野菜のクルマ。
「SKIP」のトラックストアは
今日も走ってる。

福岡でわかったこと@福岡県福岡市

11月25日(月)天気:晴@山口県宇部市

編集部
(以下、編)
今日はちょっと
いつもと違いますね。
てんちょー(仮)
イズミ
(以下、イズミ)
時間からして早いです。
まだ夜の9時です。
先程、鍋を食べてきましたが
気づいたら3日連続で鍋を食べてました。
しかし、今日は、ぼくら、
たくさん話しましたね。
イズミ 朝、起きたのが8時で。
西本さんはそれからメールチェックをして
わたくしは報告書なぞを作成してから
話し始めましたから
朝10時半くらいから
今までずーっと喋ってます。

しかし、まだまだ喋り足らないような
気がします。
今日はどういう日でした。
イズミ わたくしにとっても
すっごい日でした。
今日の朝からの出来事は
なんだか凄かったんです。

いやぁ、今までトラックに乗っていて
これだけ大きな話をできたのも珍しいなぁ。
農業家の方とも話す機会はあったのですが
二人でいろいろ話しているうちに
このSKIPの事業には
無限の可能性が
あるってことが
リアルに想像ができました。

この2カ月近くにわたって続けてきた
トラックストアの集大成は
今日だったのかもしれません。
これを現実にできるのだとすると
これから東京に帰った後
凄い量の仕事とスピードが
要求されることになります。
もしかすると、
後々、このSKIPの事を振り返った時
あの日から「大きく動きだしたね」
というような一日でした。
今日はジーコ(darling)
「笑っていいとも」の
テレフォンショッキングに出演して
SKIPや農業について
熱く語ったという日でもありました。
イズミ はい。
ホントはそのテレビを見て
ユニクロ折尾店でお借りした
長机を返して、宇部に行くというのが
スケジュールだったんですけどねえ。
ちょっと予定を変更して
福岡で営業活動をしてました。
うん。「笑っていいとも」が始まる前に
二人で話していたことは。
「トラックストア」が終わった後、
例えば、この福岡の人に
我々は何ができるのか?
ってことでありました。
イズミ ええ。現在、SKIPの商品に
触れることができるのは
トラックストア駅ストアのような
イベントスペースに来ていただくこと。
もしくはインターネット通販
購入していただくこと。
この2つのチャンネルしか無いわけです。
今後、店舗ができるとしても
間違いなく、
福岡に店舗ができるのは
首都圏と関西圏に店舗ができた後に
なってしまいます。
これは店舗ができるまで、
極端にいうと首都圏以外の方には
SKIPの野菜に触れていただく可能性が
かなり低いんじゃないか?
ということ。
そして、
昨日やったSKIPどんたくについての
お互いの感想が、
売り上げとしては
フェスゲのイベントよりも多かったし
ジーコ(darling)や永田先生も来て
盛り上がったのではあったのですが
こう、波として
「今、求められている」ってことを
感じたのはフェスゲの方が
強かったなぁということ。
この言い方だと誤解を産むのかもしれませんが
福岡での反応は予想範囲内であって
フェスゲでの反応は
予想を超えた反応であったということです。
昨日の売りであった
高糖度みかんがお客さまにとって
「とにかく高い」という印象がありました。
そこで、もしかすると地方によって
というより、産地と販売場所の距離によって
売り方が変わってくるんじゃないかと。
我々は食品を扱っているということで
プロモーションに関して
首都圏で考えたことと
同じことを地方に持ち込んだとしても
効果が薄かったり、
的外れなものになっているんじゃないか?
ということを感想として持ったんですね。
SKIPという事業についての情報自体は
インターネットで伝わってるんだけど、
それは単に文字面の情報で
「波」という感じでは
無いんだということを含めてね。
イズミ ええ。
福岡の人に対して何もしないというのは
如何なものか?
店舗ができるまでは
インターネットで買ってくれ。
ということだったら
福岡のお客さんはずーっと味わえないままで
来てしまうってこと。
これは他の地域にも
言えるってことですよね。
産地との関わりもあって
地域によってプロモーションも
変わってくるってことは、
例えば、北海道でかぼちゃを売る、
青森でりんごを売る
今回では福岡でみかんを売るってことは、
非常に難しかったわけです。
産地が近すぎますから。
この問題に対しては
「とにかく食べてみてください」ってことで
済ましていた感じがするんです。

