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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第886回

ほぼ日編集部様

8月19日のニュースから

これから急な仕事なんですが、
札幌に行くことになりまして、
9時の便に間に合うように原稿書いています。
さて、19日のニュースでは、
朝刊には一つ、朝日新聞3面のこの記事。

「『イラク 化学兵器使用』
 米政権、察知後も極秘支援 
 イラン・イラク戦争末期 
 革命波及阻止を重視」


これは80年代、イラン・イラク戦争の末期、
当時のレーガン政権がイラクのサダム政権が
化学兵器を使用しているのを知りながら、
それを止めるどころか陰で軍事支援をしていたという話。

ニューヨーク・タイムズが
米国防総省の元幹部の証言に基づき暴いたものだが、
実は私自身当時イランの首都・テヘランに
特派員としていましたので、
アメリカとイラクが外交関係を復活するなど
対イラン戦略ということで、
いかに裏で手を結んでいたかはよく知っています。
覚えていますと言ったほうがいいかなあ・・・

それがこの頃同じ共和党のブッシュ政権が
「イラクは化学兵器をクルド族の人々に使用したとか、
 対イラン戦で使用したとかで、
 現在も化学兵器の能力を持っている」
などということをイラク攻撃と
サダム政権の転覆の理由にしているんですね。
で、まあ、国の戦略なんてもんは
そんなもんだろうとは思うけど、
アメリカという国が如何にご都合主義で
平気で反対のことをしたり、
言ったりする軍事国家だということはここで
はっきり認識しておいたほうがいいと思う。

私はイラクの化学兵器で、
マスタードガスにやられた兵士が
入院している病院へ取材に行ったことがあります。
もちろん、テヘランの郊外にある軍事関係の病院でした。
マスタードガスを浴びると人間の皮膚、
特に粘膜が糜爛状態になり、
特に肺の中がすっかり傷つけられて
呼吸困難になるので苦しいんだそうです。

その取材の後、私自身が
化学兵器の使われている戦場に行かされるハメになり、
大変怖かった記憶があります。
イラク軍が化学兵器を使って、
イラク北部にいるクルド族の住民を
女、子ども、老人を含め村ごと
皆殺しにしたことがあるのですが、
その残酷な写真も多くその時見ました。
そういうことが行なわれているとき、
アメリカは何をしていたか??

当時はイランのホメイニ革命後で、
その急進的な革命の機運が湾岸全体に及ぶのを防ぐため、
乱暴者のサダム・フセイン大統領のやることを黙認、
それどころか積極的に軍事援助までして
応援していたというのが実情でしょう。
それが最近は何が何でも
「イラク攻撃」
「サダム・フセイン政権の転覆」でしょう。
笑っちゃいますよねえ・・・
まあ、アメリカという国は
とかくそういう偽善的な国であることは
私たち日本人達も知っていたほうがいいでしょう。
ただ、アメリカで感心するのは
そういう偽善的な政府の実態について
アメリカの新聞は時に容赦なく暴いていくことです。
そういうアメリカン・ジャーナリズムで
何とかバランスがとれているところがあります。
日本はどうでしょうかねえ・・・・

さてもう一つ・・
夕刊にでていたこの記事。
朝日新聞夕刊19面に4段見出しのこの記事。

「岩手の少年 殺人未遂容疑 
 祖父から夜遊び注意
 『家族皆殺ししかない』」

 
岩手の15歳の少年が友人ら
4人と寝ていた祖父母にナイフで切りつけ、
不幸中の幸いで重軽傷ですんだが、
つまり「殺人」にならなかったが、
その動機が警察から発表されて
新聞記者も驚いているという記事だ。
少年は水沢署の調べに対し、
「夜に外出すると怒られた。
 みんなで遊ぶためには家族を皆殺しにしようと思った」
と動機を語っているそうだ。
さらに朝日の記事によれば、

「調べでは、少年は日頃から、
 祖父母に夜間外出などを注意されていた。
 特に祖父が厳しく、
 少年は
 『帰宅時間が遅いとか、夜遊びをするなとか、
  何かとブレーキをかけた。
  面白くないので、殺そうと仲間と相談した』
 という。
 友人らも
 『このままではみんなで遊べないと思った』
 などと話しているという」

