
糸井 そういうときのしりあがりさんって
リーダーシップをとったりするの?
宮藤 あのときはどうだったんですか、
「NAS」とか。
しり
あがり
あのときはぜんぶで3人でしょう。
糸井 少なっ(笑)。

しり
あがり

安斎肇さんとなんきんさんとぼくとで。
あのときぼくは、2人がケンカしたら
「まあまあ」って言う役の
つもりだったんですけど、
集まってみたら全員
「まあまあ」の人たちで(笑)。
やたらゆずり合っちゃってました。
糸井 そもそもケンカなんか
しないんじゃん。
宮藤 みんなして「まあまあ」って!(笑)

(座談会おしまい)


※この連載は、TBS『NEWS23』、
 TBSラジオ『ザ・チャノミバ』でのトークと
 「ほぼ日」での座談会をまとめたものです。



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バックナンバー
2005-04-08 快感のうねりに身をまかせろ!
2005-04-13 座談会1
サルがずっと目の前にはりついているような映画。
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2005-04-19 座談会3
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このコーナーでは、2人の旅のようすを
毎回ちょっとずつお伝えしますね。
旅の途中でバラバラになってしまった
弥次さんと喜多さん。
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迷いこんでしまう‥‥。

写真は喜多さんお初(小池栄子)


(C)2005YAJI×KITA

2005-04-26-TUE

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