で、ここまでの話をしてて
「う〜ん、難しいなぁ」と思って
シャワーを浴びにいった時に
わたくし、急に思いつきまして
「そっか、このホテルに
 売ればいいのだ」
と。
今まで我々はユニクロという親会社の形態を
意識してたんでしょうね、
「次は店舗だ」ということから
頭が離れなかったのですが
イズミさんが言ってた
「売る場所はどこでもいい」
ということ。
ブランドを育てることと
店舗を育てることは、
また別次元の話になる、
大変だよなぁってことが、
ホテルで シャワーを浴びているうちに
「ああ、ここに売ればいいんだ」
って考えで一気にまとまってきまして
すぐにシャワーを出て
「二人会議」を始めちゃったんです。

イズミ ええ。
食べていただく
機会を作ること。

一方で野菜は継続的に
売っていかなくてはならない。
SKIPの商品の売り先のひとつとして
地方のホテルというのは
かなり有効なのではないか?
と、思ったんですね。
おそらく、各ホテルは
平日にお客さんを入れることに
苦労しているはず。
たぶん、プロモーションの策も
尽きてきてるのじゃないかと。
福岡だとホテルに泊まっているのに
ホテルで食事をとらずに
昨日の我々のように
「外に食べに行ってしまう」わけです。
なるべく多くの入場機会を求めている
ホテルにとって、SKIPは何か
いいことができるような気がする
ってことで、
元々、営業マンの二人でありましたから
まずは今日泊まっているホテルの人に
アプローチをしてみようと。
そして西本さんの知りあいのホテルの方に
アプローチをしようと
いうことになりました。
で、泊まっているホテルの方に
会おうとすると、向こうから
「こちらと話がしたい」
と持ちかけてきた。
これにはびっくりしました。
イズミ ええ。当初はイベントスペースとして
ホテルを使ってもらえませんか?
というお話だったのですが
我々からは
「このSKIPの食材をこちらの厨房関係者に
 食べていただきたい
 ぜひ、このホテルで
 SKIPの食材を使っていただきたい」

というお願いでありました。
SKIPの食材は旬に左右されるので
継続的に同じ商品を供給することは
難しいのですが
これは逆に返すと
旬であることが
イベントになる
と。
つまり、年中イベントが組める商品である。
ここから企画が
凄いスピードで動き始めまして
詳しくは話せないんですけど
東京に帰っても
たぶん、すぐに二人で福岡出張になるなと。
近日中に福岡でもSKIPの野菜やくだものを
もうすこし、手軽に味わえる場所ができそうです。
で、さらに西本さんの
知りあいのホテルに行って、
また別コンセプトの企画を持ち込んだら
これまたかなり前のめりで反応していただき
来年の春くらいには
何かおもしろい事ができそうです。
商品を販売するだけでなく、
相手に合わせた提案も含んで
お客さまも、ホテルも、
SKIPも
みんなうれしい
ってことが
一つのスタイルとしてできそうだし、
ホテルだけでなく、
いろんな人を豊かな気持ちにさせることが
我々には無限にできるんじゃないか?
ってことが分かったんですね。
これがとにかく大きかった。
さらに西に行く旅をちょっと
簡単にまとめちゃうと。
北にいった時と決定的に違うのが
ユニクロの店長を初め、
スタッフの協力体制が違いました。
分かりやすいところでは
シフト表に「スキップ応援」とか
かいていたんですけど
食品事業ってユニクロのスタッフも
ピンと来てないところがあったと思うけど
これが西に来てから変わったんです。
これは会社にとって
一緒に育っていくブランドだと思いました。
会社が変わっていくきっかけになると
ユニクロのスタッフの方にも
考えてもらっているのが伝わってきました。
当初、ユニクロの人にとって
トラックストアって
すごく迷惑な話だと
思っていたんですよね。
イズミ

当初は店長さんに電話をしてても
「駐車場が狭いので
 できれば他の店舗でやってもらいたい」
ってことでありました。
でも、変わってきたのは
トラックが来るってことは
来店機会が増えるってことにつながり、
なんらかの売り上げに反映できることが
あるんじゃないか、
そのためには自分達には何ができるのか?
ってことを考えてもらえた、
ということですね。
気のせいかもしれないですけど
大きな意味で
ファーストリテイリングという会社が
動いてきてるなという
感じはしたんですよね。
「独立自尊の商売人になれ」という
言い方を社内で言われるんですけど
自分を含めて、お店の方たちにも
いい意味で刺激を与えあってるようです。

ユニクロ折尾店の店長のメールですよね。
トラックストアを見て
商売の原点を見れた
という内容でした。
売っているぼくらを見て、
他のバイトがうらやましがっていた。
っていうこと。
さらに店長を含め、
店員がお客さんと
コミュニケーションを
とりたがっていること。
そこにSKIPができることが
あるんではないか?

