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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第799回

ほぼ日編集部様


5月13日のニュースから

中国で起きた日本総領事館での強制連行事件は、
恐らく日本と中国双方の言い分が
くいちがったままになりそうだ。
要するに、芥川竜之介の作品で、後に映画になった
「羅生門」の世界と同じことになりそうですね。

ある事件が起きた。
事後にその事件の関係者に証言を取ってみると、
関係者の言い分が真っ向から違っている。
本当ならあり得ないことが実際には起きることがある。
真実とは何か?真実を求めることの難しさ、
不可能に近い真実の追求。
裁判でもしばしば起きるこのテーマ。
まあ、これは人間社会に常につきまとう
永遠のテーマなのかもしれません。
だからこそ芥川の世界と黒沢監督が描き出したものが
世界中で受け入れられたんでしょうか。

日本では外務省の出先機関の緊張がないとか、
危機管理がなっていないとか、
「日本のことなかれ主義が
世界中に明らかにされてしまった」
(鳩山由紀夫・民主党代表)とか、
「日本の尊厳が完全に崩れた形で
世界に(ニュースが)流された」
(亀井静香・自民党前政調会長)などと、
まあ、日本の出先機関が
世界中に恥をさらしたのでいかん、
というタイプの議論が日本では沸騰している。
どの人の議論にも北朝鮮から必死で逃げてきた
家族5人の身の上、今後のことに言及している人が少ない。
政治家は人間の痛切な運命よりも
国の体面の方が大事らしい。

今回の問題点は、中国側が大使館や領事館などへの
不可侵権を定めたウイーン条約を
中国側が侵害したのか、
そしてそれに対して日本の在外公館は
主権を守るべく行動したのか?
という「不可侵権」「領土主権」の問題点が
まず一つ目のテーマだ。
もう一つはこっちが実はほとんど論じられていなくて
大事なんだけど、日本という国は
「亡命」(政治的な亡命ですね)や難民の問題を
国民全体でもちゃんと受け止めていない。
従って外務省も政治家も含めて
この問題には余り触れたがらないが、
今回そもそもああした映像で見るような
とんでもない事態が発生した最大の原因は日本人、
日本外務省、日本政府が総じて「亡命」問題への
ちゃんとしたスタンスを持っていなかったことから
生まれたんではないでしょうかね!?
われわれ日本人はそろそろこうした世界中で起きている
民族の移動現象にそれなりの判断を持つべきでしょう。
なんでもかんでも認めてしまうということでは
ないんでしょうが・・・・・。

今回は「不審者」つまり変な行動を示す人と
亡命者との区別判断が出来なかったことが
最大の問題ですよね。
しかし、北朝鮮と国境を接する遼寧省の都市、
瀋陽である程度こうした事態に対処して
基本的なスタンスを持っていて欲しかったですね。
副領事さんが厚生労働省からの出向者だったから
というのはいいわけにも何にもなりませんばい。
今日の夜のニュース番組で
ある程度はっきりした調査結果が出るでしょうから、
それを見たうえでまた考えてみましょう。
これまでのところでは以上の様なことを考えました。

とりあえずここでいったん終わりに。
また明日・・・・

 

2002-05-14-TUE

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