2006.11.10, Fri
「インストバンド」PVをご覧になったみなさんから、
メールをたくさんいただいております!
どうもありがとうございます!
メールはひきつづき大歓迎です。
感想は、すべてタムくんご本人にもお送りしますので、
なにか感じたことがあったら、ぜひメールをくださいね。
それでは、SAKEROCK星野源さんのインタビュー、
第2回めをおとどけします。

ほぼ日 この「インストバンド」という曲で
プロモーションビデオをつくることは
最初から決まっていたんですか?
星野 いえ、タムくんにお願いした時点では、
まだはっきりとは、決まってなかったんです。
どの曲でつくってもらうか迷っている状態で。
で、まあ、とりあえず、
タムくんにビデオのことをお願いしたときに
それまでにできていた曲を
現場で聴いてもらったんですけど、
最初に「インストバンド」を聴いてもらったら、
その時点で「なんとなくできた」って
タムくんが言ったんですよ。
ほぼ日 え? いきなり?
星野 そうなんです(笑)。
ほかにも何曲か聴いてもらったんですが、
「これは難しい」とか、
「この曲はよくわからない」とかいう反応で(笑)。
けっきょく「やっぱりさっきの曲がいいな」
とタムくんが言ってくれて、
「インストバンド」で
お願いすることに決めちゃったんです。

ほぼ日 じゃあ、もう、頼んだその場で。
星野 はい。その場で独断で決めちゃいました。
とにかくそれを自分で
「見たい!」と思ったので。
ほぼ日 ということは、
「曲の宣伝のためにプロモーションビデオを」
ということではなくて、
本当にコラボレーションとしての
お仕事だったわけですね。
星野 そうですね。
でもそれはバンドの為の決断というよりは、
単に自分が作曲した曲に
アニメーションを付けて欲しかったんです(笑)。
ただ、実質的には、ものすごく
プロモーションになっているんですよね。
おかげさまで評判もよくて、
こうしていろんなところで
紹介していただいているので。
だから、いいものができると、
それ自体がプロモーションになるというか、
当然のことかもしれませんけど、
いいものができると、あれこれ悩まなくても
人がすごく自然に動くんだなぁ、と思いましたね。
ほぼ日 理想的な広がりかたですよね。
ビデオの内容についてうかがいますが、
制作はどういう感じで進められたのですか。
星野 まず最初に、タムくんが
全体のプロットを書いてくれたんです。
その時、いただいたプロットでは、
男の子がかわいい女の子に恋をして、
そこにかっこいい男の子が現れて‥‥
という今と同じストーリだったんですが、
結末がいまとは少し違っていて、
主人公の男の子が女の子の
靴ひもを結ぼうとして転んじゃって
男の子の身体が汚れて、彼女が笑う。
それで男の子がすごく喜ぶという、
幸せな雰囲気で終わるという感じだったんです。
それで、もう少し「毒」のある感じで、
というふうにぼくからお願いしました。
ほぼ日 「毒」のある感じ。
星野 プロットを読むだけでは
「いい話」で終わってしまう感じだったんですね。
絵柄もまだない、文字だけの状態では。
完成したいまのプロモーションビデオも、
内容を言葉だけで伝えると
すごくつまらないものになるじゃないですか。
ほぼ日 そうですね。
言葉だけで伝えるのは確かに難しいかも。
星野 そうなんですよ。
だから、プロットを文字だけで読むと、
なんだかちょっと物足らない気がして、
「もうちょっと毒をお願いします」
っていうメールを出して。
でも、その直後に発売された
『タムくんとイープン』を読んだら
もう、タムくんの描く世界がすばらしくて、
余計なリクエストはしないほうがいいと思って
「すみません、取り消してください!」
ってお願いしたんですけれど(笑)。
けっきょく、タムくんからは、
そういうぼくの意見も含めて、
「わかっているから大丈夫」
というお返事をもらって‥‥。


『タムくんとイープン』
ほぼ日 なるほど。
星野 それで、あがってきたものを見たら
もう、そういう次元のものではなかった。

(続きます!)
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