3 すべてをフリーにする。
糸井 鶴瓶さんが、最初にばーんと花開いたのって、
やっぱり、あれですよね、
「町を歩いてて何が起こるかわかんない」
っていうような、あの番組ですよね?
なんだっけ? 「ぬかるみ」のなんとか‥‥。
鶴瓶 『ぬかるみの世界』ですわ。
あれは、80年代のラジオ。
糸井 そうだ、『ぬかるみの世界』だ。

※『鶴瓶・新野のぬかるみの世界』

 1978年から1989年までラジオ大阪で
 放送されていた深夜番組。
 日曜の深夜にもかかわらず、
 熱狂的な人気を集めた。

 鶴瓶さんとパーソナリティを
 つとめた大阪の放送作家、新野新さん。

鶴瓶 あれはもうね、
フリーだったんですよ。
なにも決めずに、ただしゃべっとった。
糸井 うん。
鶴瓶 東京に来てからもそうなんやけど、
ぼくはずうっと、
「フリーでしゃべること」をしてるんですよ。
‥‥ほら、糸井さんともその時期、
いっしょに、やりましたやんか。
糸井 そうか、『YOU』だ。
やったね。
鶴瓶 『YOU』、やりましたよね、
あれもフリーに話す番組ですよ。

※『YOU』

 1982年から1987年まで、
 NHK教育テレビで放送されていた、
 若者のトーク番組。
 85年3月まで、糸井重里が司会を担当。
 月に1度、NHK大阪制作の
 『YOU OSAKA』が放送され、
 83年から鶴瓶さんが
 その司会をつとめた。

糸井 『YOU』をやってたころに、
鶴瓶さん、
なんかバラエティもやってましたよね?
鶴瓶 バラエティ番組は‥‥
そのころ向こうで‥‥なんやろ?
糸井 あれはたしか、『突然ガバチョ!』?
鶴瓶 そうや、『突然ガバチョ!』。

※『突然ガバチョ!』

 1982年から1985年まで、
 毎日放送などで放送されていた
 公開バラエティ番組。
 司会は鶴瓶さんと、長江健次さん。
 鶴瓶さんの人気が全国区になる
 きっかけとなった番組。
 笑福亭笑瓶さんも、この番組で人気者に。

糸井 あれも、自由だったよね(笑)。
鶴瓶 ほんま、自由ですよ。
『突然ガバチョ!』は最後、
外へ出ていくんです。
糸井 ああ、街頭に出るんだ。
鶴瓶 そうそうそう。
「よりフリーになる」というのは、
演者といっしょにやるよりも、
素人と会うたほうがフリーでしょう?
まったくネタというか、
タネ明かしもなにもない、
ほんとにもう、素手でやってるっていうか。
糸井 うんうん、そうですね。
鶴瓶 そこがいちばん、
見せる時期やったんやろね、大阪で。
で、それをやろうというので外へ出た。
だから、ラジオもフリーで、
べつになにも調べてない。
「すべてをフリーにする」というか‥‥。
だから、それをいまやってるのが
『家族に乾杯』でしょ?
糸井 うん、うん。

※『鶴瓶の家族に乾杯』

 1995年にはじまったNHKの番組。
 「ぶっつけ本番の旅番組」
 というキャッチフレーズの通り、
 鶴瓶さんとゲストが旅人として
 知らない土地を訪れ、
 地元の人に触れあいながら
 行き当たりばったりの旅をする番組。
 糸井重里もゲストで出演。
 2005年には上勝町を訪れている。
 番組のHPはこちら

鶴瓶 ぶっつけ本番やからね。
糸井 仕込みもなんにもない。
なにが起こるか、ほんとにわかんない(笑)。
鶴瓶 ふっふっふっ。
ほんまにね(笑)、
そんなんばっかりでしょ。
糸井 なにが起こるかわかんないって言ったら、
あれがそうじゃないですか。
『スジナシ!』。
鶴瓶 うん、『スジナシ!』もそう。
糸井 相手は素人じゃないけども。
鶴瓶 そうやね、
プロのゲストが相手やけど、
ぜんぶアドリブでね。

※『スジナシ!』

 台本ナシ、打ち合わせナシ。
 すべてはふたりのアドリブで作劇。
 鶴瓶さんがゲストとともに
 即興ドラマを演じる、
 スリリングな長寿番組。
 「劇場版スジナシDVD」を応援したり、
 糸井が「ラジオ版スジナシ」に
 出演したり、
 「ほぼ日」との関わりも深い。

「スジナシ!」の公式サイトはこちら
「ほぼ日」の、
「スジナシ応援団!」はこちら

糸井 「スジナシ!」は、思い出深いですねぇ。
あれは‥‥たいへんですよ。
鶴瓶 ぅふっふっ、
糸井さんとはラジオ版でね、やりました。
糸井 すごい体験でした‥‥(笑)。
鶴瓶 あんなんばっかりでしょ、ぼく。
糸井 ほんとにそうだ。
鶴瓶 そうそう、『パぺポ』もそうですし。
糸井 あ、そうだ、『パぺポ』。

※『鶴瓶上岡パペポTV』

 伝説の深夜トーク番組。
 出演者は基本的に、
 上岡龍太郎さんと鶴瓶さんのふたり。
 このふたりのトークのみを放送する番組。
 シナリオなし、ぶっつけ本番の
 フリートーク。
 制作は「読売テレビ」、
 日本テレビ系列で1987年から放送。
 2000年の春、
 上岡龍太郎さんの引退に伴い
 同シリーズは最終回となった。

鶴瓶 『らくごのご』も、もそう。
糸井 そっかー、そうだわ。

※『ざこば・鶴瓶らくごのご』

 1992年から1998年まで、
 朝日放送で放送されていた、
 「即興落語」のテレビ番組。
 客席から3つのお題を選び、
 その3つを折りこんだ
 落語を即興で演じる。
 演じるのは、桂ざこばさん、鶴瓶さん。
 自分より鶴瓶さんの即興が
 良かったと感じた
 ざこば師匠が、「悔しい」と、
 本番中に泣き出したこともあったとか。

鶴瓶 素人のお客さんからもらったもの、
ポンと渡されたお題を
どうするかっていう番組やった。
糸井 要するに、
自分もわかんないことをやるってことでしょう?
鶴瓶 そうです。
糸井 はあ~~、すごいですね。
こうやってあらためて考えると、
鶴瓶さん、ほんっとうに、
フリーなことばっかりですね。
  (つづきます)
 
2011-01-03-MON
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