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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第1004回

ほぼ日編集部様

1月5日のニュースから

さあ今日から新年、
2003年の「あのくさ、こればい」を始めますよ。
皆さんは今年の正月は如何お過ごしでしたか?
とりあえず遅まきながら新年のご挨拶を申し上げます。
今年も時間のすき間を縫ってでもやり抜きますので
ご愛読下さい。

さて、今日取り上げるのはこれまで通りベタ記事ですが、
新年の話としては悲しすぎる記事です。
ばってん、これが新聞記事にちらりと表情を出した
日本の国の素顔かもしれません。

これは1月4日の朝日新聞、
毎日新聞の両紙夕刊にベタ記事で出ている。
まずは朝日新聞の見出し。

「独居お年寄り 焼死が相次ぐ 
 北区・品川区」


この見出しで分かるように4日の未明から早朝にかけて
2件の火事があり、
その結果2人の独居老人が亡くなったようだ。
朝日の記事によれば、4日午前1時25分ごろ、
東京・北区赤羽南でアパートが焼け、
焼け跡からアパート経営の女性(79)が
焼死体で見つかったという。
またこのアパートに住む女性(69)も
煙を吸って軽いケガをしたという。
東京消防庁の調べではアパート経営の女性は
一人暮らしだったという。
また、4日午前3時52分ころ、
東京・品川区戸越の無職男性(87)の
木造モルタル2階建て店舗兼住宅から出火、
2階部分が焼けたという。
消防隊がこの男性を救助したが、
全身やけどでまもなく死亡した。
4畳半の寝室の電気ストーブの周辺が
激しく焼けていることから、
警視庁ではストーブが倒れるなどして
出火したものと見ている。
この男性も独り暮らしだった。

独り暮らしの女性と男性が都会には多いというのは
1995年1月の「阪神・淡路大震災」で
私たちはいやというほど見ることになった。
日頃は都会の屋根がかぶっていて見えないのだけど、
実は住みやすい都会には高齢社会の実態が
急速に進んでいるんだということがあの時、
私は取材をしてみて初めて実感することが出来た。
この何気ないベタ記事からも私たちは東京でも
ものすごい勢いで独居老人の割合が
増えていることを感じ取らなければならないんだと思う。
朝日新聞だけでは分からないことも毎日新聞と
併せて読むと見えてくることもある。
毎日新聞はやはりベタ記事扱いで、

「品川で住宅全焼 87歳男性が焼死」

という記事とまた別に見出しを立てて

「赤羽でアパート全焼、79歳死亡」

という二つの記事になっている。
記事に内容は概ね同じだが、朝日にない要素では、
品川の火事の方で、亡くなった男性は1階を
スナックに貸し、
2階で独り暮らしをしていたらしいということが
書かれている。
さらに朝日の記事になかったことでは、
この 独居男性は脳梗塞を患い、
車椅子生活だったという事実が指摘されている。
この最後の事実があるとないとでは
この独居老人の火事の話もがらりと趣を変える。
高齢者にはこうした病気がつきものなんだ。
だからこういう火事のような危険性もついて回る。
ここには現代の日本がかかえる介護の問題が
鋭い形で露出しているんだと思う。
こういう事件を単なる事件記事にせず、
もう少し掘り下げるかどうかはこの記事を書いた、
もしくは取り扱った社会部デスクの
「直感」--記者のセンスによる。
おーい、若い記者たちよ、
表面だけでなくその事件の背後にあるものに
迫ってくれえ・・・・

というところで今日はお終い。
6日のTBS「NEWS23」に出演します。
ではまた明日・・・


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2003-01-06-MON

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