白いシャツをめぐる旅。2020 わたしのマスターピース。 白いシャツをめぐる旅。2020 わたしのマスターピース。
02 ベルギーリネンの伝道師が手がける、一年中着られる麻のシャツ。Vlas Blomme
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ヨーロッパリネン協会から、
「リネンエバンジェリスト」、
つまり、リネンの伝道師(!)の称号を
与えられるほどの知識を持つひとがいます。
石井智さん。
リネンの中でも最高品質のものだけを使って
スタイリッシュな服をつくる日本のブランド、
Vlas Blomme(ヴラスブラム)を立ち上げ、
たくさんのリネンの服を世に出してきた人です。
Vlas Blommの服は「長く愛される」ことを念頭に、
流行に左右されない着心地のよさを追求してきました。



「会社の立ち上げは、2006年です。
2005年の暮れぐらいに、
それぞれいろんな経験をしてきた4人が集まって、
何か新しいこと、ちょっとニッチで、
誰も手がけてないようなことが、
きっとまだファッションの中にもあるんじゃないかと、
そんなふうに考えて、立ち上げました。
その4人が最初の創業メンバーです。
リネンを選んだのは、
私がヨーロッパに住んでいたとき、
日常にリネンがあって、
すごく気になっていた素材だった、
ということが大きかったです。



リネン‥‥、麻って、
歴史的には日本の文化にも根付いてるものだけれど、
当時はオーガニックコットンが主流でした。
「地球に優しい」「ナチュラル」、
そんな印象が大きかったと思います。
じゃあ、麻をもうちょっと掘り下げてみるといいのかな、
っていうのが最初のきっかけですね。
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なんかベルギーがいいみたい、っていうので、
まずはベルギー大使館に電話してみたんです。
気軽に電話したら、
ベルギーがいちばんのリネンの産地ですよ、と
教えていただきました。
ベルギーのフランドル(フランダース)地方には
昔からリネン畑があるのだと。
もちろんリネン関連の企業もあるというので、
それを十数社教えてもらって、
すべてに、すぐにメールとファックス、電話をしたんです。
その中の1社が、すごく反応が早くて、
彼らが「じゃあ送るよ」って送ってきたのが
この糸だったんです。
カーペットとか、インテリアの素材に使う、
ロービング糸なんですよ。
届いたとき、
『これ何?』ってビックリしました」



服飾用じゃなかったんですね。
太いし、撚りがあんまりかかってなくて、
なんか、ワイルドというか、素朴ですね。
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「撚りをかけるちょっと手前ですね。
その手前がこの、スライバーという状態で、
触っていただくと分かるんですけど、
すごく柔らかいんですよ。
これを使って服をつくりはじめました」



見た目は、ツルッとしていて、
光沢があって、きれいです。
それに、やわらかい!
まるでシルクみたいな感じです。
最初になにをつくったんですか?
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「これだったらニットができるんじゃない? と、
このニットです。
手編みのカーディガンです。
こんな糸、見たことがなかったし、
我々が知らないことが、まだまだいっぱいあるだろう。
もっと知りたいし、もっとつくりたい。
それじゃあ、っていうので、
このカーディガンを持って、
ベルギーのリネン産業の中心地である、
コルトレイクっていう町に突撃しました。
それが2006年。
糸を送ってくれた、ジョス・ヴァネステっていう
現地の紡績会社を訪ねました」



服を1着つくったところで、いきなり、ベルギーに!
むこうの反応はどうだったんですか。



「そのころ、彼らも模索してたんです。
リネンを長年続けてきてはいたけれども、
需要がなくて、だんだん縮小していた。
もっと一般的なマーケットに近い何かをやりたい、
そう思っていたときに、我々が連絡をした。
タイミングのよい出会いだったんですね。
そんな中で、肌に近いカットソーで
リネン100%の服って
世の中にないよねって気づいて。
リネンコットンみたいなのはあるんですよね、
でもリネン100%ってほとんど見なかった。
それで、最初に手がけたのがカットソーなんです。
そんな無謀なスタートを切りました」
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石井さんたちの会社名は
「アテンションジャパンプロダクツ」といいます。
日本人の繊細さや、徹底したものづくりへの姿勢、
そういうものを、日本のプロダクツとして
海外に出していこうという志を名前にしています。
‥‥ということは、どちらかというと海外向けに
服をつくろうと考えていたんですか。



「はい、最初から海外に、ということで。
トラノイっていうパリの展示会があるんですけれど、
当時、80ブランドぐらいしか出られなくて、
敷居がすごく高かったんですね。
そこに出たくて、また突撃隊で、
手裁断でつくったサンプルを持ってパリに行ったんです。
主催者に電話して、コンタクトをとって、
サンプルを見せたら「これはすごい」と。
「こんなの見たことないから、すぐ出ろ」
みたいな感じになっちゃって。
で、運良く‥‥。
それが2008年の春夏の展示会でした」



ベルギーにもパリにも突撃。すごい。
1年で、そこまで。
ところでVlas Blommeという
ブランド名は、どこからつけたんですか。



「ベルギーのフランドル地方の言葉であるフラマン語で、
リネンの花、っていう意味です。
最初に行ったとき、コルトレイクの人たちが、
リネンって、花がきれいなんですよ、って
すごく言ってたんです。
青い、小さな花で、朝、午前中に花が開くと、
午後には散ってしまうくらい、儚い。
畑全体でも、花が見られるのは、
6月の、たった1週間くらいなんですよ。
その花から、ブランドの名前をもらいました。
ブランドを始めるにあたって我々が考えたのが、
もちろん洋服のブランドなんですが、
やっぱりリネンとの出会いが大きかったので、
リネンについて普及することも同時にやっていきたい、
ということでした。
最初は我々もそんなに知識がなかったんです。
でも知れば知るほど面白い。
それも含めてブランドをつくっていこう、って」
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Vlas Blommeのアイテムの素材は、
コルトレイクリネン、と書かれていますね。
リネンの町の名前。



