前川 で、糸井さんのとこの新聞の、
今年の大きなテーマが、
「歌」と、「お金」?
糸井 はい、偶然ですが
そのふたつです。
前川 結局、お金というものは、
なんなんだということですよね。
ぼくにとって、
お金はやっぱり、ないと生きていけません。
人は、お金によって
顔つきも変わるし、人も殺す。
お金って、
そういう危ないもんですよね。

ですから、お金は、
それだけの大きなものだと思います。
「命の次に大事」というよりも、
もしかしたら、命よりなにより、
いちばん大事なものが
お金なんじゃないかなと思います。
糸井 まず、お金。
前川 はい。命をなくす人もいるからです。
いい意味でも、悪い意味でも、
お金はそういうものだと思います。
無理をしたり、欲をかいたりすると、
自分がそういうふうに変わっていくでしょう。

(ここでお茶を変えます。
 次はジンジャーエールです)
前川 あの‥‥豆剥いて、
食わしてくれたりしないんですよね。
一同 (笑)
糸井 お茶出し、そつがないですねぇ。
‥‥しかし、このセット、
改めて見ると、
ちょっとコンセプトがまちがってないか?
前川 いや、こういうものを
作ろうという発想が、
まず、すごくうれしいですよ。
ほら、あれは宮本悦朗でしょ。
糸井 クール・ファイブのメンバーの
頭ギャグです。
前川 そう、頭ギャグです。
まぁ、彼は、
長崎から東京に出てきて、
垢抜けする前に
毛が抜けたんですけど。
一同 (笑)
糸井 それは持ちネタですね(笑)。
前川 七三に分けろと言ったのに、
7本と3本に分けられる。
一同 (笑)
前川 こうして見るとね、「宮本くん」って
思いますねぇ‥‥ははははは、くくくく(笑)、
ぼくたちのショーではね、
「東京砂漠」の
「あなたがいれば ああ あなたがいれば 
 陽はまた昇る」
というところを演奏するとき、
彼の頭にちっちゃなライトをあてます。
それがめっちゃくちゃウケる。
糸井 (笑)
前川 そういうことやって、
ぼくは、ちょっと最近、
歌がたのしくなってます。
やっぱり、クール・ファイブが
戻ってきてからです。
糸井 うれしそうですよね。
前川 うれしいです、
クール・ファイブって。

内山田洋も亡くなって、
メンバーどうしてるかなぁって、
連絡を取ってみました。
たいていみんな、スナックをやってた。
じゃ、お店のお客さんを増やすためにも
いっしょにテレビとか出たら
いいんじゃないかな、なんていって
再活動したら、やっぱりたのしいです。
昔はまっすぐ立って歌ってたのも、
踊りながら、みんなでたのしくやれます。
糸井 うん。
前川 「動くの照れくせぇなぁ」
と思ってたけど、メンバーがやるから
ぼくなんかだって踊れます。
そうすると、お客さまも、
前のほうにいらっしゃるおじいちゃんなんか、
ツイストで(パチン)(パチン)
のってくるんです。
歌というものは、自分がたのしんだり、
心を開いてやると、いいんだなぁ。
クール・ファイブのおかげで
最近、そんなこともわかってきました。
糸井 ヒット曲をどんどん出していたときには
たのしいと思わなくて、
いまになって思ってるって、
ものすごく、笑っちゃうような話ですねぇ。
前川 はい(笑)。
糸井 呼ばれて出演してたときというのは、
「前川さん、前川さん」
「クール・ファイブ、クール・ファイブ」って、
絶えず、おみこし担がれてるようなもんでしょ。
前川 はい。
糸井 そのときは、
歌はたのしくなかったわけですよね。
前川 ですね。
一同 (笑)
前川 まずは、歌ってて、
自分の歌がいい歌だと思ったことはないです、
ぼくは。
糸井 まいったなぁ(笑)。
前川 ぼくの歌を、
ほかの人がカラオケで歌ってくれます。
そうすると、カラオケの画面の下に、
テロップが出るんですよ。
糸井 出る、出る。
前川 それを見て、「あれー?」と。
「これ、こんな詞だったんだ、
 へぇー、こんないい歌だったんだ」
はじめてそう気づいて
「これ最近歌ってないから、
 よし、今度歌ってみよう」
とか、そんな感じです。
一同 (笑)

(つづきます)

2010-07-07-WED