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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第887回

ほぼ日編集部様

8月20日のニュースから

毎日新聞の朝刊社会面にこんな記事があった。

「輸入届け出 ついにゼロ」
「残留農薬の中国産冷凍ホウレンソウ
 厚労省 禁止措置発動を検討」


私たちもテレビで追跡した中国産の冷凍野菜の問題。
中でも冷凍ホウレンソウは
ファミレスやコンビニで広く使われていたので、
残留農薬の人体への影響が心配されてきた。
この記事によると、
先週、8月12日〜16日の
中国産冷凍ホウレンソウの輸入届け出が
ついにゼロになったそうだ。
今年の1月には週に90件、
1178トンもの輸入届け出があった時期からすると、
とうとう中国産冷凍ホウレンソウも白旗を上げたのか?
という感じだ。

これには日本の役所、厚労省がいつになく、
と言うと厚労省さんが怒るかもしれませんが、
まあ、いつになくと言っていいでしょう・・・
食品衛生法まで改正してがんばりました。
まだ中国国内には
大量の冷凍ホウレンソウが残っていると見られ、
スキあらば日本に上陸してくる可能性があるわけで、
その意味では日本人の健康を守るためには
輸入届け出ゼロは一つの成果でしょう。
ただ、こうした冷凍野菜は日本の会社の要求で
中国農民に作らせていたと言う経緯からすると、
後味が悪いわねえ・・・
記事にはこうある。

「改正食衛法は来月7日から施行されるが、
 中国側は冷凍ホウレンソウが
 禁輸措置の"最有力候補"となっていることに
 反発を強めている。
 厚労省幹部は
 『中国側が輸出をやめない限り、
  禁輸措置を発動せざるを得ないだろう』
 と話している」

とここまで記事を読んできて、
その下の欄にベタ記事でこういう関連原稿も出ている。

「安全性の不備 農業相認める 中国」

これは北京発共同電だが、
19日付けの中国各紙によれば、
中国の杜青林・農業相は北京で開いた
農産物加工業全国会議で演説、
「自国産の農産物について、
国際基準に沿って品質確保に本格的に取り組む」
との意向を明らかにしたという。
この発言は中国としては
珍しく自国の農産物の生産に関して、
国際基準との整合性が足りなかったことを
認めたことになる。
まあ、そうでもしなければ
国際的な市場では競争していけないという認識が
出てきたことでしょうから、
これは悪くない傾向でしょうね。
ただ、中国のメディアは先週あたりにも、
日本が中国産の冷凍ホウレンソウに残留農薬について、
他の野菜に比べ厳しいことに対し、
「これは食品安全に名を借りた非関税障壁だ」
などという専門家の批判を伝えていたので、
まだ中国国内でもこの問題は
完全に落ち着いたとは言い難いんではないでしょうか。
しかし、政府が国際的な基準を
考慮する姿勢を見せていることはまあ、
一歩前進でしょうか。

はいもう一本の記事はこれです。
朝日新聞の19日付け夕刊に4段見出しの記事が。

「殺された院生の母親の調書に涙
 検察官、感極まる」
「神戸の事件 法廷が数分間中断」


これは今年、『ザ・スクープ』が検証した事件です。
私も現場に行って取材しましたし、
このお母さんにもインタビューしました。
極めて真面目な大学院生が自宅マンションの前で
暴力団員らに拉致され、暴行受けて死亡させられ、
川に捨てられていたのが発見された事件。
最初の拉致現場から交番までは
50メートルほどしかない場所、
しかも110番通報で警察官が何人も駆けつけながら、
車の中に押し込められていた被害者を発見できず、
犯行を阻止出来なかった警察。
私は現場を一つ一つ周りながら
こういう市民の命を守ることの出来ない警察って
一体なんだろうか??
という疑問を持ち続けていました。

私たちは番組で警察の不祥事などを暴くことがあります。
これは警察が憎いからやっているわけではないんですね。
警察は私たちの税金で作られた国民の、
あるいは市民の「生命、財産、安全」を守るための組織、
システムなんですね。
それがきちんと作動していなければ、
どこに問題があるのかを
積極的に明らかにしていくのは
私たちメディアに課せられた仕事だと思うので、
不祥事も取り上げるんですね。

