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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第970回

ほぼ日編集部様

11月22日のニュースから

22日は朝の「スーパーモーニング」を
30分だけで切り上げて、スタジオを出ました。
こういう場合最初から
「今日は出演無し」という形にするのが
普通なんでしょうが、
今の番組は何でもありのままにやっていこう、
という考え方なので
「これから『ザ・スクープ・スぺシャル』
 の取材のために横浜地裁に行ってきます」
と一言残して出ました。
視聴者の方々は何事?とお思いかもしれませんが、
この取材はやはりああするしかない程
重要なものでした。
既に新聞でお読みかもしれませんが、
22日午前10時開廷で、
横浜地裁の民事部で一つの判決が出ました。
裁判長の主文の言い渡しはものの
1分もなかったように思えました。
それぐらい短いものでした。
「神奈川県に500万円の支払いを命ずる」
「警察官が引き金を引いた」
この二つの言葉が聞こえましたが、
私は耳の聞こえが悪いので、
ええっ??という感じで隣りのスタッフに
「何て言った??」
と聞き返したぐらいです。
信じられないというか、
予想を遥かに超える判決だったからです。
97年11月、一人の男性が
横浜・戸部警察署の取り調べ室で
被疑者として取り調べを受けているうちに、
証拠品の拳銃で自殺するという事件がありました。
当時はそれほど大ニュースになったわけではないので
皆さんもご存じないと思いますが、
その後その男性の娘さんが「父親の自殺」
にどうしても疑問を拭いきることが出来ずに、
一度は横浜地方検察庁に訴えました。
しかし、検察はやはり警察のお友達なんですね。
証拠不十分で不起訴でした。
そこで娘さんは今度は弁護士とともに
民事で神奈川県を相手に
損害賠償を求める訴訟を起こしました。
その判決がやっと出たわけです。
判決は男性の自殺説をきっぱりと否定し、
取調室にいた巡査部長が
拳銃の引き金を引いたことを認めています。
判決から少し引用しておきます。
これは新聞記事からの引用ではありません。
私が入手した判決文そのものからの引用です。

「証拠関係からすれば、Y(鳥越注:被疑者のこと)
 が本件けん銃の引き金を引いたことは
 認められないか若しくは
 その可能性が極めて低いといわざるをえないから、
 その反面、H巡査部長(鳥越注:取り調べの警察官)が
 本件けん銃の引き金を引いた可能性が極めて高いといえ、
 また、同巡査部長が
 本件けん銃の引き金を引かなかったと
 認めるに足りる積極的証拠もないのみならず、
 このような情況においても、同巡査部長は、
 実際問題としてはあり得ようもない態様による
 被告の(鳥越注:戸部警察署)
 Yの自殺の態様に関する主張に沿い、
 それがいかにも自己の面前で
 真実起こったものとして
 本件事故の説明をしているほか、
 被告(戸部警察署)は、本件事故発生直後から、
 事故現場及び証拠品について、
 事故の痕跡を完膚なきまでに消し去り、
 証拠品に手を加え、
 不公正・不公平で偏頗な捜査を行ったものであって、
 これらの事情を総合して
 これを経験則・論理則に従って判断すれば、
 本件事故において、本件けん銃の引き金を引いた者は、
 被疑者であるYではありえず、
 同人の取り調べに当たっていた
 H巡査部長であったと推認することができる」

裁判所の文章ですから
ちょっと読みにくいかもしれませんが、
要するに戸部署は事故後証拠をねつ造し、
あたかも被疑者が自殺したかのように見せかけているが、
どう考えても本人が自殺したとは思えない。
従って密室にいたもう一人の人物、
巡査部長が何らかの理由により
けん銃の引き金を引いたのだと、
結論づけているわけですね。

私たち「ザ・スクープ」は
この裁判を3年前から追ってきています。
ようやくたどり着いたこの判決です。
やっぱり私たちの直感は正しかったんだなあ・・・・
という感慨があります。
で、明日24日午後2時半から
「ザ・スクープ・スぺシャル」で
この事件と裁判について放送しますので、
是非見て下さい。

ではまた明日・・・・

2002-11-23-SAT

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