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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第945回

ほぼ日編集部様

10月27日のニュースから

毎日新聞の社会面に
「思い  拉致被害者帰国」
と題する囲み記事があった。
察するに
「思い」と「重い」をかけた記事なんだろうね。
中身は佐渡の曽我ひとみさんの、未だ行方不明の母、
曽我ミヨシさんのことについてだ。
中見出しはいくつかこういうのが並んでいる。

「うり二つの母 今どこに」
「『曽我さん母子を救う会』
 会長の三浦さんもどかしさ募る」
「安否のめどを・・・・『活動はこれから』」


横田さんや地村さん、蓮池さんらのように
長く我が子を救うための活動をしてきた
「家族の会」と違って、
こちら佐渡では10月の6日に
「曽我さん母子を救う会」が出来たばかりだ。
出来立てほやほやの会と言っていい。
そこは他の家族の会と
多少温度差が出てもしょうがないんだろうと思う。
この記事の中に「救う会」の規約も出来ないまま
本人の曽我ひとみさんが帰ってきてしまった状況とともに
他とはちょっと違う気持を会長を引き受けた
三浦正雄さん(68)が正直に語っている。

記事の部分を紹介しておこう。

「政府の永住前提の滞在延長の方針決定には
 『(夫が元米兵で)他の2組の夫妻とは
  条件が違うから、一緒に扱うのは強硬過ぎる。
  国の道具にしてほしくない』と憂える」

福井県小浜市と新潟県柏崎市では家族全員が
「帰したくない」
でまとまり、本人もそういうなら
政府のやり方に従おうかという感じが見られる。
今後子供を誰がどういうタイミングで説得するのか
という問題は残るけれど、
もう長年一緒に活動してきた
仲間としてのまとまりがある。
だから政府もこれを受けて
今度の強硬措置に踏み切ることが出来たんだろう。
ばってん、佐渡の曽我さんのところは違う、
私たちは事情が違うんだから
一緒にはしないでくださいと、
細々とした声を上げている。
曽我さんは夫と子供を北朝鮮に残してきている。
そういう事情を分かっているから
「救う会」の会長もこういうコメントになる訳だし、
家族も
「一度帰って残してきた家族とよく話し合って・・・」
と帰国を認めているんですね。
それを事情の違う他の家族と一緒にして
永住を前提にした滞在延長という国の政策を
急に押し付けられて曽我さんの周辺は
困惑しているようだ。
それがこの会長のコメントによく出ている。
全部横並びにして
個々の事情を押しつぶしてしまうのには私は反対だ。
そうでなければ曽我さんは拉致されたときは
北朝鮮という国に翻弄され、
今度は日本の国に翻弄されることに
なりやしませんかね・・・
なんだかハッキリ言って「家族の会」の言う事には
メディアも誰も何も言えない雰囲気になっているのは
おかしいですばい。
違うことは違うと言わなきゃあ・・・
キム・ヘギョンさんのインタビューについても
色々ありますが、
我々報道する立場からすれば現実を直視するのは
当然です。
確かな目であのインタビューを見れば
どこがおかしくてどこは自然かは分かるはずです。
それだけでも事実の解明には前進です。
横田さんが痛ましく思うのは当然でしょう。
それは痛いほど分かります。
だからといってメディアが怯むことはないと思う。
横田さんでもこの現実に必ずやがて直面するんですから。
日本人はもっと事実や現実に悲しみを乗り越えて
直視するそういう態度が必要なんですね。
あまりにも感情的な議論が多すぎる。

今日はここまで
また明日・・・

2002-10-28-MON

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