「そうなんです。コルトレイクって、
おとぎ話に出てくるようなかわいい町で。
その町で、出会いがあったわけなので、
ぼくら独自の素材として、町の名前をつけました。
このコルトレイクリネンを使うことが、
ブランドコンセプトで大切にしていることです。
着心地は、リラックスでコンフォータブル、
“マイフェイバリットワン”になる、
お気に入りとして長く使っていただける、
そういう商品を目指していこうと考えています」



Vlas Blommeのアイテムは、
一年中、リネンだということですが、
リネンにはどうしても春夏のイメージがあります。
熱伝導率が高いので、ふれると体温を奪って
ひんやり感じるんですよね。



「そう、最初は私たちも、リネンは春夏のものだから、
ブランドを立ち上げたのはいいけれど、
秋冬はどうするんだ? っていう話になりました。
でもね、じつはリネンって、あったかいんですよ。
ヨーロッパでは、冬でもベッドシーツはリネンですが、
彼らが冬でもリネンを使う理由は、
「あたたかいから」だと言うんですよ。
それは、洗えば洗うほど、毛羽が立って、
表面に産毛みたいなものが出てくるからなんです」
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起毛素材みたいになるってことですか?



「そうなんです。
そこに気づいて、じゃあ最初から起毛してしまおうと、
やってみたんですよね。
毛布の表面をかく機械にかけてみたら、
微起毛がかかって、いいタッチになったんです。
今、秋冬にはそれを使っています。
リネンって、生産効率の悪い作物なんですが、
保温性だけじゃなく、吸水速乾性とか、
そういう高い自然の機能を持っている。
植物全体が無駄なく利用できて、
すごくエコな素材でもあるんです。
それに、ゆっくり丁寧につくってあげると、
すごくいいものができる。
やっぱり植物なんで、ワインと一緒で、
土壌の管理とか場所とか気候によって
品質が変わってくるんですよ。
コルトレイクリネンは、
ミネラルが豊富な土壌でしっかり育っていますから、
最高級のものができあがるんです」



さて! 
今年の「白いシャツをめぐる旅。」では、
ユニセックスで使える定番のシャツなど、
5つのアイテムを紹介することになりました。
トップス2点とボトムス2点、
それからアクセサリーがひとつ。
シャツのひとつは、定番のチュニックです。
ここからは、Vlas Blommeのプレス、
齋藤 瑞さんに解説をしていただきましょう。
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▲Vlas Blomme リネンチュニックシャツ(F)

 ¥25,300(税込み)
「このチュニックは、
2009年からずっと定番でつくっているものです。
着丈はかなり長いんですけれど、
脇の開きが深いので、軽さがあります。
コルトレイクリネンの特徴の光沢感で、
上品な仕上がりになっています。
アイロンをかけるとよくわかるんですよ。
もちろん洗いざらしの質感もいいんですけど」
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ユニセックスで着られるサイズ感、かたち。
男性だと長めのシャツに、
女性だとチュニックになります。



「シーズンごとに素材や丈感を変えたりしていますが、
今回の、これは、ずっと続けている原型です。
男性も女性も着られるので、
夫に取られちゃったから、って
追加で買われるお客さまもいたりします」
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▲Vlas Blomme リネン ヴィクトリアンブラウス(F)

 ¥26,400(税込み)
こちらはボウタイ付きのヴィクトリアンブラウス。



「ギャザーが入った、
ちょっと装飾的なブラウスです。
チュニックにくらべると、
こちらの布のほうが、ふくらみといいますか、
ちょっと肉厚に感じる手ざわりです」



ギャザーのブラウスって、
アイロンかけが大変なイメージがあるんですけど、
リネンだったら洗いざらしで大丈夫そうですね。



「そうですね。洗ってそのままでどうぞ。
ボウタイのアレンジも、
自由に楽しんでいただきたいです」
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このピンがぴったりですね。
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▲Vlas Blomme ブラウスピン(ローズクオーツ)

 ¥7,150(税込)
「ピンがつけられるようになってます。
しっかりつきますけど、着脱も簡単です。
真鍮のパーツは、経年変化でいい感じになるのも、
リネンに通じるところがあるんですよ」



ボトムスは、ギャザースカートとペンギンパンツ。
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▲Vlas Blomme リネンペンギンパンツ(F)

 ¥28,600(税込み)
ペンギン、かわいい! 



「これの原型、
もっとペンギンみたいだったんですよ(笑)。
いろいろ改良して、すごく穿きやすくなりました。
リネンのツイルは、冬でもレギンスを穿いたりすれば、
一年中着ていただけると思います」
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そしてギャザースカート。
質感が全然違いますね。
ざっくりと、涼しそう。
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▲Vlas Blomme リネンギャザースカート(フラックス)(F)

 ¥28,600(税込み)
「こちらもシンプルですけど、万能選手です。
ギャザーとフレアの分量もちょうどよくて。
オリジナルの生地で、リネンそのもの、
染めていないフラックスっていう自然の色です。
ほかのアイテムもそうですけれど、
これはもう、お家でどんどん洗っていただいて、
どんどんやわらかくなるのがいいんですよ」



ありがとうございました。
Vlas Blommeのリネンの世界、
もっともっと広がりそうです。
なんだか、たのしみです。



Vlas Blomme

https://vlasblomme.jp/
(次回は、おなじみ、
STAMP AND DIARYを紹介します。
えっ、あたらしいブランド展開も?)
2020-04-10-FRI