TORIGOE
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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第984回

ほぼ日編集部様

12月7日のニュースから

金曜日は「スーパーモーニング」を
休むことにしたんだけど、
今週は結局大阪の朝日放送に行き仕事をしてしまい、
なんのことはない、休息の取れない週末になったのでした。

朝日放送の石高健次君は
拉致問題を日本のメディアの中で
最初に取り上げ報道した男です。

私のかねてからの友人なんですが、
彼が追い続けてきた北朝鮮問題の
3本のドキュメンタリーをもう一度見ながら
三夜連続で90分の特番を組むというのです。
90分の内30分ぐらいをスタジオにあて、
私が石高君に話を聞いていく、
というスタイルで収録をしました。

関西地区や新潟など一部の地区で
近く放送されるんだと思います。
最初の、北朝鮮に帰る帰国事業の真実を暴いたものは
1995年5月に放送されたんですね。
つまり7年前に放送されたものですが、
今見ても、いや、今見るとそうなんだと、
納得できるところが多いものでした。

で、土曜日夜遅く帰京。
日曜日の早朝にこれを書いています。
この後はTBSのラジオ「CUBE」。
そのあと「全国犯罪被害者の会(明日の会)」の
シンポジウムに出席。
ああ、休むところがないぞ。
愚痴るのはこの辺にして早速7日のニュースから行こうか!

7日の朝日新聞の社会面にこういうベタ記事が目についた。

「子供の帰国問題 『政府の方針で』
 奥土さん、前日発言訂正」


この見出しだけでおやあ???と思うでしょう。
拉致被害者の家族の会は
一糸乱れずまとまってきたという印象があるので、
ここへ来てこういう
「発言訂正」などという見出しを見ただけで、
何があったとや!ち思うとですたいね。

記事の内容は、北朝鮮から帰国した
蓮池佑木子さん(46)の父、奥土一男さん(75)が、
6日の記者会見で、北朝鮮に残されている
子供たちの帰国問題でこう言ったそうだ。

「あくまで政府の方針に従って、
 (親が日本にとどまったまま)
 子供を連れてくるという考えでいる」

これは前日の5日に述べたことを訂正するものだという。
5日の発言とは何か?訂正という言葉が気になる。
前日の発言についてはこう書いてあるだけだ。

「5日の『親が迎えに行けば一番早い』などとした発言を」

なるほど・・・これはかなり大きなことですばい。
家族の会の中で初めて異論が出たということでしょうね。
ばってん、恐らくすぐにどこからか
「奥土さん、そりゃあ困りますよ!!」
とクレームがついて奥土さんは
すぐに訂正に追い込まれたというわけらしい。

そこで、じゃあ、5日の記者会見では奥土さんは
何を言ったのか?正確に知りたいじゃなかですか?
金曜日(6日)は大阪行きでバタバタしていて
チャンと新聞ば見とらんかったとですね。
慌ててチェックしましたばい。
ああ、あった、あった!
ばってん、これはなして朝日だけなんじゃろうか?
毎日新聞には一行も載っとりまっせんばい。
朝日の6日付け朝刊社会面に
やはりベタ記事でこう出てました。

「『親が迎えに行けば早い』 奥土佑木子さんの父」

正確を期すためにここはチャンと引用にしますばい。

「奥土一男さん(75)は5日の記者会見で、
 拉致被害者の子供の帰国問題について、
 個人的な見解として
 『今の状況では難しいが、親が迎えに行けば一番早い。
  親が行かなくて子供をこっちに帰せというのは、
  子供が嫌だというと難しい問題が起きてくる』
 と話した」

「奥土さんは
 『(佑木子さんの)子供が
  向こうの教育を受け、思想が徹底されていて
  日本に行くのが嫌だ、北朝鮮がいいと言った場合、
  どういうふうに説得して連れてくるのか。難しい問題だ』
 とも述べた」

翌日に訂正はあったものの、これは前日の発言が
奥土さんの本意なんだろうなあ、と思わせる。
これは5人の拉致被害者が北朝鮮には戻らずに、
日本に永住帰国という方針を決めてから、
指摘されてきたことだ。
しかし、家族の会を中心に日本に留まるという
大方針を決めた以上、ここでこういう本心を出すと
北朝鮮に足元を見られるという心配があり、
奥土さんは素早い訂正ということになったんだろうね。

駆け引き上手の北朝鮮を相手にしている訳だから、
こういう家族の団結ぶりは大事なんだと私も思う。
思うが、ばってん、奥土さんが言うような状態に
子供たちがいるのは事実なんですよねえ。

これは厳然とした事実として存在しているんだと思う。
それを解決するのは北朝鮮当局(政府)が、子供たちに
「もう親はこの国には帰ってこないから、
 君たちも親の元に帰りなさい」
と命令するしかないですね。

それはでも、交渉が相当に進み、
ギブアンドテイクが成立してからのことでしょうね。
ちゅうことは子供たちの問題は最初日本側が期待したよりは
遅くなるというふうに見たほうがいいんでしょうね。

それにしても蓮池さん夫妻、地村さん夫妻、
ともによくぞこうした異常事態に耐えていますよねえ・・・
でも彼らはもっともっと厳しい状況の中で
生き延びてきたんですよね。
耐えて生きる。
そういう生きる術を身に付けておられるのかもしれません。
そんなことを考えながらではいざ、ラジオへ!!

また明日・・・

2002-12-08-SUN

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