ってことですね。
イズミ ええ。
店員が接客をしたがっているってことは
たぶん、売り場が
完成されつつあるからなんでしょう。
元々ユニクロは欲しいものを
どんどんセルフカートに入れてもらって
好きに買ってもらおう、
気楽にお買い物をしてもらおう、
過度な接客を控えて置こう、という店です。
店員はお客さまを放っておく、
という意味ではなく、
空気を読む、
お客さまの動きを予測して
動くという感じでした。
店員のなかには、
接客したいなぁってかたも確かにいて
お客さまにとっても
接客されたいなぁってかたも
いらっしゃるみたいで。
商品説明や食べ方を伝えるってことは
非常に楽しかった。
これって、産地から見てるから
できたんだろうなあって気がしますけど。
店の人達は
「地域のユニクロ」になりたがってるなと。
もっと地元の人と密着したがっているなとも
感じました。
イズミ ええ。その地域の人を豊かにすることが
ユニクロやSKIPが
やるべきことなんだろうな、
ということが見えてきました。
そうなれば、人もたくさん必要になるし
さっきの営業先以上に
やることが増えてきそうです。
話が飛んでしまうけど
福岡の西新商店街にある
生鮮食料を売っているリヤカー部隊を
見にいったじゃないですか。
あの人たちも、
その地域を豊かにしてますよね。
あんなことができたら
いいなぁって思います。
いい商品を扱っていいる人もいれば
ひどい商品も扱っている人もいて
リヤカーによってばらつきが
ありましたけど。
商品の善し悪しは
今では、ぼくにもわかりましたね。
あそこで売ってたみかんは
永田農法なんですかね?
イズミ 同じ質ではないですけど、
農家の人が市場に出さなかったもの、
つまり旨いけど、形が悪い
いわゆる規格外品が
あそこに流れているんです。
そっか、みかんも
でっかいか小さいかだったもんね。
イズミ SKIPでは
あのちっさいみかんが
旨いって売ってるんですよ。
皮が剥きづらいみかんの方が
うまいってことなんです。
おばちゃんが言ってましたよね。
「小さいのが甘いのよ、おいしいのよ」
って。
スーパーでは見た目のいい、
大きいものを売ってますけど、
リヤカー部隊のおばちゃんが
言っていることの方が真実なんです。
でも、あのおいしいみかんは
SKIPの半値くらいで
売ってたじゃないですか。
それで、福岡の人がぼくらのみかんを
「旨いけど、高い」と評していたのが
わかりましたね。
イズミ

たぶんここでは
値段の勝負では
ぜったいかなわないと思うんです。
もし、福岡で店を出すにしても
切り口は別になる必要があるなぁと。
おいしいはあたりまえとして
それプラス、安心、安全、たのしいとかが
加わってきて初めて
きちんとSKIPをお伝えできるかなぁと。
今日、仕事をしてて
「この考えが
 ありなんだったら
 もっと色々考えができる」

ってことが解ったんですよ。
ちゃんと仕事をすると
気づいたら何万人もの人が
お客さんになっているってのが
起るんじゃないかと。
現場で得た感覚に知識が備わると
大きくものが動くなぁ
ってことがリアルに想像できたし、
今までは売るってことばかり考えていたけど
売られ方の提案も含めて仕事なんだ、
ジーコ(darling)からは
「メーカーとして考えれば
 ヒントがあるよ」

って言われたことがあるんですけど
メーカーって言葉じゃ
もう足りなくなるのかもしれません。
ホント、大変なことに
手をつけてしまったなぁ。
これじゃ身体がいくらあっても
足りませんよ。

これからやることが
むちゃくちゃ増えてきそうで
うれしいけど、怖いですね。
イズミ でも、すっごく楽しみですけど。
明日はホントに最後の販売になりますけど
この連載は明日で
終了するんですかねえ?

ちょっと気になります。
ええ。
それはジーコ(darling)判断ですよね。
どうしましょうか?
イズミ 糸井さ〜ん。どうしましょう?

2002-11-26-TUE

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