その点、神戸のこの事件は
警察官一人の問題ではなく警察という組織全体に潜む
「市民を守る」という意識の希薄さを
もろに露呈した事件だったと思います。
そういう点でこの記事を読むと、
神戸地検の検事が冒頭陳述で、
息子を殺された母親の供述調書を読み上げているうちに、
突然目頭をハンカチで押さえて朗読を中断。
数十秒間押し黙ったまま法廷は静まり返ったという、
このシーンは私にも理解できる。

検事はその後裁判長に
「お時間をいただけないでしょうか」
と断っていったん退出。数分後に戻り、
「(殺された息子は)親孝行で宝物だった」
という母親の供述調書を読み上げた。
このお母さんにとっては大事な大事な一人息子で、
しかも大学院に学ぶ自慢の息子だったんです。
それを全く理不尽な事件に巻き込まれて
突如失ったんですね。
お母さんは腎臓の病気、ネフローゼなんです。
週に3〜4回も遠くの病院へ人工透析に通っています。
事件当日も病院へ行っている間の出来事でした。
私もお母さんの話を聞いているだけに
この検事の気持ちは痛いほど分かります。
この検事が何歳ぐらいなのか
記事には一切書いてないけど、
検事の年齢は直接関係ないけど、
知りたいところですねえ。
年配の検事なのか、若い検事なのか・・・
記事を書いた記者は
そういう読者の関心に
気がつかなかったんでしょうかねえ。
私ならもう少しこの日本の法廷では
珍しいシーンにもう少し焦点を当て書きますけどねえ。

と、いうところで今日はお終いです。また明日・・・

今日も告知掲載させて下さいませ。

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<テレビ番組は誰のものか?
 テレビ朝日「ザ・スクープ」打ち切りを問う>

 緊急シンポジウムご案内 2002年8月

既に、ご存じのように、テレビ朝日で13年間続いた
調査報道番組「ザ・スクープ」が
今年9月末をもって、打ち切りになろうとしています。
この「ザ・スクープ」がこれまで残してきた足跡は、
計り知れないものがあります。
端的には、週刊誌メディアが興味本位に取り上げ、
新聞も片隅に追いやった桶川ストーカー殺人事件。
丹念な現場再取材から
次第に警察当局の捜査ミスを明らかにし、
ついには政治をも動かしストーカー規制法まで
成立させたのは、記憶に新しいところです。
ダイオキシン問題への取り組みも全く同様です。
「ザ・スクープ」が内外で、
ダイオキシン被害にあっている現場に入り
行政当局の無策ぶりをテレビという媒体を通じて
告発したことで、これまた、政治や行政を動かしました。
報道に携わる者の原点である
掘り起こしジャーナリズムに徹した「ザ・スクープ」を、
なぜ、番組打ち切りにする必要があるのか。
視聴率を確保しにくいということが
理由になっているとすれば、テレビ番組はいったい、
誰のものなのか、視聴者のものでないのか、
テレビ会社は視聴者への説明責任をどう考えるのか。
われわれ「ザ・スクープ」存続を求める会は、
こういった問題意識をもとに、下記のように、
緊急シンポジウムを開くことにしました。
急ごしらえのシンポジウムのため、
十分な準備が出来ていませんが、
状況に流されないテレビ報道番組のあり方を
問うつもりでおり、ぜひご参集ください。
なお、シンポジウム終了後に、
メディア関係者にアピールするための会見も
予定しております。

日時 2002年8月24日(土)午後1時から
場所 東京市ヶ谷・自動車会館1F会議室
(東京千代田区九段南4―8―13
    TEL03―3264―4719
    JR中央線・総武線市ヶ谷駅から徒歩約3分)

パネラー 番組出席者やジャーナリズム関係者らを中心に
     猪野憲一、小川和久、加藤久晴、中村悟郎、
     原寿雄、吉永春子の各氏を予定。

テレビ朝日報道番組「ザ・スクープ」存続を求める会発起人
猪野憲一、岩上安身、小川和久、川人博、紀藤正樹、
三枝成彬、 田島泰彦、谷美智士、中村悟郎、原寿雄、
藤田謹也、牧野義司、 元木昌彦

「ザ・スクープ」存続を求める会のホームページアドレスは、
下記のとおりです。是非ご覧下さい。
http://www.h5.dion.ne.jp/~scoop/ 
募金、カンパのための銀行口座を下記のとおり開設しました。
【銀行名】あさひ銀行 赤坂支店
【口座名】ザ・スクープ存続を求める会 藤田謹也
【口座番号】1349560

2002-08-21-WED

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