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第936回
ほぼ日編集部様
10月16日のニュースから
先程届いた読者メールで、こういうのがありました。
私が先日(15日)の拉致被害者の
帰国の特番の中で
「家族との対面シーンを見ていると
これまで言ってきた拉致被害者という言葉に
何だか違和感を覚えますねえ」
読者によれば、
これは北朝鮮にころっと騙されているんだそうです。
ま、私の言葉に舌足らずなところが
あったかもしれませんが、
注意深く聞いていれば私の意味するところは
分かったと思うんですけどねえ・・・
テレビは難しいですねえ。
対面のシーンは予想を遥かに越えて感動的でした。
肉親の情愛というのは様々な事情があろうとも
その瞬間にはすべてを越えるんですね。
日本人にはどちらかといえば苦手な抱擁や
涙のシーンは何かの事情で
遠く離れていた家族が帰国した。
久し振りに出会えた嬉しさ。
そこには「拉致問題」という現実を
一瞬忘れさせるような「肉親の情」の深さが
表現されていて、
私はあのシーンが日本のメディアの予想や
家族の心配を吹き飛ばすようなものであったことを
表現するために言葉のレトリックとして
「違和感を覚える」と言ったんですね。
拉致被害という実態は何一つ変わっていないということを
付け足しながら言いましたけど・・・
テレビの視聴者は自分の理解できたところに
サット反応するんですね。
これがテレビの怖いところです。
発言者の全体の意味するところなど
どうでもいいのですね。
自分の感情や理解のツボにはまったところだけを
肥大化して理解・・・じゃないなあ・・・
分かったという気になる。
こういう「誤解」が実は毎日テレビから出てくる情報と
視聴者との間でしょっちゅう
起きているんではないでしょうか?
だからどうってことはないんです。
テレビというのはそういうもんだと思っていますから。
だから活字やインターネットの存在の
意味があるんだと思いますよねえ。
流れていくメディア、つかまえられるメディア。
互いに補足しあうしかないんだと思うんですね。
私はまもなく3年になろうとするかなりの
長さに亘りこの「あのくさ、こればい」を
書き続けているのはそうしたテレビの事情を
体感しているからにほかなりません。
・・・・というまあ、日頃はあまり言わないことを
この際と思い書いてみました。
さて、16日のニュースですけど、
私はこの話しに疑問を抱きました。
それは朝日新聞にはこういう見出しで出ている記事です。
「めぐみさんの娘 平壌の空港に姿
『おじいさん、おばあさん来てるかな』
横田さん『手紙託していれば』」
全日空のチャーター便が拉致被害者5人を迎えるため
平壌の空港に到着した後のことですね。
記事によれば空港には「死亡」と伝えられている
横田めぐみさんの娘とされる少女、
キム・ヘギョンさん(15)が来ていて、
政府受け入れチームと面会しただけでなく、
これから帰国しようとする5人とも会い、
再会の涙を流したという。
平壌・順安空港の貴賓室にやって来た少女は
水色の縦縞のブラウスを着ていた。
少女はこう言ったという。
「空港に来れば、
おじいさん、おばあさんも来てるかなあと思った」
空港に来た理由は少女の祖父母に当たる
横田さん夫妻に会えると思って来たんだという。
そして朝早く出勤した父親には黙って来たという。
私はここには大いなる
北朝鮮側のウソが潜んでいると思う。
どこのメディアもこの下りを何の疑問も抱かず
「ああ、そうだったんだ、
せっかく来たのに会えずに可哀想にねえ・・・」
ぐらいにしか考えていない。
だからこそこの記事でも後段で
こういう原稿が載っている。
それは横田めぐみさんのお母さん、
横田早紀江さんの少女への思いだ。
少女が平壌の空港に来ていたことを知りこう言ったという。
「手紙(実際には早紀江さんは
『はがき』と表現したように私は思うけど)一枚でも、
小さなブラウス一枚でも
持って行ってもらえばよかったなと思いました。
まさか、空港まで来ているとは思わなかったので、
びっくりしました」
さあ、ここで問題です。
拉致問題が一切報じられていない北朝鮮で、
少女はどうやってこの15日に平壌・順安空港に
日本から拉致被害者が一時帰国するための
特別機が到着するのを知ったのでしょうか。
そしてどういう交通手段で空港までやって
来たんでしょうか?
日本と違って特別機が何時に空港に到着なんて
知らされない北朝鮮でこの少女と言えども
何か特別のルートがなければ知ることは
不可能だと思われますね。
じゃあ誰から聞いたのか?
それはこれまで横田めぐみさんの死亡と
娘さんのことに関わっていた北朝鮮政府か赤十字か、
いずれにしろ然るべき人物が
「今日日本から飛行機は来るよ」
と知らせたに違いありません。
しかし、ここでよく考えて下さい。
横田さんは一貫して今のところ自分の方から
北朝鮮に行くことない。
それは「家族会」の意思でもあるとしてきました。
だから飛行機に横田さんが乗っていることなんか
あり得ませんし、北朝鮮側も知っているはずなんですよ。
それを知りながら少女を空港に連れて来たところに
今回北朝鮮が「横田めぐみ問題」を
解決のカギだと見ているという彼らの
「思惑」「計算」「戦略」なんていうものが
透けて見えてきませんか???
北朝鮮側はウソをついてでも少女を
空港に呼んでおくことに
大いなる利益を感じていたと言うことでしょうね。
ウソまでついて少女を
舞台装置にひとつとしてセットする。
そういうことまでするところに
彼らの意図が見てとれませんかねえ。
記者というのはこう言う一見何気ない情報から
その矛盾点を拾い出すことが仕事なんですね。
これはある種、「直感」かもしれませんが・・
「ニュースの職人」の
直感と言っておきましょうか???
はははは・・・
これじゃあ、まるで自慢じゃないか、キミ??
ま、いいか!
ではまた明日・・・
いま5時10分だ。あ、今日は5時50分に
RKB ラジオと電話で7、8分
ニュースについてトークする日だ、
ヤバイ!シャワーしなきゃあ・・・・
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