この記事の通りに少年たちが思い、
犯行を実行したとするならば、
これはやはり少し考えなければならない。
少年たちにとって「みんなで遊ぶ」ことが
家族の命より上に置かれている、ある種の幼稚さ。
この幼稚さこそ私が以前から言っている、
現代の少年たちにある程度共通する
思春期の問題なんですね。
「思春期つり橋論」
暴風が吹き荒れる思春期という名の
つり橋を渡ることが出来ずに
谷底に落ちてしまう少年たち。
そこには人間としてある程度
バランスを持ちながら発達していくはずの
「人間の能力」がどこか欠けている。
その問題がまた出てしまったなあ・・という思いです。
もっとも、警察の調べというヤツも
今一つ信用できないのでこれは
少し見守らなければいかんでしょう。
これはまた時間があるときに書きます。
そろそろ札幌へ発つ時間になりました。
また明日・・・
24日に『ザ・スクープ』打ち切りに関する
シンポジウムが開かれます。
その告知を頼まれましたのでここ数日載せています。
宜しく。

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<テレビ番組は誰のものか?
 テレビ朝日「ザ・スクープ」打ち切りを問う>

 緊急シンポジウムご案内 2002年8月

既に、ご存じのように、テレビ朝日で13年間続いた
調査報道番組「ザ・スクープ」が
今年9月末をもって、打ち切りになろうとしています。
この「ザ・スクープ」がこれまで残してきた足跡は、
計り知れないものがあります。
端的には、週刊誌メディアが興味本位に取り上げ、
新聞も片隅に追いやった桶川ストーカー殺人事件。
丹念な現場再取材から
次第に警察当局の捜査ミスを明らかにし、
ついには政治をも動かしストーカー規制法まで
成立させたのは、記憶に新しいところです。
ダイオキシン問題への取り組みも全く同様です。
「ザ・スクープ」が内外で、
ダイオキシン被害にあっている現場に入り
行政当局の無策ぶりをテレビという媒体を通じて
告発したことで、これまた、政治や行政を動かしました。
報道に携わる者の原点である
掘り起こしジャーナリズムに徹した「ザ・スクープ」を、
なぜ、番組打ち切りにする必要があるのか。
視聴率を確保しにくいということが
理由になっているとすれば、テレビ番組はいったい、
誰のものなのか、視聴者のものでないのか、
テレビ会社は視聴者への説明責任をどう考えるのか。
われわれ「ザ・スクープ」存続を求める会は、
こういった問題意識をもとに、下記のように、
緊急シンポジウムを開くことにしました。
急ごしらえのシンポジウムのため、
十分な準備が出来ていませんが、
状況に流されないテレビ報道番組のあり方を
問うつもりでおり、ぜひご参集ください。
なお、シンポジウム終了後に、
メディア関係者にアピールするための会見も
予定しております。

日時 2002年8月24日(土)午後1時から
場所 東京市ヶ谷・自動車会館1F会議室
(東京千代田区九段南4―8―13
    TEL03―3264―4719
    JR中央線・総武線市ヶ谷駅から徒歩約3分)

パネラー 番組出席者やジャーナリズム関係者らを中心に
     猪野憲一、小川和久、加藤久晴、中村悟郎、
     原寿雄、吉永春子の各氏を予定。

テレビ朝日報道番組「ザ・スクープ」存続を求める会発起人
猪野憲一、岩上安身、小川和久、川人博、紀藤正樹、
三枝成彬、 田島泰彦、谷美智士、中村悟郎、原寿雄、
藤田謹也、牧野義司、 元木昌彦

「ザ・スクープ」存続を求める会のホームページアドレスは、
下記のとおりです。是非ご覧下さい。
http://www.h5.dion.ne.jp/~scoop/ 
募金、カンパのための銀行口座を下記のとおり開設しました。
【銀行名】あさひ銀行 赤坂支店
【口座名】ザ・スクープ存続を求める会 藤田謹也
【口座番号】1349560

2002-08-20-TUE

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